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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784094073508
作品紹介・あらすじ
劇場にはかからない“現場”の物語
「ニヤニヤ、クスクス。これ、立派な映画作りの教則本です」役所広司
シカゴ国際映画祭観客賞・最優秀演技賞〈役所広司〉ほか、国内外の映画賞で高く評価された『すばらしき世界』は、佐木隆三によるノンフィクション・ノベル『身分帳』を原案に、西川美和監督が初めて原作ものの映画化に挑んだ作品だ。
本書は、原案小説との出会いから、取材と脚本の執筆、撮影から編集など、五年にわたる制作の日々を、監督自ら赤裸々に綴るエッセイ集である。
原案小説との出会い、公的機関による婚活パーティーへの潜入、長く仕事をともにしたスタッフとの別れ、刑務所での対話、『身分帳』のモデルとなった人物の足跡を辿る旅、スタッフが集う撮影前の緊張感、コロナによる編集作業の中断、出演者への思い──一本の映画の企画が立ち上がり、それが完成するまでの過程が監督の思いとともに仔細に描かれ、映画業界を目指す人や映画ファンはもちろん、多くの人に読まれるべき一冊だ。
幼い頃の記憶や街角の風景などのエッセイや、『すばらしき世界』に登場する人物の過去を描いた小説「蕎麦屋ケンちゃん失踪事件」も収録する。
文庫化にあたり、映像業界の変化に鑑み、単行本刊行後の状況を加筆するだけでなく、その後発表された三本のエッセイと、「あとがき」というには内容もボリュームも読み応え抜群の書き下ろしの文章を加えた。まさに、増補決定版!
【編集担当からのおすすめ情報】
『すばらしき世界』の主演俳優・役所広司さんから「映画作りの教則本」というお墨付きをいただきました。一つの映画作品のすべてに誠実に関わっている監督だからこそ書ける作品です。『すばらしき世界』をご覧になった方はもちろん、これから観る方にも楽しんでいただけるアナザーストーリーです。映画制作の過程を折々で描き続けた“熟成”の醍醐味をぜひご堪能ください。
感想・レビュー・書評
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映画「すぎらしき世界」の映画監督さんです!映画愛が溢れてます。作るの大変なんですね!
役所広司さんは凄いです。 -
西川さんの文章はとにかく比喩が巧みでうなる。硬派な文章も軟派な文章も書けるし、周りに配慮しながらも鋭さもある。
病床の八千草さんにオファーして撮影に入れるか?という件はなんだか読んでていて涙が出そうだった。 -
ちょうど、祖母を看取った2025年明けの頃読んだエッセイ。練馬の星乃珈琲店の思い出。
中でもエッセイ「花」は病のため入院を繰り返す八唯一無二の役者、千草薫さんへお仕事を依頼し、撮影までフィジカル、メンタル共に繊細な配慮を様子が描かれている。
万一、八千草さんが撮影が出来ない場合のリスクヘッジとして、ギリギリ当日まで出演するや否やという(!)奇特な条件を受けてくださる方を探す。やはり映画もビジネスである。
各所への配慮、心配り。リスクヘッジ。
仕事とは、こういうものだよね。
死期が迫り弱まる祖母みる孫として、
そして社会で生きるビジネスマンとしては、共感とケアの細やかさへの尊敬の嵐でした。
最後は、八千草さんの訃報を受け、急遽代役シニアモデルの方のリハーサルを繰り返し、撮影を終えた様子がコミカルに描かれており、あっぱれ!女の仕事の配慮の細やかさ!といった読了感であった。
もろもろ落ち着いた頃、映画『素晴らしき世界』を観たのは、いい思い出である。 -
選書番号:890
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映画「永い言い訳」を観た後で読んだ、「映画にまつわるXについて2」がとても面白かったのです。
なので今作が出たと知って早く読みたかったのだけど、
これは絶対に「すばらしき世界」を観てからがいい!と思い、映画を観てから読んだ。先に裏話を読んでしまうと、映画を観ながらそれに気を取られてしまうと思ったので。
映画作りへの熱い気持ちや、丁寧な言葉選びから
西川さんはとても人が好きなのだろうなあと想像できました。
今作にまで本木雅弘さんが登場したのが面白すぎました。
西川さんのエッセイはこれからもぜひ映画とセットで読みたい! -
著者自身の監督・脚本の映画「すばらしき世界」の製作から公開までの舞台裏を如実に綴ったエッセイ。実際の映画製作のさまざまやコロナ禍で右往左往する現場などが赤裸々に記されている。映画作りの大変さと楽しさが伝わる。
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得も言えない満足があった 生殺与奪の権利 舌鋒鋭いクールガイ 柔らかくも同意見 作り物ならではの甘い泣かせどころを木っ端微塵に粉砕する 自分の事を一顧だにせずに他の誰かとくっついたり 気軽に関わりを保てる関係性は年々収斂されていった 組の為に滅私奉公を誓う 分厚い鉄扉の横には配膳口が有り 駈け込み訴え 「侮辱」と読むのも浅慮なのかもしれないが 人間の中に巣食うどうにもならないものばかり探っている気がする 日本橋の上に被さった首都高速道路が 江戸・東京のアイデンティティの臍をぶっ潰したようなあの珍妙なふう自体 清濁合わせ呑む東京の緩い懐に その尋常ならざるカタストロフに明らかに興奮していた 参加者達はどっぷり日が暮れる迄体を酷使しなければ自らの「奉仕欲」を満たせなかったし 本当はその間何とも誰とも戦ってはいない 裁ち鋏 昭和天皇もマッカーサーも呪いまくる 「同感だよ。宣言は、勝手にするものでしょ。『関白宣言』。解除と言われたって、知った事かよという話。『令』という責任を伴う言葉を敢えて使わず、受け手の問題にすり替えてるんですよ」 この巧妙なレトリックによって日本語のルールが壊され、それをぬるりと受け入れていく事に、気味の悪さを感じている。 体裁を繕っているようにしか思わないのです
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コロナ禍で見逃してしまった「素晴らしき世界」読み終わったら、配信で探して観ようと思っていたら、あとがきでまさかのネタバレ。映画、観てない人はご注意ください。
著者プロフィール
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