きみはだれかのどうでもいい人

  • 小学館 (2021年9月7日発売)
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本 ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784094070606

作品紹介・あらすじ

人とわかりあうことは、こんなにも難しい。

税金を滞納する「お客様」に支払いを促すことを仕事とする県税事務所の納税担当に、同期が休職したことで急遽異動させられてきた若手職員の中沢環。彼女は空気の読めないアルバイト・須藤深雪を始めとする周囲の人間関係に気を遣いながら、かつての出世コースに戻るべく細心の注意を払って働いている――(第1章「キキララは二十歳まで」)
週に一度の娘との電話を心の支えに、毎日の業務や人間関係を適当に乗り切るベテランパートの田邊陽子。要領の悪い新米アルバイトや娘と同世代の若い正規職員たちのことも、一歩引いて冷めた目で見ていたはずだったが――(第3章「きみはだれかのどうでもいい人」)
業界中から絶賛の声、殺到!ブクログ第1位、啓文堂書店大賞第2位、「ダ・ヴィンチ」の「今月の絶対にはずさない!プラチナ本」にも輝いた超話題作がついに文庫化。
同じ職場に勤める、年齢も立場も異なる女性たち。見ている景色は同じようで、まったく違っている――。職場で傷ついたことのある人、人を傷つけてしまったことのある人、節操のない社会で働くすべての人へ。迫真の新感覚同僚小説!
解説は、単行本時から絶賛の言葉を寄せてくださっていた島本理生さんです。


【編集担当からのおすすめ情報】
単行本時、大きな反響をいただいた今作。まずタイトルが心を鷲掴みにして放しません。読み終えた後で2度読みしたくなるミステリ的な仕掛けや、普段、仕事をしながら私たちが感じている言葉にならない思いを、見事なまでに丁寧に、繊細に言語化した今作は、まさに著者渾身の傑作です!この文庫化を機に、これまで以上に多くの方が今作を手に取り、感じた「モヤモヤ」をSNSや読書仲間と共有してくださることを心より願っています。

感想・レビュー・書評

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  • なるほどね、同じ出来事や言葉でも人によってはこんなにも受け止め方が違うのだと。
    自分にとってあまり関わりのないような人の気持ちもこの本を読むとなるほどね、と思える。
    でもどこに救いはあるのかな。
    自分の気持ちを見つめ直して、その先はどうなるのか全く分からないまま終わってしまった。

  • 県の税務課を起点にした4人の女性の物語。
    愚痴、陰口、パワハラ、セクハラ、家庭環境、障がい者雇用、人事評価。
    公務員の窓口経験も女性のトイレや食堂の井戸端会議もすべて経験済みで一気に読み進んだが。。詰め込まれすぎて。
    まあ、働いているとこんな人あるあるすぎて。被害者加害者つうのもなんだかなと
    わたしの中では何も残らなかった。
    私自身が女性にも当てはまらなかったからかな。そうでもないか。
    窓口で怒鳴られたことも、殺してやると傘を投げられたことも、女性特有の陰口や、無視もあったり、嫉妬で靴隠されたりと、疲弊したこともあったけど、決して強くはなかったけど、
    乗り越えてこられたのはわかってくれる人がいたこと、家族が暖かかったこと、本を読むことで妄想できたことで、何だかんだ幸せだっただろうからだな。
    わかることは、みんなみんな必死なんだよ。逃げたくなることあるよ、名誉が欲しい人もいるよ(要らんけど)
    みんな被害者で加害者
    みんな正しくて、正しくない
    しかし今の時代。利害関係にある人に言葉かけるのが難しい。

  • すごく為になったとか、面白かったってわけではない。
    どっちかと言えば暗い話。
    この本は【須藤深雪】という俗に言う【仕事の出来ない人】で心に病を患っていて、特別枠でこの職場にきた。
    その彼女を4人の他の女性視点から書かれてる。

    個人的に評価が高いのは、まさにちょうど今の自分も今までの自分もここに出てくる【須藤深雪】のような人材の育成に携わっているから。

    何かこの本から得られるものがあるんじゃないかって、衝動買いした。
    それぞれの登場人物の須藤深雪に対するイライラはすごく共感できるものではあった。
    所々になるほどと思う文もいくつかあったけど、中でも自分にも誰にも言い訳できない、逃れられない、それくらいハッとさせられたのが

    "他者を主体に行動した時点で期待が生じるもの。だれかのため、なんて聞こえのいい言葉でモチベーションを人に転嫁するのは甘え。"

    できない人が少しでも出来るようになるように、負担やストレスが少しでも減るように仕事を教えて…
    その周りの人たちも振り回されるストレスがないように…
    なんて考えて、できない人に能力以上のことを【期待】してるつもりはなかったけど、わたしのモチベーションを人に転嫁してただけなのかな。


    この本を通して答えは出なかったけど、自分自身の課題には気づけた。

    職場で誰かに傷つけられたり、逆に傷つけた人も興味があれば読んでみてほしい。

  • 同じ職場で働く年齢も立場も違う4人の女性たち。
    見えない刃でお互い傷つけ、行き場のない怒りが交錯する。どうでもいい人と突き放せたら楽だけど、そうはいかないのが現実。人間関係のややこしさ、この話から漂うヒリつきがリアルで引き込まれました!

  • 再読!県税事務所に勤める年齢も立場も異なる4人の女性たちが織りなす連作短編集
    あまりにリアルすぎてヒリヒリしながら読んだ
    どんな人でも何かを絶対抱えていて、私自身も経験したことのある過去の仕事のトラブルや嫌な気持ちをつらつらと思い出した
    ”県税事務所”という場所柄相手をしなければいけない人たちもまた大きな怒りや辛さを抱えていることが多い
    読んでいるだけでヒュッと心臓が縮む場面がいくつも出てくる
    けど、それが”働く”ということをより鮮明に、リアルに感じさせてくれた
    今、働くことになんだかしんどい思いをしている人ほど読んでほしい

  • 職場の人間関係がリアルに描かれていて、共感する箇所がたくさんありました。
    職場の人間関係難しいですね…

  • タイトルが気になり読んでしまいました…
    内容的にはかなり残念でしたー
    なんか愚痴のオンパレードで、タイトルとの繋がりがどこであるのか判りませんでしたがアタシだけなのかなぁ、確かに職場あるあるなシーンがやたらと出てくるけど日常の出来事を書き綴った印象しか感じなかったかなぁ

  • 県税事務者に勤める4人の女性が主人公。
    同じ時間帯を1章づつ4人の視点でそれぞれ書かれているので、読み進めると、あーそういう事だったのかぁーとか、いやいやそんな事思ってたのかぁーとかが、次々出てきます。
    職場って色々有りますよね。
    皆プライベートでも色々有りますよね。
    スッキリする話では無いけれど、皆色々有るよねーと思ったら、何時もより人に少し優しくなれるかも。

  • 職場のリアルな感情が溢れんばかりに出てきます。できる若手、出来損ないの若手、要領のいい陰口おばさん、完璧主義のTheお局様。それぞれの立場の想いや言い分が分かります。
    弱肉強食を、まざまざと見せつけられます。
    須藤さんは挙動やイジメられ方から、発達障害の傾向があるのかと思ったら、そうではなかったのですね。
    渡邊さんは私が一番厄介に感じるタイプ。わかりやすいSOSだったのに皮肉な結果だと思う。自業自得と思うのは私の性格も歪んでるのかな。
    須藤さんが結局一番強いのかも。

    わたし的に時期的なものもあるのかもですが、読んでて非常に疲れてしまいました。
    こういう本は高カロリー消費するので読む側のコンディション次第でも受け止め方が大きく変わるかもですね。

  • 歌の歌詞にも出てくる「って誰もお前のことなどきにしてないだろ」ってやつですね。強く生きていけそうな気がしてきた。

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著者プロフィール

1986年、静岡県生まれ。2015年、「変わらざる喜び」(「名前も呼べない」に改題)で、第31回太宰治賞を受賞。他の著書に『稽古とプラリネ』『緑の花と赤い芝生』『きみはだれかのどうでもいい人』『ピンク色なんてこわくない』がある。

「2022年 『名前も呼べない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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