- Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094065480
作品紹介・あらすじ
真実から生まれた、命の重さを問う人間賛歌
ブラック企業に追い詰められ多額の借金を背負った達希(27歳)は発作的に飛び降り自殺を図り、15年前に死んだ祖父の霊に助けられる。祖父は生前心残りの「人探し」を一緒にすることを条件に隠し財産で借金の肩代わりを提案。
そこから祖父の霊とのボルネオへの旅が始まる。そこで出会ったのは、個性豊かな人々と悲惨な戦争の記憶。将校でも戦闘機乗りでもない大多数を占めた一般兵士の彼らの戦死とは、飢えや伝染病で命を落とす悲惨なものだった。
やがて一行は赤道の街に到着。そこには、この旅に祖父が託した本当の目的が隠されていた。今まで決して口にすることのなかった、「知られざる謀略事件」とは・・・・。そして、そこに隠された,祖父の過去にまつわる真実とは・・・・・。
【編集担当からのおすすめ情報】
おそらく日本国内ではほとんど知られていない、終戦間近の時期インドネシアで実際に起こった「ポンティアナック事件」がモチーフとなっています。この事件は日本ではほとんど知られていませんが、現地では今も毎年慰霊祭が行われ、忘れられることはありません。それは、決して遠い記憶ではありません。
戦争時は軍隊、現代はブラック企業、有名大学の体育会まで。名前と質こそ違えど、現代も昔も一部上層部の私利私欲のために犠牲になり、苦しむ人々はたくさん存在します。著者の力強い筆に救われ、励まされる方も多数いらっしゃると思います。
こんな時代だからこそ、10代の高校生から戦争を経験された年輩の方々まで、現代を生きる多くの方に是非読んでいただきたい、人間賛歌。
読後は爽やかで、明日を生きる力が湧いてくる小説です。
インドネシアとの国交樹立60周年の今年の夏に、満を持しての文庫化です。
感想・レビュー・書評
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前情報も無く「古内作品」として読み始めました。
目を逸らしたくなる様な戦時中の描写がリアルに描かれ、読み進むのに時間がかかりましたが、その先にある「伝えたい事」を伝えようとする物語の力に導かれて最後までしっかりと読ませていただきました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
悲惨な戦争物は敬遠しがちだけど、読んでしまったら止まらなくなった。
目を背けたくなるような凄惨な描写もあったけれど、それよりもインドネシアの人々の憎むより、許すことを選んだことに、その尊さに涙した。
そう、目の前の状況は変わらなくても、私たちの態度、心持ちはいつでも選ぶことができる。
こんな事件があったことなど学校では習わなかったけれど、戦争を知らない私たち日本人も歴史に学び、忘れずに後世に戦争の悲惨さ、無意味さを伝えていかなければいけないんだよなぁ、と思った。
読んで本当によかった。
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戦時下における極限の環境とその記憶に縛られて生きていかねばならなかった祖父の軌跡を、ブラックな職場で追い込まれ飛び降りた孫が辿る軌跡。読み応えのある小説だった。
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ストーリー展開に戸惑ったが、次第に引き込まれ一気読み。
主人公の祖父が出兵していた終戦間際のインドネシア、ポンティアナック事件について知ることが出来た。そこには慰霊碑のまわりに日本人による虐殺の様子が6枚の壁画で残されている。毎年慰霊祭が行われており、参加した主人公に当時を知るインドネシア人がかけた印象に残る言葉、『…今でも日本人に怒りを抱いていると思うなら、それは誤解です。大切なのは、歴史を学び、新たな関係を築いていくことです』
戦後、関係が悪化する国だけでは無いことを知る事が出来た。
戦中だけでは無く、時代が変わった今でも上に立つ人のモラルの欠如や私利私欲に振り回され苦しむ人がいるという事を主人公と祖父から感じた。そして私もコロナ禍で実感。
赤道標行ってみたいです。 -
反戦小説。
解説者の堀口ミイナさんも書いていたが、涙する人が多いというが泣けなかった。涙を流してよしとしてはいけない、目をしっかと開いて受け止めねばならないと感じたから。
読み進めるのが辛くてやめたくなるシーンもあった。
夫妻は、死ぬべき人ではなかった。死ななくていい人たちが殺された。敵も味方も。そしてのうのうと生き延びた人もいた。
繰り返さぬよう、知らなければならない。忘れてはならない。考え続け、行動しなければならない大事なことがある。
読めてよかった。 -
美談にしていいものじゃない
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4/147
『内容(「BOOK」データベースより)
ブラック企業に追い詰められ多額の借金を背負わされた達希(27歳)は発作的に自殺を図り、十五年前に死んだ祖父の霊に助けられる。祖父は生前心残りの「人探し」を一緒にすることを条件に、隠し財産で借金の肩代わりを提案。祖父の霊とのボルネオへの旅が始まる。旅先で出会ったのは、個性豊かな人々と悲惨な戦争の記憶。やがて到着した赤道の街には、この旅に祖父が託した本当の目的が隠されていた。今まで封印されていた「知られざる謀略事件」とは。隠された祖父の真実とは。終戦間近、実際に起こった事件をモチーフに描く、感涙必至の人間ドラマ。待望の文庫化です!』
『赤道 星降る夜』
著者:古内 一絵(ふるうち かずえ)
出版社 : 小学館
文庫 : 365ページ -
話が唐突で、文章表現に深みなし。
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太平洋戦争末期、この作品の舞台となったボルネオのみならず悲惨なことが多々あったのだろう。今を生きるブラック企業に追い詰められた若者やイジメにあった女子高校生が太平洋戦争に深く関与していく流れが素晴らしい。