骨を弔う

  • 小学館
3.65
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本棚登録 : 330
感想 : 34
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094067811

作品紹介・あらすじ

30年前、本当は何を埋めたんだろう。

謎の骨格標本が発掘されたことを報じる地元紙の小さな記事を見つけた家具職人・豊は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。
しかし、それは記事の発掘場所とは明らかに異なっていた。同時に、ある確かな手触りから「あれは本当に標本だったのか」との思いを抱いた豊は、今は都内で広告代理店に勤務する哲平に会いに行く。最初は訝しがっていた哲平も、次第に彼の話に首肯し、記憶の底に淀んでいたあることを口にする。リーダー的存在だった骨格標本埋葬の発案者・真実子の消息がわからないなか、事態は思いも寄らぬ方向に傾斜していく。

【編集担当からのおすすめ情報】
解説/北上次郎氏

感想・レビュー・書評

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  • 小学5年生の時、学校の骨格標本を山中に埋めた幼馴染みの5人。40歳となった彼らは、あの時の骨に疑問を持ち始める。開発行為で子供の頃生活した土地は無くなり、ばらばらになった友人を訪ねながら、当時の記憶をたどりながら、骨の真実に辿り着く。
    古い友人達は、それぞれの場所で、結婚生活に悩んだり、東北の震災で家族を亡くしたり、人生の岐路で立ち止まっていた。この30年前の骨を弔う事で、過去の遺恨を取り除き、現状の克服に向かう。サスペンス風ヒューマンでした。
    それにしても、宇佐美さんの自分をイジる悪戯心が、思いの外で、印象的でした。

    • 1Q84O1さん
      いろいろジャンルが書けるって凄いですよね!
      それで当たり作品が多いのも!
      いろいろジャンルが書けるって凄いですよね!
      それで当たり作品が多いのも!
      2023/05/20
    • みんみんさん
      ボニンも面白かった_φ(・_・
      ボニンも面白かった_φ(・_・
      2023/05/20
    • おびのりさん
      ポニン了解
      ポニン了解
      2023/05/21
  • 増水で土が抉られた堤防の土中から、謎の骨格標本が発見されたというニュースを見た豊は、数十年前の小学生時代、仲間数人で山中に骨格標本を埋めたことを思い出す。だが、それは記事の発掘場所とは異なっていた。
    あれは本当に骨格標本だったのか。そんな思いを抱いた豊は、今は都内で勤務する哲平に会いに行くことに。
    あの日、俺たちは本当は何を埋めたんだろう。


    横暴な教師へのいたずらのため、骨格標本を隠して埋めた小学生時代の思い出。それから数十年後、目にしたニュースをきっかけにその日の真実を明かそうとするミステリー小説です。
    小学生って、大人からみると本当に子どもに見えるけど、時々大人もハッとするようなことを理解していたりしますよね。

    ミステリーとしての大まかな展開だけを考えると、結末は予想できなくもないのですが、ヒューマンドラマ的な側面が非常に強く、それぞれ夫婦関係、親子関係の悩みや東日本大震災での被災など、停滞し、囚われている不幸で不自由な現実から、事件の調査をきっかけに途絶えていた縁が復活し、苦難を克服して少しずつ前向きに歩きだしていく。事件の根幹や事情は重く、ですがそんな暗い中にも、読後感悪すぎず明るい希望が見えるようなお話でした。

  • 自分好みのミステリーでした。ある事件に関わりながら人間としての成長や変化を描く作品。しかも作中に作者本人がそのまま作家として堂々と登場するところが新しくて面白かったです。誰もが持ってるであろう子供の時の小さな秘密を読者自身も思い出しながら楽しめる作品です。読後感も後味悪くなくてホッとした感じがいいですね〜。でもやっぱり殺人の証拠隠滅を手伝ったのはダメですけどね。それは小説ってことで。

  • 小学生の時の悪ふざけで骨格標本を埋めた‥それはホントに骨格標本だったのか?ラストはまた意外な展開になって‥楽しく読めました。

  • 購入済み

    2021.08.29.読了
    骨を埋めたところからのスタートですから、まあ殺人事件なんだろうなーと思うわけです。
    もう前半のほうできっとこんなストーリーだろうなとはっきりとした予測がつきます。
    しかしながらつまらないわけでもなく、宇佐美氏は文章がほんとにうまいなぁ。と感心しながらズンズン読み進めていきました。
    すっごく面白いとはなりません。何しろ予測がついてしまいますから。(笑)
    でも、そんなことよりなにより最終章でこうなるとは。。。。興醒めでございました。
    なんか最初の方で文中に宇佐美まことという単語が出てきた段階でなんか安っぽいとは思ってしまいましたが。
    これまで読んだ宇佐美作品の中では最下位となります。もう一度申しますが、何しろ星3つですから、
    つまらない訳ではないのです。
    少しの退屈と少しの興醒めで星3つ。

  • そんなにページ数が無かったからサクサク読めるかなーと軽い気持ちで読み始めたら内容がどれもこれも重くてなかなか進まない…。途中で何度か諦めようかなと思ったが頑張って読み終えた。
    うーん…。コナンくんみたいな小学生だったのかな?あんまり小学生が得た知識であれこれ大人に死体処理させてる絵が浮かばない。
    結末は残りのページ数を考えると何かどんでん返し的なのがあるんだろうなと思ったけどここになるのか!っと素直に驚いた。だから最初から宇佐美まことってしつこいくらい出てきてたのね。これ架空の小説家さんの方がわたし的にはよかったな…。
    宇佐美さんを褒めてる部分とか自分でこれ書いてるんだよね…?ってなり素直に話に入っていけなかった。

  • 多分あらすじとタイトルに惹かれて予約して借りた本。

    ホラーだったりサスペンス的なのを想像していたのでかなりの肩透かし。
    読むのに時間がかかった。

    解説に引用されていた著者インタビューで人生の応援歌ではなく人間の暗部に切り込んだ話を書く的な話があったが、この本は応援歌だと思う。

    初読み作者さんだが、解説者さんいわく『るんびにの子供』〜『角の生えた帽子』までは暗いとのことなので、そちらを読むべきであった。

  • 途中、時間が掛かったため、少しわからなかった。また、読み直したら評価があがるかも。

  • 読み進めるにつれて「えぇぇぇ」と心の声がついつい漏れてしまうお話でした。
    小さい頃の思い出。
    わたしの生まれ育った四国のとある田舎での幼少時代。
    登場人物それぞれの過去、現在ととある儀式とを回顧する旅。

    途中、現実離れした(子供ができるはずもない…)行為や考え。
    結末のどんでん返しにも驚きました。

  • 宇佐美まことファンになりました!
    『子供は怖い夢を見る』に続き、2作目だが、ミステリーなのにファンタジー!
    内容はヘビーできついところも多々あったけど、読後感がとても良い!
    オモロ〜

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著者プロフィール

(うさみ・まこと)1957年、愛媛県生まれ。2007年、『るんびにの子供』でデビュー。2017年に『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。2020年、『ボニン浄土』で第23回大藪春彦賞候補に、『展望塔のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補に選ばれる。2021年『黒鳥の湖』がWOWOWでテレビドラマ化。著書には他に『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』『月の光の届く距離』『夢伝い』『ドラゴンズ・タン』などがある。

「2023年 『逆転のバラッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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