あの日、君は何をした (小学館文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094067910

作品紹介・あらすじ

『完璧な母親』著者が放つ慟哭のミステリー

北関東の前林市で平凡な主婦として幸せに暮らしていた水野いづみの生活は、息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。深夜に家を抜け出し、自転車に乗っていた大樹は、何をしようとしていたのか――。
15年後、新宿区で若い女性が殺害され、重要参考人である不倫相手の百井辰彦が行方不明に。無関心に見える妻の野々子に苛立ちながら、母親の智恵は、必死で辰彦を探し出そうとする。
刑事の三ッ矢と田所が捜査を進めるうちに、無関係に見える二つの事件をつなぐ鍵が明らかになる。
『完璧な母親』で最注目の著者が放つ、慟哭のミステリー。

【編集担当からのおすすめ情報】
「この小説は価値観を一変させる力がある。軽い気持ちで読み進めれば火傷するかもしれない」(内田剛さん/フリー書店員)
「まさきとしかは、この1作で間違いなく飛躍する。イヤミスの先頭集団に、躍りでるはずだ」(浅野智哉さん/ライター)
発売前から反響続々、ミステリー好きなら必読の一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • まさきとしか 彼女の作品を読むのは二回目であり、顔見知り(一方的)くらいの浅い仲(一方的)だ。それなのに「母親の狂気」と=で強く繋がる彼女のイメージは伊達じゃないことを思い知らされた。

    優しい夫と可愛い子供達に囲まれ平凡ながらも幸せな家庭を持ついずみ。ある日息子の大樹が夜中、逃亡中の殺人事件容疑者に間違われ警察を振り切り逃げ出した後、事故を起こし亡くなる。そこから崩れる平凡と平常によって産まれる母親の狂気に、読者は自身に置き換える者、好奇心で釘付けになる者とに別れるかと思う。
    私は人間的に残念ながら後者だ。
    何故素行良好だったはずの息子が家族に隠れて夜中に外に出たのか、何故警察に声を掛けられ逃げ出したのか。何故彼は死ななければならなかったのか。沢山の何故が蔓延る中、いずみに産まれた狂気を残し場面は唐突に切り替わる。

    こちらは至って単純だ。時は15年後。
    ある女性が殺され、容疑者の男が逃亡、警察がそれを追う。ふむ、シンプルである。
    気になるのは容疑者辰彦の妻、野々子と辰彦の母、智恵。後に頻繁に登場する野々子の母、瑤子の存在だ。なんともまぁ  母、母、母だらけである。
    辰彦に対して無関心な野々子、正反対に必死に探す智恵。そして野々子の人格を作り上げたであろう毒親瑤子。読み進めれば進めるほど事件の真相に近付いてる気になるのに、どうしても15年前の事件との繋がりが見えない。むむぅ、ヤキモキしちゃう。

    この無関係に見える二つの事件を繋いだのが、変わり者刑事三ツ矢とその飼い犬...失礼。子犬系メンズの岳斗くんだ。少し脱線するが、刑事にスポットの当たった作品ではないものの、彼らの関係性が「...なんか好き」とホッコリした人も少なくないと思う。素敵なバディだった。
    そんな二人が真実を突き止め飛躍する後半は緊張感溢れるスリリングな展開だ。温めすぎてこの道しか残っていない車幅の狭さは感じたが、それでも昂る気持ちは減退しなかった。

    真相全て白日の元に!真実はいつもひとつ!なコナンくんオチとはならない曖昧模糊な着地は賛否ありそうだが、エピローグとなる「知らぬが仏」な展開は色んな感情が溢れ出た。
    小説として楽しい、
    描写が胸糞悪い、
    人として理解出来ない、
    でも多分これは現実に忠実だ、背くなかれ
    脳内がとても忙しい事になった。

    ーーあの日、君はなにをしたーー
    たとえ露見しようがしまいが、自身の行動によって他人の未来を変える事もある。これは良くも悪くも避けられないのだろう。よもやよもやだ。
    しかしつまり、大樹くんはお母さんを愛していた。救いが無いように思えるけど、暗黒書物大好きマンからすればハッピーエンドな気もしちゃうなぁ。よもやよもやだ。┐(´-`)┌

  • 幸せな家族だったはずの悲劇。ある日息子が逃亡した殺人事件の容疑者と間違われて事故死。なぜ息子は死ななければならなかったのか。母の立場から様々な感情が渦巻き人生が堕落していく悲哀溢れる物語。

    本作品は2部構成。
    1部は前述の物語、2部は15年後に起きた新たな殺人事件。一見、全く別の物語なのだが、共通して母親の愛情と、背中合わせの狂気が歪みを成して描かれている。

    率直な感想として、たとえ歪があれど母の愛情の熱量は理解でき伝わるも、物語の構成・至る結末は腑に落ちなかった。秀逸さを感じなかったのだ。

    恐らくだが、これは私が男だから、父親だからという立場の問題ではない。端的に私の個人的な好みであろう。

    ただし、作中に登場する三ツ矢という刑事がいるのだが、キャラが今まで垣間見たことがないほど個性的で魅了された。彼が相手に問う言葉はなぜか心に刺さるのだ。

    もし彼が再来する作品が出たならば、間違いなく躊躇いなく、私は手に取って読み耽るに違いない。

  • 最後でやられた!と思いました。

    2004年、連続殺人事件の容疑者と間違えられて死んだ息子の母親の息子に対する愛情が異常に感じられました。

    そして、物語は二部に移って15年後の全く違う殺人事件と失踪者の話になります。
    と、思いきや東京で起きている事件にもかかわらず、一部と同じ群馬県前林市が出てくるのです。
    同じケーキ屋のクローバーという店のケーキではっとしました。

    一体、二つの物語はどう関係しているのかと思いながら読んでいくと、驚愕のラスト。

    母親の狂気を悲しみ、死んだ息子の遺したことばは母親への愛に溢れていましたが、ゾクリとして、最後のページを二度読みしました。

    この事件を解決した刑事の三ツ矢と田所の続編も読もうと思います。

  • 悲しみの形は一つではない、と思えた一冊でした。
    真面目で人気もあって、地域で一番の高校に受かっていた息子が、ある日、深夜2時に自転車に乗っているところを、連続殺人犯と勘違いされ事故死してしまう。
    急に息子を亡くしただけでも辛いのに、夜中になぜうろついていたのか?職務質問をされなぜ逃げたのか?と世間から非難を浴びる。
    息子を亡くして、心を病んでしまった母は、自分と100%同じ気持ちで苦しんでいない夫や娘に苛立ちを感じてしまうのだけど、夫や娘が苦しんでいないか?悲しんでいないか?というと、決してそうではない。
    母(妻)と同じように悲しみを表に出せない自分は冷たい人間なのか?と自分をどんどん責めていってしまう。
    でも、それだけではない。母は母で、『家にいるのがイヤだったから夜中に家を抜け出していたんだ』と言われれば自分を責め、『いつまでも泣いていないで前を見ろ』と言われればまた自分を責める。
    大事な人を亡くしたらみんな、誰だって悲しいんだ!苦しいんだ!
    心はその人だけのもの。心に“こうあるべき“なんてものはない。
    周りに惑わされず、一人でそっと悲しむ、苦しむ時間があればいいのに。
    本当は家族みんなで気持ちを分かち合えるのが一番なんだろうけど、それぞれの心はそれぞれのものだから、きっとみんなが同じ気持ちになるのはとても難しい。
    悲しみの形は一つではない。自分の心は自分で大切にしてあげないと。

  • 面白かった!!
    一部と二部で、全然違う人の話でアレ??ってなったけど、どんどんパズルが完成していくような感覚。伏線回収が素晴らしい!
    あーなるほど!あーーーそうか!!!と面白くてスラスラと読めた。
    いづみの頭おかしい感じにはだいぶイライラした。娘も夫も可哀想だなと思った。
    智恵の息子溺愛も痛いなー。贔屓目凄すぎてキツいな〜あんな姑は絶対無理だなと思った。
    あー本当面白かった!!
    三ツ矢さんのお母さんはどうして恋人に殺されてしまったんだろうな…。

  • うひゃあ、こんな終わり方か〜

    あんまり好きな終わり方じゃなかったです
    のわりに★5っていうね

    途中何がどう繋がってどういう結末が待ってるんだろう?ってもう気になって気になって
    積み上げ方がうまいなぁって思いました

    それと、作中二組の母子が出てくるんですが、その母が息子に向ける愛情がとても醜悪に感じられて…
    取りようによっては無償の愛ともとれるんですが
    そのあたりの見せ方もうまいなぁと
    なんかモヤモヤが溜まっていく過程がね
    登場人物それぞれがたくさんの「なぜ」を抱えていて、読者にも「なぜ」がどんどん溜まっていって
    最後に一気に「なぜ」が解消され、たのかどうかよくわからないあるいは新たな「なぜ」が生まれたのかも

  • 連続殺人犯の容疑者が逃走し、その容疑者と間違われて深夜に事故死してしまった男の子。なぜ深夜に自転車に乗り事故に遭ったのか。

    ミステリって、どんな風に書いてもネタバレしちゃうんじゃないか…!?って思ってなにも書けません。

    まさきとしかさん、初めての作家さんでしたが、この方の描く母と子、家族の愛情と憎悪って「そんなに!?」って思うところもありながら、引き込まれて気持ちを重たく暗くしますね。どんな家庭にもある「秘密」
    イヤミスになるのかな、読後の感じ。

    普段から読むのが遅くて、推理や事件モノって途中でわからなくなってしまうことが多く、あまり手が出にくいのですが、続きが気になって一気読みしてしまいました。
    短く切られていて休憩もしやすかったです。

    最後の方は息を詰めて読んでいたようで、最後の一行を読み終わると同時に呼吸を思い出す、感じでした。

  • 知りたい欲求一筋、の一冊。

    一気に読まされた。

    第一部の母の叫びはつらかった。
    寄り添いたい気持ちから次第に離れたくなる気持ちにさせられた。

    そしてガラっと別の事件を軸にした第二部。

    何がどう繋がるのか、読み手はいくつものあの日何があったのか、どうして死ななければならなかったのか、知りたい欲求一筋にさせられる。

    これは完全に著者の仕掛けにハマった最高の時間。

    そしてこの鮮やかな繋がりになるほど!と唸らされたのも束の間、一気に鼓動が嫌な音をたてて加速する。

    全てを見てしまったせいなのか…。
    あぁ!という言葉しか出ない。 お見事な読後感。

  • 著者の作品は初読みとなりましたが、気になっていた一冊をようやく手にしてみました。

    いわゆる謎解きミステリー、ラストで明かされた衝撃の結末、とくれば大道ですよね。

    でも違うんだなぁ。

    エッー!!(゜ロ゜ノ)ノ

    って感じの大どんでん返しが大好物の私ですが、全てが繋がった後に残ったのは朝靄の中に現れる何人かの知人のような感じ。

    15年前(2004年)の大樹の死と第二部から始まる2009年のパートは確かに繋がるんです。

    読み終えた読者は全てを理解するんです。

    ただそこに隠されていた真実が解き明かされた時に得られるのは爽快感ではなく、主人公ともいえる大樹の母いずみ、結果的には殺されていた辰彦の母智恵に妻の野乃子、野乃子の母瑤子と言った本作の主要登場人物(女性)達のそれぞれの思い。

    即ち、本作は単なる謎解きミステリーのみならず、母親と子供(実母•義母)の関係を描いた作品でもあることに気付かされる。

    立場は違えど子を思う母親。

    自身も子供の時に母親を殺された経験を持ち、15年前の大樹が亡くなった事故と今を繋ぐ橋渡し役として描かれる三ツ矢刑事は母が死んだ理由を追い求めながら、何故15年前に大樹が夜中に家を抜け出し、たまたま逃亡した殺人犯を追っていた警察の職質から逃げ、その結果命を落とすことになるのですが、三ツ矢は「なぜ」に固執する。

    本作のキーワードとなる「なぜ」。

    しかしながら、三ツ矢が知りたい「なぜ」は解明されません。

    そんな結末も含めて味わったことのない読後感に浸っています。



    説明
    内容紹介
    『完璧な母親』著者が放つ慟哭のミステリー

    北関東の前林市で平凡な主婦として幸せに暮らしていた水野いづみの生活は、息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。深夜に家を抜け出し、自転車に乗っていた大樹は、何をしようとしていたのか――。
    15年後、新宿区で若い女性が殺害され、重要参考人である不倫相手の百井辰彦が行方不明に。無関心に見える妻の野々子に苛立ちながら、母親の智恵は、必死で辰彦を探し出そうとする。
    刑事の三ッ矢と田所が捜査を進めるうちに、無関係に見える二つの事件をつなぐ鍵が明らかになる。
    『完璧な母親』で最注目の著者が放つ、慟哭のミステリー。

    【編集担当からのおすすめ情報】
    「この小説は価値観を一変させる力がある。軽い気持ちで読み進めれば火傷するかもしれない」(内田剛さん/フリー書店員)
    「まさきとしかは、この1作で間違いなく飛躍する。イヤミスの先頭集団に、躍りでるはずだ」(浅野智哉さん/ライター)
    発売前から反響続々、ミステリー好きなら必読の一冊です。
    内容(「BOOK」データベースより)
    北関東の前林市で暮らす主婦の水野いづみ。平凡ながら幸せな彼女の生活は、息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。大樹が深夜に家を抜け出し、自転車に乗っていたのはなぜなのか。十五年後、新宿区で若い女性が殺害され、重要参考人である不倫相手の百井辰彦が行方不明に。無関心な妻の野々子に苛立ちながら、母親の智恵は必死で辰彦を捜し出そうとする。捜査に当たる刑事の三ツ矢は、無関係に見える二つの事件をつなぐ鍵を掴み、衝撃の真実が明らかになる。家族が抱える闇と愛の極致を描く、傑作長編ミステリ。

    • NORAxxさん
      ヒボさん、こんにちは^ ^
      私も同じタイミングで本書、楽しんでおりました。うふふ、嬉しくてついコメントしてしまいました。
      確かにどんでん返し...
      ヒボさん、こんにちは^ ^
      私も同じタイミングで本書、楽しんでおりました。うふふ、嬉しくてついコメントしてしまいました。
      確かにどんでん返しが主流と化したミステリーが増える中、この作品は新しい衝撃を提供してくれましたよね。読了感でいえば後味悪いものなのかもしれませんが、本作で決定的に著者のファンとなってしまいました(´˘`*)
      いつも素敵なレビューありがとうございます!!また楽しみにしております。
      2022/02/05
    • ヒボさん
      NORAxxさんコメントありがとうございます♪
      私も読みながら、NORAxxさんと同じタイミングで本書を読んでいるんだと勝手に仲間意識を持っ...
      NORAxxさんコメントありがとうございます♪
      私も読みながら、NORAxxさんと同じタイミングで本書を読んでいるんだと勝手に仲間意識を持っていました。
      なんか初めての感覚を味わえたので、午後からシリーズ第2弾「彼女が最後に見たものは」を読むつもりです。
      私もいつもレビューを参考にさせて頂いているので、今後もよろしくお願いします(^^)
      2022/02/05
    • NORAxxさん
      お返事ありがとうございます^ ^
      わぁ、同じ気持ちでいてくれたこと嬉しく思います。シリーズ2弾気になってますがまだ手元にないので悲しきかな読...
      お返事ありがとうございます^ ^
      わぁ、同じ気持ちでいてくれたこと嬉しく思います。シリーズ2弾気になってますがまだ手元にないので悲しきかな読むことは叶いません、、、。そちらのレビューも楽しみにしてます。次はどんな感覚を味わえるか楽しみですね(´˘`*)☆
      2022/02/05
  • 15年前、女性連続殺人犯に間違われパトカーに追跡され、事故死してしまった中学生の大樹。
    あの日大樹は何の為に、夜遅くに自転車でこっそり外出したのか?
    どこにでもある普通の家族をおそった大樹の死。
    逃亡した殺人犯は逮捕されたが、大樹の死の理由は明かされぬまま。
    母親の無償の愛の強さは時に、凶器とも狂気ともになる結末だった。
    家族とはいえ、親に見せている顔が100%ではないことはわかるが、あのまま大樹が事故死してなくても悲しい事件が起きていたのかも知れないと思うとぞっとする。なかなかの嫌ミスでした。

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著者プロフィール

1965年東京都生まれ。北海道札幌市育ち。1994年『パーティしようよ』が第28回北海道新聞文学賞佳作に選ばれる。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)を受賞。
著書に『熊金家のひとり娘』『完璧な母親』『大人になれない』『いちばん悲しい』『ある女の証明』『祝福の子供』『あの日、君は何をした』『彼女が最後に見たものは』などがあり、近刊に『レッドクローバー』がある。

「2022年 『屑の結晶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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