- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094066036
作品紹介・あらすじ
乙女な心を持つ美術系男子のラブコメディ!
有名政治家を父に持つ遠明寺美智之輔は、子どもの頃から絵を描くことが好きな乙女な男の子。恋愛対象が同性の美智之輔は、同級生の高瀬君に憧れていたが、思いを告げることもないまま、日本の美大を卒業後、憧れのパリへ留学していた。
ある日、アルバイト先のカフェで美智之輔は、ぼさぼさのおかっぱ髪でベース形の顔が目を惹く羽生光晴という女性と出会う。凄まじい勢いでパソコンのキーボードを打つ彼女は、偶然にも美智之輔が愛読している超人気ハードボイルド小説の作者。訳あって歴史あるリトグラフ工房idemに匿われているという。
過去にはピカソなどの有名アーティストが作品を生み出してきたプレス機の並ぶその工房で、リトグラフの奥深さに感動した美智之輔は、光晴をサポートしつつ、リトグラフ制作を行うことになるが、ある大きな転機が訪れる。
【編集担当からのおすすめ情報】
単行本刊行当時、小説『ロマンシエ』に登場したパリのリトグラフ工房「idem」とコラボした展覧会を東京ステーションギャラリーで開催しました。その際、展覧会の図録に寄せた掌編を文庫に特別再録。小説(フィクション)と展覧会(リアル)が交差した奇跡の展覧会開催までの舞台裏がわかる特別寄稿も掲載しています。これを読めば『ロマンシエ』の全てがわかるコンプリート版です!
感想・レビュー・書評
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数ページ読んでまず思ったのは
「これはまた突き抜けたコメディだなあ...」
文章からくるテンションの高さに最後までついていけるかしら...と不安でしたが!が!
そこはやっぱりマハさん、話が進むに連れちゃんと恋愛、人間愛を絡めたアートものになっていきました。読んでいて最後まで楽しかった!
そして解説の方も、内緒の裏話を教えてもらってるようで面白かった。
最近忙しく自分の心も疲れてるなあ...という時は、同じ気持ちの本か、はたまた真逆の本かを手に取る気がするのですが(私だけ?)、今回はこの本を選んでよかった!謎の元気をもらえた!明日からまた頑張ろー!!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
外見は、イケメン男子、中見は、超乙女な、美智之輔くん。
しゃべり方も口から出るのは、男言葉、心の中は、やはり、超乙女。
まぁ、ええんとちゃうかな。本人の自由やし。
その美智之輔くんの軽快な(乙女チックな?)口調で話は進む。
パリ、アート、ブランドもん…色々紹介されてるけど、う〜ん…私にはサッパリ分からん^^;
だからと言って面白くない訳ではない。
昭和感あるテンポに乗って、挫折、喜びとか色々経験しながら、成長していく感じは、良い。
途中、ルパン三世ばりの逃亡劇あったりで、飽きさせず。
これ、現実と同時並行の話やってんな。
実際に東京のギャラリーでやってたみたい。
何か、原田マハさんって、行動力が凄いわ。
読後感、爽やか!
ひとりで、コタツの中で、読後感に浸ってます!
ここが、私の世界の真ん中 (^_^)v
★リトグラフ見てみよ! -
いつもとは違うタッチでした。もう一回じっくり読もうかなと思います。ユーモアをずっと貫いている感じです。
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遠明寺美智之輔は体と心のジェンダーが違う美大に通う大学生の男の子です。
同級生の高瀬くんに恋をしています。
通称『アバザメ』というハードボイルド小説の大ファンで愛読しています。
美智之輔は絵の才能を学長に認められパリに留学します。
そして、舞台はパリへ。
いつも恋のセンサーが始動している男子だけど女子力の高すぎる乙女な美智之輔。
なんと、パリで『アバザメ』の作者、羽生光晴、通称ハルさんと知り合い、担当編集者から逃げているハルさんを匿い、共同生活を送ることになります。
ハルさんは、なんと女性でした。
ハルさんは複雑な事情があり、小説を書けなくなっていました。
美智之輔のほうは、卒業制作としてのリトグラフ創りに興味を持ち、工房にも出入りして、工房の仲間たちと知り合います。
そこへまた、日本から高瀬くんが出張でやってきてドタバタします。
ジェンダーに違和感を覚えている美智之輔がアーティストを目指すのは当然の環境だったように思います。
それにしても、このお話はふざけているのか、本気なのか、美智之輔の乙女ぶりもさることながら、聖子ちゃんの唄はともかく、北島三郎の「まつり」の唄まで、いいタイミングで飛び出し、とにかく全編を通して笑えます。
最後の美智之輔の勇気ある行動は本当に褒めてあげたいと思いました。
ハルさんもなんて優しさのある人だろうと思いました。『ロマンシェ』というタイトルは「小説家」という意味だそうです。最後にわかりました。
本当に五行に一回は笑っちゃうようなとびきりのロマンスでした。 -
自分のジェンダーに違和感のある主人公とロマンシエのハルさん。何とも言えないいい関係でした。最後には、小説と現実が交錯してすごいことになってたんですね。
ロマンシエ(=小説家)、フランス語で言うと響きがいい。マハさんのアート愛が色々と感じられる一冊でした。 -
こんなにテンションの高い著者作品は初めてだ!
多様性を受け入れる都市は、創造性に富んだ場になるという。そんなクリエイティブな場であるリトグラフ工房idem...。機会があれば訪れてみたい。東京での展覧会にまでつなげてしまう著者の行動力に脱帽...。 -
読み終わった瞬間の第一声ならぬ、第一想は「もう一度パリへ旅行へ行きたい!!」そんな気持ちになるくらい、数年前に行ったパリの風景を思い出しながら、ずっとワクワクした気持ちで読んでいた。
それがすごく楽しくて、コメディ調の物語というのも相まって、1人でクスッと笑ってしまうくらい面白かった。
巻末の特別寄稿を読んで、この物語が実際に開催された展覧会の話に繋がっているとは・・・!
しかも、idemという工房も実在していたなんてびっくり!
原田マハさんの世界観の魅力にに、またどっぷりとはまってしまって、早速他の作品を調べ出してしまう次第でした。
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本作も他と全く違う魅力があって、期待を裏切らない著者はすごい!といつも思う。
軽妙なタッチの文体と、それでいて芸術への深い造詣、人間への愛を浴びるように感じる、あたたかで前向きになれるストーリーだった。いいなぁ原田マハさん。
それにしても出版直後にこの物語に出会いたかった。小説連動型の展覧会とか…胸熱すぎる…!!行ってみたかったー。見てみたかったー、リトグラフ!
言葉では聞いたことがあっても、刷り方の想像ができない。リトグラフについてちょっと調べてみたい。「idem」にもとても興味が湧いた。実際にidemの上で執筆されたなんて、すごいしとても夢があるな。
「大事なのは、自分に素直になること。自分の気持ちを自由にすること。」
「君が生きているその場所。そこは、決して世界の端っこなんかじゃない。君が叫んだその場所こそが、ほんとの世界の真ん中なのだ。」