オシム 終わりなき闘い (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 33
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094065190

作品紹介・あらすじ

祖国融和のため立ち上がった男の闘いの記録

《オシムについてはもう書籍にする気持ちはなかった。
しかし。彼が身を挺して守った祖国がワールドカップに出場しようとしている。(中略)オシムはベンチに入っての現場指揮こそ執っていないが、人生をまだ休んではいない。帰国後も現役として毅然とサッカーの敵と戦い、祖国をサポートしている。》(プロローグより)
ユーゴスラビア紛争終結後20年近く経つ今も、民族対立が続くボスニア・ヘルツェゴビナ。サッカー協会内ではその対立故にFIFAの原則に反し、加盟資格を取り消され、W杯出場が危ぶまれていた。かつて旧ユーゴの最後の代表監督として祖国崩壊に抵抗しようとしたイビツァ・オシムは、日本からの帰国後、脳梗塞の後遺症が残る体を引きずり、W杯出場と人々の融和のために闘っていたーー。
病に倒れ日本中から惜しまれながら代表監督を退いたオシム。その帰国後の知られざる闘いと、サッカーを通し憎しみを乗り越えようとする人々の姿を追った感動の記録、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • サッカーへの興味からオシムのことを読むようになったのだけど、予想をはるかに超えていろいろなことを考えることになった。
    才能ある人たちが、純粋にその才能を生かせる世界になるとよいなあ。

  • 以前読んだ「オシムの言葉」の続編というか、脳梗塞に倒れ、帰国したあとの後日譚に当たる。

    旧ユーゴスラビア解体の動きの中で、それまでの隣人同士が銃で撃ち合うような事態に発展したボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の戦火に、家族もろとも翻弄されながらサッカーを続けてきたオシム氏。

    サッカーは、分断された国にとって唯一のアイデンティティーとさえ言える存在だが、やはり分裂状態にあったサッカー協会を再び一つにまとめ上げ、ワールドカップへの出場を成し遂げるまでの「正常化委員会」での大仕事を中心に描く。

    クロアチア・セルビア・ムスリムの3つの民族が入り乱れているだけでなく、社会格差も拡がる分断のさまは余りにも複雑で、この本を一読しただけではとても噛みきれないが、そんな中で力を発揮したのが、オシム氏の経歴(国民の尊敬を集めるサッカー選手であり、監督であった)や不偏不党の精神であり、各国のコワモテ指導者を納得させたオシム氏への信頼なのである。

    文字通り「国」を支えているサッカーそのものも違えば、そこに向かう氏の覚悟も全然違う。

    そんな人が日本へ監督としてやって来て、代表監督まで務めたというのは、ほとんど奇跡的なことのように思える。

    本は、そうした中でのオシム氏の動きや心中を、著者ならではの鋭さで引き出そうとする。この本にも、覚悟を受け止める真摯さ、切実さが溢れている。

    今、分断は落ち着いているかに見えるが、キケンな民族主義は再び胎動を始めているという。人間というのは、どうして学習しないのだろうか。

    なお、ハリルホジッチ氏がいかに日本代表にとって大事だったか(解任は失策であった)、日本サッカーには「日本化」が必要だなど、興味深い話も掲載されている。

  • 民族対立の中で崩壊しかけたボスニア・ヘルツェゴビナサッカー協会。立て直しを託されたのはかつて、ユーゴ代表のエース、そして代表監督としてチームを率い、後年は日本代表監督も務めたイビツァ・オシム。その内幕を取材した力作。日本代表監督時代に脳梗塞で倒れ、不自由な身体になりながらも母国のために奔走する姿はリスペクトしかない。

    オシムさんがいなければ、未だにボスニアサッカーはFIFAに復帰できなかったかもしれないし、それをきっかけに再び紛争が起こったかもしれない。よその国の話ではあるけれど、冷や汗が出る気分。

    話は別だけど、オシム・ジャパンの完成形も見たかったなあ。

  • 東2法経図・6F開架 783.4A/O78k//K

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著者プロフィール

1962年愛知県生まれ。中央大学卒。ノンフィクションライター。東欧やアジアの民族問題を中心に取材、執筆活動を続ける。おもな著書に『オシムの言葉』(集英社文庫)、『蹴る群れ』(集英社文庫)、『無冠、されど至強 東京朝鮮高校サッカー部と金明植の時代』(ころから)、共著に『さらば、ヘイト本!』(ころから)など。

「2019年 『13坪の本屋の奇跡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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