殺した夫が帰ってきました (小学館文庫 さ 40-1)

著者 :
  • 小学館
3.42
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感想 : 478
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094070088

作品紹介・あらすじ

やっと手にした理想の生活だったのに……

都内のアパレルメーカーに勤務する鈴倉茉菜。茉菜は取引先に勤める穂高にしつこく言い寄られ悩んでいた。ある日、茉奈が帰宅しようとすると家の前で穂高に待ち伏せをされていた。茉奈の静止する声も聞かず、家の中に入ってこようとする穂高。

その時、二人の前にある男が現れる。男は茉奈の夫を名乗り、穂高を追い返す。男は茉奈の夫・和希に間違いなかった。しかし、茉奈が安堵することはなかった。なぜなら、和希はかつて茉奈が崖から突き落とし、殺したはずだったからだ。

戸惑う茉奈をよそに、和希は茉奈の家に上がり込む。改めて話を聞いてみると、和希は過去の記憶を一部なくしており、茉菜と一緒に暮らしたいという。茉菜は渋々それを受け入れる。

かつての和希はとても暴力的な人間だったが、いざ暮らしはじめると、暴力的な影は一切見られず、平穏な日々が過ぎていった。

しかしそんな矢先、茉奈のもとに一通の手紙が届く。手紙には一言だけ「鈴倉茉菜の過去を知っている」と書かれていて……

記憶をなくし帰ってきた、殺したはずの暴力夫。謎めいた正体と過去の愛と罪を追う、著者新境地のサスペンスミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • ズバリ、タイトル通りの物語。

    既読の別著者作品「今日は天気がいいので上司を撲殺しようと思います」や「あの日、君は何をした」など、最近やたらと私に囁きかけてくる表題名作に、どうやら惹かれがちなようだ。

    そして今回は『殺した夫が帰ってきました』そうな。


    ほう、それは困りましたな。
    と、居た堪れない気持ちになり手にとった作品。

    初著者だったが、とても読みやすい文体で一気読みにて3時間ほどで読了。

    率直に話の構成が面白かったし、考えさせられるテーマもあった。そして見事にミスリードにハマり、久々にやられた感を味わえた。これだからミステリーはやめられない(お酒はやめて今日で441日目だが)

    しかしながら、タイトルから安直に想像するストーリー通りにはいかず、展開や視点も変わりつつ、張り巡らされた伏線も回収されながら進行していくので、ながら読書だと混乱する可能性が高い作品だと感じた。
    少なくとも私の読書レベルでは無理だ。
    きっと感想も変わっていたであろう。

    よって本作に興味を持たれ、これから読書予定の方へ「隙間時間で」「仕事の合間に」「お酒のツマミに」は、私からはお勧めしない。

    是非とも一気読みで味わっていただきたい作品である。

    • akodamさん
      ゆうママさん
      こんにちは。コメントありがとうございます。

      で・す・よ・ね…。私は不覚にもホラーなタイトルに惹かれてしまいました。

      勇気が...
      ゆうママさん
      こんにちは。コメントありがとうございます。

      で・す・よ・ね…。私は不覚にもホラーなタイトルに惹かれてしまいました。

      勇気が湧きましたら是非!(´∀`*)
      2021/08/31
    • 1593189番目の読書家さん
      無言フォローすみません、フォローありがとうございます!
      感想読ませていただいて、気になって私も今日買ってきちゃいましたˊᵕˋ♪
      無言フォローすみません、フォローありがとうございます!
      感想読ませていただいて、気になって私も今日買ってきちゃいましたˊᵕˋ♪
      2021/09/16
    • akodamさん
      1593189番目の読書家さん

      こんばんは。
      コメントありがとうございます。

      私の拙いレビューで購入されたとのこと、何とも光栄です。重ね...
      1593189番目の読書家さん

      こんばんは。
      コメントありがとうございます。

      私の拙いレビューで購入されたとのこと、何とも光栄です。重ねてありがとうございます!

      くれぐれも【ながら読書】はお控えの上、ご堪能ください。

      今後ともよろしくお願いします^ ^
      2021/09/16
  • タイトルにある通り「殺した夫が帰ってくる」のですが…
    予想もしていなかった壮大なストーリー展開。
    全体に張られた伏線の回収が見事でした。
    ラストも良かった。

  • タイトルに惹かれて購入。
    読みやすく、先が気になってスラスラ読めた。
    だけど答え合わせは、とにかくややこしい。複雑。混乱した。
    なになに?どうゆう事?とだいぶ盛り上がった。
    でも伏線回収も最後はしっかりされているんだけど、おー!なるほど!!という感じではなく、へぇ〜あ〜だからか…。という感じ。
    いつも最低な方、最悪な状況を考えてしまう癖。とても共感出来た。私も小さい時からの癖だなと思った。

  • 殺した夫が帰ってきて助けてくれるところから
    始まる。

    ミステリー好きな人ならある程度
    読めるストーリーではあるものの、
    読み終わった後に、
    序盤をもう一度読んで
    矛盾なく展開出来ていることは素直に
    すごいと思いました。

    もう少し感情移入出来てたら、尚良かったかな。

  •  目の前に突如現れた男を見た茉菜は驚いた。それは死んだはずの夫だったからだ。
     DV男だった夫が崖から転落したのは間違いない。あそこから落ちて助かるとは考えられない。なのに……。

     新米服飾デザイナーを襲った不可解な出来事を描くサスペンスミステリー。プロローグおよび全4章。
             ◇
     鈴倉茉菜は都内アパレルメーカーに勤める新米デザイナー。憧れの職に就けた茉菜は懸命に仕事に励む日々だが、取引先の穂高という男から一方的に好意を寄せられ困っていた。

     ある日の会社帰り。茉菜は自宅前で待ち伏せしていた穂高に襲われかけた。そのとき穂高の前に立ち塞がり撃退したひとりの男。その男の顔を見て茉菜は息を飲んだ。それは死んだはずの夫、和希だったのだ。

     崖から転落して頭を打ち、記憶の多くを喪失しているという和希の説明に半信半疑ながら、茉菜は1LDKの自室に和希を迎え同居生活を始める。
     和希は以前と打って変わり穏やかで優しく、DVはおろか茉菜に指1本触れることもない。家事にもまめに取り組んでくれるため、仕事が忙しい茉菜にとって生活自体は快適だ。

     けれど、まもなく奇妙な手紙が茉菜宛に届くようになる。それは茉菜の秘密を知っているという内容だった。

         * * * * *

     本作の柱は3つあります。

     1つめは茉菜の前に現れた男の正体。
     茉菜は男の顔を見て、夫の和希だと断じています。同時に、茉菜が和希の死を疑ってないのも事実です。とすると、この和希そっくりの男はいったい誰なのでしょうか。

     2つめは茉菜の過去についての秘密。
     服飾デザイナーである現在の茉菜と、悲惨極まりない幼少時の茉菜という、異なる時期の茉菜の姿が交互に描かれていきます。 
     そこから判断すると、茉菜は無戸籍児だったはずです。高校はおろか、小中学校すら卒業していません。
     なのに現在、服飾デザイナーとしてメーカー勤務できるほどになっているのです。恐らくは専門学校も卒業しているでしょう。
     履歴書も含め、茉菜はそれをどのようにして可能にしたのでしょうか。

     3つめが、不気味な手紙の送り主とその目的です。過去を知っているということばだけで、具体的な脅しや要求は書かれていません。いったい誰が何のためにという謎も大きくのしかかってきます。

     物語の焦点となったその3点を無理なく解き明かしていく見事な展開に、(でき過ぎの感はあるけれど)感心しました。
     終盤は読むのを止められなかったほどです。

     不幸極まりない境遇から夢を掴もうとすることは、どんなときも許されないのか。茉菜に夢の続きを見せてやって欲しかったというのが、正直なところです。(大岡裁きが見たかった)

  • とあるブログでお勧めの一作ということで読んでみた作品。
    過去に殺したはずの夫が自分の家を突きとめ、奇妙な夫婦生活を送るという物語が新鮮でとても面白い。茉菜の普段からの行動が過去から離れたいがために行っている(病院に行こうとしなかったところなど)ことがそもそも戸籍がなく別人として生活をしていたからなのがとてもびっくりした。
    そして、物語は暗いながらも佑馬と愛の2人が幸せに向かって歩き出したところで物語が終結したところが、サスペンスだけではない希望の物語でもあると言う事を感じた。

  • ビックリするタイトルに惹かれて購入。
    不遇な過去を持つ主人公と死んだと思っていた夫の突然の帰宅。
    暴力的な性格から180°変わった夫との奇妙な夫婦生活。
    彼女の過去と現在の繋がり。何より死んだと思っていた夫の謎。
    終盤にかけて真相が明らかになり、最後の最後で判明した彼女の真相。
    とても驚かされました。
    不幸な生い立ち、DV、ストーカー被害となかなか読んでいて辛いものもありましたが。
    惹きこまれる作品だったと思います。

    • アールグレイさん
      初めまして(。。)

      突然に失礼致します。
      ゆうママと申します。
      時々いいねを頂いているようで、ありがとうございます!長いお名前の方、と覚...
      初めまして(。。)

      突然に失礼致します。
      ゆうママと申します。
      時々いいねを頂いているようで、ありがとうございます!長いお名前の方、と覚えてしまいました。(m`*-*)
      この本は図書館に予約受付済みです。そろそろ廻ってきそうです。
      他のフォロワーさんが読んだ時から気になっていて、とうとう・・・・凄い題名ですね。
      では、突然失礼しましたm(._.)m
      2022/04/21
    • o.c.beats aka K.YOKOYAMAさん
      ゆうママさん、はじめまして!
      コメントありがとうございます!!

      この作品、僕的に結構面白かったです。
      終盤にかけてかなり驚きもしま...
      ゆうママさん、はじめまして!
      コメントありがとうございます!!

      この作品、僕的に結構面白かったです。
      終盤にかけてかなり驚きもしました。
      図書館から廻ってきたらぜひ読んでみてくださいね。

      ではでは、長いお名前の者でした 笑
      2022/04/25
  • アパレルメーカーに勤める鈴倉茉奈には5年前にDV夫を崖から突き落とした過去がある。仙台から東京に出て一人静かに暮らしていたが、ある日職場繋がりのストーカー男に自宅前まで追い詰められる。その時助けてくれた男はなんと夫!事故で記憶喪失になったという夫と茉奈は一緒に暮らし始めるがかつてとは違い穏やかな日々が続く。しかし夫の行動には不審な点があり、過去の犯罪を告発する手紙が届く。間に壮絶な少女の過去が挟まれどう繋がるかと思っていたらそっちかー、いや更に転がっていったぞ、とここは驚く。真相も絡んだ糸が綺麗にほぐれて読後感も良い。ただタイトルとは違ってしっかり殺してないじゃないかー。ここ不満。

  • タイトルに惹かれ、本作を手に取りましたが、なるほどこういう結末なのねという感じでした。

    物語の設定としては、殺した夫が記憶喪失の状態で帰ってくるという非常シンプルなもの。そこから、一緒に暮らす中で湧いてくる不信感や違和感をもとに、真実を探っていくという内容。

    物語は基本会話ベースで進むため、比較的読みやすいです。内容としては日常描写が多めですが、殺した夫が何を考えているのか分からないというアクセントがあり、緊迫感があってヒリヒリした感じがありました。

    タイトルからどういうバッドエンドへと進んでいくのか、少し期待していたこともあったので、結末が個人的には好みではなかったように感じました。

  • サクッと読めるのでミステリーを1日で軽く読みたい時に良い一冊。だが内容は重め。タイトルのインパクトが◉

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著者プロフィール

2013年、第19回電撃小説大賞で大賞を受賞した『きじかくしの庭』でデビュー。21年、コミカライズ版『塀の中の美容室』が、第24回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。著書に、『幻想列車 上野駅18番線』『殺した夫が帰ってきました』など多数。本書は、相続を通し、バラバラだった家族が過去の軋轢や葛藤を乗り越える期間限定の家族の物語。

「2022年 『相続人はいっしょに暮らしてください』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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