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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784094074130
作品紹介・あらすじ
彬子女王殿下が日本美のこころを探す旅
「赤と青のガウン」の著者・彬子女王殿下が6年間の英国留学を終えて次に向かわれたのは「日本美のこころ」を探す旅だった。
「神宮の御神宝」「皇居の盆栽」「皇室が育んだボンボニエール」など、日本の美を巡る旅を収録した「日本美のこころ」。
「烏帽子」「久米島紬」「漆掻き道具」など、日本の伝統工芸を支える最後の職人たちとの出会いを描いた「最後の職人ものがたり」。
その2冊を1冊の文庫として完全収録。
彬子女王殿下が4年間にわたって巡り続けた「日本美のこころ」を、54篇の美しく瑞々しい文章で綴った珠玉のエッセイ集。
【編集担当からのおすすめ情報】
「日本美のこころ」「最後の職人ものがたり」の文庫化にあたって殿下にいただいた「あとがきに代えて」にはこんなことが記されていました。
「私の日本美のこころを探す旅は今も続いている。この本のカバーデザインになっている雪の結晶は、一つとして同じものはないと言われるほど多様性がある。日本文化も、地域ごとに様々な異なった文化があったり、カレーやラーメンなど、海外の文化が日本文化として形を変えて根付いていたりと、多様性があり、私には雪の結晶と日本文化が重なって見える。掌に乗ったらはかなくも消えてしまう雪のように、この先失われてしまう日本文化もたくさんあるのだと思う。でも、その刹那的な美しさを記録に、そして記憶にとどめていくために、これからも旅を続けていきたいと思っている。この本を手にしてくださる方たちに、たくさんの日本美のこころが届くことを祈りつつ」
日本文化の多様性には目を見張るものがあります。ですが、多様なものはとかくわかりにくいもの。殿下が日本文化に向けるまなざしはわかりにくいもの、多様なものをそのままわかろうとする真摯なものです。本書は殿下が体験された54の日本美のこころを追体験できるというまたとない機会を読者のみなさんに提供できると信じています。
感想・レビュー・書評
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わかりやすく、穏やかな文章で、飾らない
お人柄が伺える。日本文化といっても、日本美術、民藝、陶磁器等、ジャンルは多岐に渡るが、よく調べられていて、彬子女王の日本文化への
造詣の深さに驚かされる。
正倉院の螺鈿紫檀五弦琵琶
発見時、琵琶は、ばらばらの状態で見つかり
螺鈿細工も欠損していたが、オリジナルと新しい螺鈿とが識別できるよう修復作業がなされている
話などとても興味深く読んだ。
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以前紹介した『日本美のこころ』『日本美のこころ 最後の職人ものがたり』をまとめた文庫本。めちゃめちゃ良い。人生で何度も読み返すであろう1冊。
自らのオックスフォード留学記をまとめ「赤と青のガウン」を発刊した彬子女王殿下。
6年間のイングランド留学を終えて、次に向かわれたのは「日本美のこころ」を探す旅だった。(博士号取得は、大英博物館所蔵の日本美術コレクションを研究)
『日本美のこころ』では、日本文化に精通された彬子女王の知識、気づき・発見、想いを、柔らかくユーモア混じった文体で読めるのが嬉しい。単純に勉強にもなるし、これから旅・観光をしたときに「彬子視点」を持って各地を巡ることができる。
盆栽・和紙・煎茶・浮世絵・磁器・土偶・蹴鞠・日本庭園などのモノから、皇居・正倉院宝物殿・出雲・高千穂などの場所、祭事まで、昔から連綿と紡がれてきた文化の過去と現在を楽しんだ。
『日本美のこころ 最後の職人ものがたり』では、彬子女王殿下が北は青森から南は沖縄・久米島まで日本各地の“最後の職人”を訪ね、取材している。
最後の職人とは、後継者不足・材料の枯渇・用途の減少により失われつつある伝統の手わざを、最後のひとりとなっても守り続ける矜持をもって、日々仕事に励む職人さんたちのこと。
烏帽子(えぼし)、杼(ひ)、蒔絵筆(まきえふで)、キリコ、丹後和紙などはギリギリ知っていたが、
烏梅(うばい)、和釘(わくぎ)、金唐紙(きんからかみ)、御簾(みす)、漆(うるし)かき道具など、見たことも聞いたこともないものを作っている職人さんもいて、とても興味深く読んだ。
特に印象に残ったのは、冒頭の「わたしが行きついた答えは『伝統とは残すものではなく、残るもの』であるような気がしている」との一文。
その後「今日までその技術が残ってきたのには理由がある。そして、その技術は失われるのにもまた理由があるのである」と続く。
目を見開いて日本文化・伝統を研究し続けてきたからこそ綴ることができた、彬子女王ならではの言葉には魂が宿っている。 -
日本の伝統工芸を支えている職人さんを紹介してくれている貴重な一冊。
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「赤と青のガウン」で彬子女王のファンになり、この「日本美のこころ」も読了。
今まで世界遺産や西洋美術に惹かれることはあっても日本美術に正直興味を抱くことがなかったが、彬子女王による美術品、工芸品の精巧さや作品を作るまでの緻密な過程、そのときの彬子女王の感情などが活き活きと表現されている様子を見ると、もっとよく知りたい気持ちになった。
日本には私の知らない、今まで見てこなかった素晴らしいもの達で溢れている。日本に生まれた日本人として、日本美に限らず今の日本に至るまでの人々のものと暮らしを知っておかねば…と思う。
この本を読んでる途中に国立博物館に行く機会があり、掛け軸の絵や書を見ながら表具が気になっている自分がいた。この本の「冷泉家の表具で知る京の公家文化」の部分を読んでいたからだ。
知識を持たずに感じるままに鑑賞するのも楽しいが、こうやってちょっと知識を持った上で見るとまた違った見方ができるのだなと実感した。
同じようにこれからも得た知識と現物を見て何を感じるか擦り合わせていきたいと思う。 -
皇室フェチである。彬子女王陛下3冊目読了。皇族ゆえに沢山の高価な日本美術に囲まれているし、それを深くご理解なさりエッセイに纏め発信してくださったので、少しばかり、庶民の私に美術品や古来伝わる伝統に目を向けることが出来た。読書中は豊かな気持ちになれた
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彬子女王さまの知識の深さを存分に味わえます。
写真の姿も上品で素敵でした。 -
分かりやすく読みやすい文章でした。
全ての対象物に興味を持ち、もっと知りたいという気持ちになりました。 -
ずっと日本に住んでても知らない文化がたくさんあるものだなぁとしみじみした
1本ずつの話が短く、文章のリズムが良いので読みやすい
少しずつ大切に読んだ
折に触れ読み返したい -
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1582932 -
日本の伝統をなくしちゃダメだ。職人にはなれないけど何かで応援したい。
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和樂webの彬子女王殿下のコラムを全部そのまま書籍化して欲しい。今のところ1番近い本がこちらなので拝読。普段の生活でまずお目にかからないような技術や作業を生業にしている方たちの存在に多く触れて、目から鱗の連続だった。そして生活の中から姿を消しかけてしまっている伝統文化や技術の継承の難しさを垣間見た。赤と青のガウンやメディアでも度々言及されていたが、私もご多分に漏れず日本のことをよく知らない日本人であることを痛感。読み終えて、衝動的に、人生初の出雲大社へ参拝してきた。
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日本美といっても、こんなにも沢山あったのかと、驚きがありました。
宝石箱のような内容で、一つひとつを作る職人さんの思いや、職人さんとの出会いを大切にする彬子女王の思い。
端から端まで読むのは大変。
それくらい内容が濃く、知らないことばかりで、無知な自分には難しいと感じる箇所も。
でも、この本を通して、いかに自分が失われていくものについて無頓着だったか、よくわかった。
このまま消えていくものもあるかもしれないが、そこに心を砕く人々がいることが、とても尊いことだと思う。
ふとした出会いから、それを継承しようと決意した人も…。
とりあえずは一通り読み終えたのだけど、もう少し知りたいなという思いも湧き起こり、この本を手掛かりに、私も自分なりの日本美のこころを探す旅をしてみたくなった。 -
途中でギブ
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彬子女王が心動かされる日本の美しいものいろいろについて綴るエッセイ。
日本の美というとついつい江戸時代以前までさかのぼりそうな気がするけど、ここで紹介されているもののにはけっこう明治以降のものもあったり。彬子女王の研究対象が近代ということもあるだろうけど、西洋文明が入ってきた近代にあっても日本の美がそこかしこに生き、受け継がれてきたんだなと思った。
「最後の職人ものがたり」のほうは、絶滅危惧種の技をもつ職人たちについて綴る。最初のほうは一子相伝的な頑なな職人さんが多い気が。後半は幅広くなっていろんなタイプの職人さんが紹介される。やっぱり伝統を守ることも大切だけど、その「守る」って変化しながら柔軟な姿勢であることがけっこう大事なことのような気がする。 -
色々あって、焦って手に取ることに...
心洗われるような話が多く、非常に勉強になっただけでなく、日本人としての感性を身につけることができたかと!
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読みやすく、日本の伝統とそれを伝える人々への愛も伝わってくる。読んでよかった本。
著者プロフィール
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