こころのカルテ 潜入心理師・月野ゆん (小学館文庫)

  • 小学館 (2025年3月6日発売)
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  • 本 ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094074420

作品紹介・あらすじ

潜入心理師、人の心の「核」に触れる。

横浜みなと大学病院で働く月野ゆんは、精神疾患をかかえた人の心の「核」に潜入し、治療をおこなう潜入心理師だ。日本で初めて人の心に潜入した潜入師で、ゆんの憧れの先輩である本城京と、精神科の看護師経験を持つ、同じく潜入師の先輩・蓮まこととともに、ゆんは今日も患者の記憶のなかへと潜っていく。
ゆんには、患者の心の「核」がどこにあるかがわかる不思議な力があった。幼いころに母親から「あんたなんか、産むんじゃなかった」と言われた記憶、いじめに加担してしまった記憶、夫の不倫発覚など、ゆんたちが対峙する患者の心の「核」は様々だ。まだ新しい資格で成り手が少ないなか、ゆんがこの仕事を志したのには、実は理由があって──。
「ナースの卯月に視えるもの」シリーズで注目を集める元看護師の著者、待望の最新作!



【編集担当からのおすすめ情報】
医師であり小説家の中山祐次郎さんが熱い推薦コメントを寄せてくださいました!
「人はなぜ死ぬか。なぜ生きるか。「死にたい」気持ちの解明から迫った至高の医療ファンタジー。」──中山祐次郎(医師・小説家)

感想・レビュー・書評

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  • 初めましての作家さん。
    長年、精神科の看護師をされていたそうで、その当時に感じていた事を作品にされたとのことです。

    作品の舞台は横浜の大学病院の精神科。
    主人公は潜入心理士の月野ゆん。

    「潜入心理士」
    初めて聞く言葉でした。物語の中だけの架空の専門職でした。
    患者の心に潜入して心の「核」を探し、絡み固まった「核」を緩め解して自死をふせぐ。
    それが「潜入心理士」の仕事。
    自死する人を看護師として看てきた作者の願望の職業なのだろうと思いました。

    潜入心理士を主に描かれていた作品なので仕方ないのかもしれませんが、潜入をされて「核」を解かれた後の患者の様子も知りたかったな、と思いました。

  • 生きてていいんだよ。
    役に立つとか有意義であるとか
    置いておいて生きてていいんだよ。
    それがとても心にしみた

  • 私も同じような仕事しています。患者さんの面接が終わるたびにどっと疲れが出るのも、それだけエネルギー使っていると再確認しました。私も患者さんに潜入して核を取るなんてできたらいいけど、そんなことはできない。だからじっくりと話を聞いて寄り添いながら外側からできる限り近づいていくしかないかそれでもできることがあると信じてやっている。
    この作品を読んで多くの人が自分が存在していること自体が素晴らしいと気づけますように。

  • こころの中にダイブ!
    えー!そんなことできるの?ってファンタジー感を匂わせているが、中身はしっかり医療ヒューマンドラマ。
    主人公の月野ゆん(ちょっと変わった可愛いらしい名前)は、潜入心理士といって心の中の核に潜入し絡みをほどくことにより希死念慮を軽減することを目的とした自殺を予防する専門職。
    ゆんは先輩、医師達と協力して患者の絡みをほぐしていく、その過程と成長、心の葛藤が描かれている。
    希死念慮という重いテーマを「こころの中にダイブする!」現実離れしたファンタジー感を出すことで暗くて重いイメージが払拭され読み易く、蓮さんの気さくさが、ゆんや本城を際立たせている感じがした。
    こころの中に入るには患者とシンクロしないとダメとか時間制限があったり、ちょっとエバァンゲリオンが頭をよぎってしまった(笑)
    ただ、人の心の中に入る技術が悪用されたらと思うとちょっと怖いなぁ。核を壊されたり、愛情や大切な思い出とか、死にたい気持ちだけでなく好きとか嫌いとか、いろいろ操作できるようになったりすると大変だ。
    潜入心理士の良いところは、死にたい気持ちが可視化できることかな。希死念慮を持っていないと言っていても実際思っていることが違う時や、相手の心が傷ついているのも分かるから、あっ今この人に手を差しのべれば力になれるって行動できる。
    九章の「希望」で蓮さんが言った言葉「誰の役にも立たたないで生きていても全然いいと思う。意外と気付いていないだけで、皆だれかの支えになっていると思うよ。」自分が気付けていないだけで誰かを支えていると思うと少し気が楽になるよね。
    あと、表画が綺麗で良かったな。透き通った水の上に白衣を着た女性が立って、手のひらの光の玉の廻りに無数の光の糸が繋がっている。希望の光のようで。(結構、表画につられて買ってしまう)
    著者の秋谷りんこさんはこの本のことを、卯月が「ささやき」だとしたら月野は「叫び」です。と言っていた。少しでも多くの人が本書を読んで「月野の叫び」が心に響けばば良いなと思った。
    余談ですが、心の場所って何処にあると思う?
    アリストテラスは胸(心臓)、医術の祖ヒポクテラスは頭(脳)、と考えていたそうです。私も頭かな?

  • 帯に書かれていた 私に聴かせて、あなたの「死にたい」気持ちという言葉に惹かれて、購入した1冊です。

    仕事でうまくいかない時に、「私は役立たずだから、生きている価値はないのではないか。」と感じてしまう時もあります。
    でも、そんな時に、「もし役に立たなくたって生きていればそれでいい」という言葉を読んで、気持ちが少し楽になって、救われました。

    この話を読んで、「自分の心の「核」には、どのようなものがあるのだろう」と、この機会に1度考えてみたくなった作品でした。

    続編があったら、読んでみたいなと思う作品でした。
    今度は、ベストセラー小説でもある『ナースの卯月に視えるもの』も読んでみたいです。

  • 潜入心理師という人の心の「核」に潜入し「絡み」をほどくことで「死にたい」気持ちを治療する専門職の月野ゆんの物語。
    『 潜入心理士 』と言う架空の仕事でもあるが
    こんな治療法があればなと思いました。
    とても温かく、共感できる部分もあり、
    おすすめしたい本です。

  • 2025/03/10予約3
    人の心の中に入り希死念慮をほぐすことで治療する潜入心理師。ファンタジー的なところを感じ本に入り込めなかった。
    心療内科の治療法は知る限り新しいことは実施されていないと思うので、治らずに停滞している人の助けになるものが出たらいいなと思う。

  • 物語にのめり込んであっという間に読み終えてしまった。命の尊厳について考えさせられる物語です。誰かのために役に立つこと以上に、生きているだけ存在しているだけで命の尊厳が守られるはずなのに、気づいたら役に立つことが最上位になっていませんか?そんなメッセージが込められているように感じました。

  • 命の大切さを改めて考えさせられた小説だった。希死念慮に対する治療としてこの小説のような「潜入」というものが実際にあったら、今よりも自殺者が少しでも減っていくだろうと思った。登場人物ひとりひとりの人柄が想像しやすい描写がたくさんあってよかった。感動しました。

  • ナースの卯月に視えるものシリーズが良かったので、手に取ってみました。人のこころに潜入して自殺願望の核になっているものを解きほぐす今の世界にはない潜入師の仕事。精神疾患の人が、どうして自殺を選んでしまうのは、心が弱いのではなく、精神疾患の症状の1つということが印象に残りました。何がキッカケになっているのか心に潜入して解きほぐす潜入師という資格や仕事ができると画期的なものかもしれませんね。

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