狼の牙を折れ 史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部

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  • 小学館 (2024年8月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784094073799

作品紹介・あらすじ

公安捜査官「実名」ノンフィクション

50年にわたって逃亡を続けた桐島聡が死の間際に名乗り出たことで改めて注目されることになった「東アジア反日武装戦線」。

1974年、東京・丸の内、三菱重工ビル。昼休みを終えようとするオフィス街に轟音と爆風が駆け抜けた。瞬く間に立ち込めた白煙、正視に耐えない遺体、身動きできない重傷者の上に容赦なく砕けたガラスの破片が降り注いだ。

現場に駆けつけた捜査官は、爆発の衝撃でコンクリートに生じたすり鉢状の孔に向かって心の中で語りかけた。

おまえら、やるのかよ。こんなことやっても世の中はなんにも変わりゃしないんだよ。なんでこんな罪もない人たちを殺すんだ。俺たちが「受けて立たなきゃいけない」じゃないか――。

犯行声明を出したのは「東アジア反日武装戦線”狼”」。11件に及ぶ連続企業爆破事件の嚆矢だった。

史上最大のテロ「三菱重工業爆破事件」を引き起こした謎の犯人グループは、天皇暗殺まで企てていた。「狂気の犯罪」に警視庁公安部はどう立ち向かったのか。

捜査の指揮を執った土田國保警視総監の日記を初公開。日本で初めての公安捜査官「実名」ノンフィクション。

解説:佐々木類

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

1970年代に発生した連続企業爆破テロ事件を背景に、警視庁公安部の捜査官たちの緊迫した攻防を描いたノンフィクションです。特に、三菱重工ビルの爆破事件は、死者8人、重軽傷者376人を出す前代未聞の惨事と...

感想・レビュー・書評

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  • 門田隆将『狼の牙を折れ 史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部』小学館文庫。

    1970年代に起きた連続企業爆破テロ事件の犯人『東アジア反日武装戦線 狼』と警視庁公安部の息詰まる攻防を描いた読み応えのあるノンフィクション。

    今年、2024年1月に50年に亘り逃亡を続けていた『東アジア反日武装戦線』のメンバーの1人、霧島聡が死の間際に名乗り出たという衝撃のニュースが駆け巡ったことは記憶に新しい。霧島は日本の高度経済成長の末期に起きた史上最大の爆弾テロの犯人グループの1人だった。

    現代の日本に於いては、裏金問題、脱税、企業献金、旧統一教会との蜜月などなど宗教団体を背景とする政党と連立政権を組む与党を中心とした政治家の腐敗が留まることを知らない。さらには非正規労働者の増加による所得の低下、増税や社会保障費の増額、無策による物価高、社会保障給付金の減額と日本社会は堕ちていく一方である。こんな時代に極左組織が居たならば、たちまちテロ活動が活発化したに違いない。

    しかし、今の時代は犯罪者は余り群れることはせず、ネットやSNSを巧みに使い、匿名性を利用しながら、経済的に困窮した若者たちを手足に使い、所謂、闇バイトによる強盗事件や特殊詐欺といった犯罪を行なっている。時代と共に主義、主張は変貌し、ネットやITの進化により犯罪の質も変わってきているようだ。


    1974年8月30日、昼休みを終えようとしていた東京のオフィス街丸の内にある三菱重工ビルが爆破される。オフィス街には轟音と爆風が駆け抜け、瞬く間に立ち込めた白煙で覆われ、正視に耐えない遺体が転がり、身動きできない重傷者の上に容赦なく砕けたガラスの破片が降り注いだ。

    死者8人、重軽傷者376人を数えた前代未聞の爆弾テロ事件に犯行声明を出したのは『東アジア反日武装戦線 狼』という極左組織だった。さらに『東アジア反日武装戦線』の大地の牙、さそりを語る極左組織による財閥系企業を標的にした爆弾テロは連鎖していく。

    警視庁公安部は一連の爆弾テロの教科書となったと見られる『腹腹時計』を手掛かりに少しずつ『東アジア反日武装戦線』のメンバーの正体に迫る。

    本体価格860円
    ★★★★

  • 1974年の爆弾テロ、三菱重工爆破事件の犯人逮捕劇。逮捕したのは警視庁公安部。その個性的な刑事達の活躍が描かれた。公安というと、警察モノ小説ではあまり良くは描かれていないが、本作は公安が主役である。どこにでもいるような20代の女性が爆弾テロに関わっていた1970年代って、物騒な時代でしたね。


  • 事件のおよそ五ヶ月前に公安の手に渡り、差し押さえ令状の出た「こと細かに爆弾の材料、作り方や、注意事項、そしてどのように大衆の中に溶け込んで爆弾闘争を展開するか、その方法論や心構えまで、詳細に書かれていた、、、闘争用の爆弾教本」である『服服時計』

    犯人像に迫るために集められた頭脳集団は「『服服時計』の裏に潜むものを炙り出せ。文章から、文脈から、抱いている思想を読み解いて、誰がこれを書いたのか、影響を受けたのはどんな思想なのか、どういう人間の影響を受けたのか、それを徹底して分析せよ。誰が書いたのかがわからなくても、どういう思想のやつが書いたのか、そこに辿りつけ。左翼の論文の葉脈から、あらゆるものを割り出していけ」「いいか、読書百遍だぞ。何度でも読み直せ。百遍でも二百遍でも、文章を諳んじるぐらいまで読み込め」と指示される。そして読み込み読み込み、執念で「窮民革命論」がその底に流れている思想であり、「欠落」しているものは組織であり、「アナキスト」というどこのセクトにも属さない無政府主義者達の存在を浮かび上がらせていく。

    「日本共産党臨時中央指導部が武装闘争を展開していた頃に、時限爆弾や火炎瓶などの製造法を記した『栄養分析表』という爆弾教本を出したことがあり、、、犯人グループは、明らかにこれを参考にしていました。また彼らは、塩素酸カリウムとワセリンとパラフィン混合して〝セジット”と呼ばれる爆薬をつくり、それを白色火薬に混ぜていました。これは、事件の三年ほど前にオーム社というところから出版された『火薬と発破』という本を参考にしています。彼らが何を参考にし、何を利用したか、解析によって次々とわかってきました。」「犯人グループは、思想や理論だけではなく、その技術力も徹底して解析され、次第に丸裸になっていった」

    そして、捜査官たちの血の滲むような苦労の末に証拠づけられていった書類が逮捕状として形となる。全部で七人分。捜索令状二十本。フィクションではない犯人と公安の息詰まる攻防戦が、読む者の心臓を高鳴らせる。

    エピローグで、三菱重工爆破事件当時、中学三年生で父を失った息子さんの話が綴られる。
    「この長い歳月、心の中に熾火が残った中で生きてきたような気がする。気持ちが昇華されることはなくて、いつまでも熾火のままなのである。」「あの事件で収監されている人間は、死刑が確定したまま執行されず(後に、一人が獄中にて病死)、また、一方、国外逃亡中(超法規的措置にて釈放)の人間は、いまなお、逮捕されていない。」「そうだ、まだ捕まってないんだ。まだ、死刑になってないんだ」
    遺族の無念を思い、涙が流れる。

    私が生まれた年あたりから安保闘争が始まり、一連の爆破事件やあさま山荘事件は、子供時代に何もわからぬままニュースで見た記憶がある。
    その後、大学生になってからノンフィクション物として赤軍派の事件やキューバ革命等の本を読み漁り、今に至っても、オバマやクリントンの思想に多大な影響を与えたとされるアリンスキーの革命論を読んでみる。

    あとがきで門田隆将氏が「なぜ母国が崩壊することを望むのか。私にはどうしても理解できないのである。」と記しているように、私自身もそれを知りたいからだ。

    成功することのない暴力革命から文化革命へと舵を切った活動の本質。知らぬ間に洗脳されて、活動に巻き込まれていることさえ気づかずにいる、幸せを求める純粋な一般市民。私は騙されたくないから知りたいのだ。

  • よく、追い込んだな。

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著者プロフィール

作家、ジャーナリスト。1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、新潮社入社。『週刊新潮』編集部記者、デスク、次長、副部長を経て2008年独立。『この命、義に捧ぐ─台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社、後に角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。主な著書に『死の淵を見た男─吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)、『日本、遥かなり─エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』(PHP研究所)、『なぜ君は絶望と闘えたのか─本村洋の3300日』(新潮文庫)、『甲子園への遺言』(講談社文庫)、『汝、ふたつの故国に殉ず』(KADOKAWA)、『疫病2020』『新聞という病』(ともに産経新聞出版)、『新・階級闘争論』(ワック)など。

「2022年 『“安倍後”を襲う日本という病 マスコミと警察の劣化、極まれり!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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