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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784094073942
作品紹介・あらすじ
上映最終日前日、午後四時五十分の回の奇跡
銀座のミニシアターで、二年前に亡くなった末永静男監督の追悼上映が行われている。二十一年前に公開された『夜、街の隙間』、上映は一週間だけ。最終日前日、午後四時五十分の回。天気は雨、観客は六人だった。
この映画館で働いていた三輪善乃は、公開当時にチケット売場の窓口にいた。山下春子にとっては、大学の同級生と成り行きで観に行った作品だ。自主映画を撮っていた安尾昇治は、末永のデビュー作でその才能を目の当たりにし、道を諦めた過去がある。沢田英和は、この作品に元恋人との苦い思い出があった。誕生日デートのはずだった川越小夏は、一人でスクリーンを眺めている。映画監督を目指す本木洋央は、生物学上の父親が撮った作品を観に来ていた……。
観客たちの人生と、『夜、街の隙間』のストーリーを行き来しながら、出会いとすれ違い、別れを繰り返す日々の中にある奇跡を鮮やかに描く。
『ひと』『まち』『いえ』の著者が、銀座という街とミニシアター、そこに集う人々、そして映画への愛を描き切った渾身の人生讃歌。
限られた人生の中で「映画」と出会えた幸福を、この小説はあらためて教えてくれた。
──脚本家・向井康介さん(解説より)
【編集担当からのおすすめ情報】
デビュー前、シナリオを書いていたこともあるという小野寺史宜さんが、ご自身のシナリオをモチーフとして、スクリーンに映し出される物語とスクリーンの前に座る観客たちの世界を描きます。
2019年本屋大賞第2位に選ばれた『ひと』以降、『まち』『いえ』と続く三部作で、場と人間たちが織りなす感動を描き続けている著者が、「銀座」の「映画館」に集う「観客」を描きます。
脚本家の向井康介さんによる解説は、物語の魅力はもちろんのこと、末永静男監督とその映画作品について、時代背景を含めて考察され、読み応え抜群です。
感想・レビュー・書評
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小野寺さんの優しい作風にまたほっこりした
追悼作品が上映されているミニシアターで映画を観ている6人。そして、次の回を観る7人目。の物語。
映画に絡んで、それぞれの人生が描かれている。それぞれの人生はともすれば自暴自棄になりかねない人もいるなかで、皆堅実に嫋やかに日々を積み重ねている。映画の進行と同様に凡
々と。いや日常はそう平凡ではないのかもしれないが。過ぎていけば平凡。人々には普通に
夜がきて、朝がくる
そんな優しい物語詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミニシアターで、ある映画を観る六人。それぞれの人生を映画の風景も交えながら辿る物語。
ミニシアターという場所での出来事や一本の映画との出会い、映画を作った人との出会い、数々の出会いが交差し、心地良い物語となっている。
ミニシアターに行ってみたくなった。 -
映画見に行きたくなった。ミニシアター系の。
今までミニシアター系ってスカしていて芸術家気取りのわけわからん主張の物って思い込みがあった。
すいません、偏見でした。
という風に考えを改めさせられる作品だ。
テレビドラマと映画の違いってそんな表現の違いだったんだ。目からウロコ。
はじめはとにかく読みにくい感じで、登場人物が現実の人と劇中映画の人物の感情が突然行ったり来たりするので混乱した。しかし慣れてくると何か癖になってくる。後半になるほどもっと乗ってくる。
連作短編だけどほぼ絡み合うことはない。最後の最後にようやくまとまったときはスッキリした。
監督の不器用さも伝わり気持ち良いまとまりで良かった。監督ならではですな。
無理だけど「夜、街の隙間」実際に観てみたくなった。どんな風に感じるんだろう。
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銀座のミニシアター、数年前に亡くなった映画監督の作品が追悼上映される…そしてそこにたまたま集った観客6人には、それぞれの人生とこの映画には接点があった…
こんな一節があった。
一本の映画を通して観る二時間。その間は自分から離れ、自分でいる必要が無くなる。他人の日常を追体験し、元の自分に戻る…
まさに僕も映画が好きな理由はこれだ。
映画の中で、自分がいつの間にか政治家になったり、ヤクザ、刑事、ヒーローなり、違った人生を味わえる。(味わった気になる)
後からDVDとか配信で見るよりも、映画館で観るほうがやっぱり一番面白いよなぁ。
小説のストーリーは淡々と進んでいくが、映画のセリフや内容と観客の身の回りの描写が行ったり来たりして、時々見失うのが僕には少し残念だった。
銀座にあったシネパトス(2013年に閉館)や、飯田橋のギンレイホール(2022年に閉館)のことを思い出しました。今やシネコンばかりで、昭和の香りのするミニシアターは無くなる一方だけどなあ… -
末永静男監督の追悼上映に集まった6人の観客。
観客のこれまでの人生や置かれた状況を振り返りながら話が進められていく作品。
夜、街の隙間を観て、6人+息子が前向きな気持ちに変わっていく物語。久々に小野寺さんの作品を読んだけどやはり読後の幸福感が沁み渡る。 -
今朝、「家族のシナリオ」を読み終えて、そのままこれを読み始め、読了。出版社違うけど、関係の深い作品。どちらの作品でも、末松監督は亡くなっていてどんな人かは周りの人からの目線でしかないけれど、監督の映画がいろんな人の人生に影響を与えたり、単なる2時間の過ごし方の一つでしかなかったり。「家族のシナリオ」の主人公の母が20代の頃出ていた映画の描写がたくさん出てくるのが、今日の今日だからか興味深かった。そして、カメオ出演していた監督がつぶやいていた台詞とも言えない台詞に、心つかまれた。
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銀座のミニシアターで亡くなった映画監督末永静男の作品が追悼上映されることになり、それを観に来た人たちの短編集。
なんともビターな感じのヒューマンドラマ。複数登場人物の視点から描かれる群像劇だけど、特段外から見える大きな事は起こらない。映画を観ながら考え、それぞれが今と過去に思いを馳せて見終わったあと、少し心持ちが変わってちょっとスッキリ前に進めるようなくらいの気持ちに変化している、みたいな。大きなイベントが起きない分、描くのがなかなか大変そうだなあと素人ながらに思ったけど、本当のことは分かりません。 -
とある映画監督の追悼上映に集まった男女六人の人生を描く連作短編集。銀座のミニシアターが舞台なので、シネスイッチ銀座をイメージしながら読んでいたら、まさに著者の取材先だったのこと。映画のストーリーが登場人物たちの物語と並行しながら進行するため、作中映画『夜、街の隙間』を登場人物たちと同じ目線で味わえるのが良い試み。この作中映画の造り込みが絶妙で、実際に上映されるとしたら私は間違いなく観に行ってしまうだろう。但し、登場人物たちの物語が殆ど恋愛絡みで、人生ってそれだけじゃないのでは?と思わずにはいられなかった。
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映画の中の登場人物たちが少しずつ交わるように、映画を観ている人たちも少しずつ交わる。ヒューマンドラマという感じで面白かった。映画が好きなので「夜、街の隙間」を観てみたくなった。
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映画を観ているこっちにだって
いろいろ物語があるんです。 -
映画監督が亡くなりその追悼上映のある一日の同じ時間にミニシアターに映画を観に来た六人。その一人ひとりが映画を観ながら自分の過去や現在に思いを馳せていく連作短編集。六人のそれまでの人生とか現在の生活もとても読ませるんだけれど、その途中に入る映画の場面がとても印象に残る。映画と自分を重ね合わせるように観ている心情がとてもいい。
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最近ミニシアターが好きで、なんとなくタイトルで購入。読み進めるのに少し時間がかかったが、話が進むにつれてどんどん読めた。
映画のキャラクターたちと、見ている六人とそれをとりまく人々が少しずつ交わる姿がよかった。 -
3.5
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