日本沈没 下 (小学館文庫 こ 11-2)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094080667

作品紹介・あらすじ

とにかくその日が来る前に。政府は日本人全員を海外へ移住させるべく、極秘裏に世界各国との交渉に入った。田所博士は週刊誌で「日本列島は沈没する」と発言して、物議をかもしていた。小野寺は極秘プロジェクトからはずれて、恋人・玲子とともにスイスに旅立とうとするが、運悪く玲子は、ついに始まった富士山の大噴火に巻き込まれ行方不明となってしまう。そして、日本沈没のその日は予想外に早くやってきた。死にゆく竜のように日本列島は最後の叫びをあげていた。日本人は最悪の危機の中で、生き残ることができるのか。未来をも予見していた問題作。

感想・レビュー・書評

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  • 日本人って不思議なんだろうか。
    戦争に負け、原爆を2回も落とされても、地震や津波、火山などの自然災害にも、ぐっとこらえて耐え、黙々と勤勉に働き復興する。

    それもきっとこの大地があってこそ。

    小松左京が書きたかったのは日本人であり、それも本の中の今ではなく、島が沈没した後の日本人かもしれない。

  • (上巻 Review から続く)

    でも、この小説で小松氏が一番書きたかったことは、そういう災害時のお話ではなく、「アイデンティティ」のことだったんじゃないかと思うんですよね。  本当の意味でそこに辿りつく前にこのお話は終わっちゃっているから、何となく「パニック小説」のような、この未曾有の事態に直面する「仕事人小説」のような色彩の濃い物語になっちゃっているような気がするんだけど、本当のところ彼が書きたかったことは「自分が属する国を失ったら人はどう生きていくのか?」がテーマのような感じがするんですよ。  そう、ユダヤ民族のように・・・・・・。

    第二次大戦で行き過ぎた「軍国主義」「愛国主義」に走り過ぎたと猛反省した日本人が、今度は「愛国心」とか「同族愛」をどんどん蔑ろにし始めた時代(少なくとも KiKi は自分がそれらの意識のかなり希薄な日本人だという自負があったりもします 苦笑)に、著者にはそれに対する憂いみたいなものを持っていらしたような気がするし、「帰る場所がある」ということが人間にとってどれだけ大切 & 生き抜いていくうえでのパワーの源になるのかを思い出してほしいという願望もあったような気がするし、しかもその日本列島が山あり河あり海ありで本当に美しい姿をしており、そこで培われてきた長くて誇らしい歴史のある国であることも再認識してほしいという想いもあったのではないか??  読んでいてそんなことを感じました。

    (全文はブログにて)

  • 「日本沈没(下)」小松左京著、小学館文庫、2006.01.01
    398p ¥600 C0193 (2019.09.02読了)(2019.08.22借入)(2011.08.30/9刷)
    リアリティがあり過ぎて、つい現実に起こっていることのように何度も錯覚しながら読みました。電車に乗って読んでいるときは、周りを見回して、今、大変なことが起こっているのに皆さんは恐ろしくないんですか、等と思いながら読んでいました。
    日本列島が大変動の末、ほぼ水没してしまうまでの時間が、10か月ということがわかった時点で、日本政府は、この事実を発表し、世界中に協力をお願いして、一億一千万人の人たちを受けいれてもらうので、脱出の日取りの通知が来るまで待機するようにとお願いしました。
    国連難民高等弁務官事務所(UNHCR:The Office of the United Nations High Commissioner for Refugees)では、各国の人口比などによって、受け入れ割り当て人数を決めるなどのたたき台を用意して検討を開始します。
    脱出のための航空機、船なども日本政府が購入したり、借り受ける契約をしたり、の他にアメリカ軍などの協力を得て、確保に走り回ります。
    沈みゆく日本列島を調査・報道しようと各国の潜水艦、衛星なども使われています。衛星からの生中継なども行われます。
    脱出の順番を待っているあいだにも地殻変動は、否応なく進んでいきます。脱出に使う予定の空港や港も次々と地殻変動で使えなくなっていきます。
    避難の最中にも大地震や津波、火山の爆発で飛行機、船、避難民などの被害が絶えません。
    現実にもありそうなエピソードが生々しくたくさん織り込まれています。
    小松左京さんの力量に感服しました。恐れ入りました。ベストセラーになりますね。

    【目次】
    第五章 沈み行く国 1~11
    第六章 日本沈没 1~3
    エピローグ 竜の死
    解説  堀晃

    小野寺俊夫 海底開発KKの社員、潜水部、深海潜水艇操艇者、退職
    結城 深海潜水艇操艇者
    山城専務 海底開発KK
    吉村部長 海底開発KK運営部
    幸長助教授 M大海洋地質学
    田所雄介博士 地球物理、世界海洋教団(スポンサー)
    中田一成 情報科学、幸長の友人
    野末技官 気象庁
    山城教授 T大
    大泉教授 K大
    渡老人 (上・191頁)
    ユリ、マコ ホステス
    阿部玲子 小野寺俊夫の見合い相手
    D・マルタン ベルギーの美術商
    わだつみ 深海潜水艇
    ケルマデック号 フランス海軍の深海潜水艦
    天城山(噴火) 三原山(噴火) 大室山(鳴動) 浅間山(噴火)
    京都大地震(上・204頁)
    D計画 プロジェクト(上・216頁) 「日本列島の地質的大変動の可能性について調査し、研究する計画である」(上・287頁)
    D-2計画 「最悪の事態が起こった場合の、日本民族と、その資産に関する処置を研究している」(上・288頁)

    ☆関連図書(既読)
    「小松左京スペシャル」宮崎哲弥著、NHK出版、2019.07.01
    「日本沈没(上)」小松左京著、小学館文庫、2006.01.01
    「首都消失 上」小松左京著、徳間書店、1985.03.31
    「首都消失 下」小松左京著、徳間書店、1985.03.31
    (2019年9月5日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    とにかくその日が来る前に。政府は日本人全員を海外へ移住させるべく、極秘裏に世界各国との交渉に入った。田所博士は週刊誌で「日本列島は沈没する」と発言して、物議をかもしていた。小野寺は極秘プロジェクトからはずれて、恋人・玲子とともにスイスに旅立とうとするが、運悪く玲子は、ついに始まった富士山の大噴火に巻き込まれ行方不明となってしまう。そして、日本沈没のその日は予想外に早くやってきた。死にゆく竜のように日本列島は最後の叫びをあげていた。日本人は最悪の危機の中で、生き残ることができるのか。未来をも予見していた問題作。

  • ついに日本が太平洋側にひっくり返るように沈没。
    残る高台はほとんどが火山で爆発中。
    なぜか水戸の木葉下が残っていました。

    ちなみに文中では「あほっけ」とルビが打たれていたけれど、水戸っぽは「あぼっけ」と読むんだけどな…。

    ちょっと人間関係が中途半端な終わり方だったけれど、今から45年前にこの内容というのは、なかなかインパクトがあっただろうと思いました。

    自分のなかでは防災意識が高まりました。
    あと、外国移住になったときのために英語の勉強をもっと頑張ろうと思いました(笑)

    でも、自分がリアルにこの状況に遭ったら、たぶん「日本」という国、国土とともに死ぬことを選ぶかもな…。

    女性の立場がしょせん「色」役でしかないことだとか時代の古さは多少感じたけれども、いろいろと考えさせられたお話でした。

  • リアリティをもたせるための説明が多い上巻に比べて、人間の描写が色濃い下巻。1973年刊行なのに、なんと瑞々しい物語か。

    久し振りにいいお話を読んだ。
    これは、改めて買おう。
    我が家の本棚へお招きしたい。

  • 地震の描写が繰り返されるのですが、それはやっぱり東日本大震災があった後だとかなり身に迫ってきます。たぶん著者は関東大震災を参考にしてるのだとは思いますが、大震災を飛行機の上から見て涙する…というシーンは、東日本大震災で津波の映像を生中継したカメラマンが泣きながら撮影した、という実話を思い出してしまいます。
    それと、これは日本が沈没する、というお話ですが、よく考えればSFだと地球が滅んで人間が宇宙へ脱出したあとどう生きるか?みたいな設定はよくあるので、これも楽園を追われた人類…というSFらしい話なのかなと思いました。
    最後の老人と科学者の対話は、ロマンチックな滅びの美学、みたいなものを感じました。戦争を経験した世代の無常感もあるのかもしれません。
    SFで誰もいなくなった廃墟というのは、結構好きなイメージです。

  • 下巻は災害パニック・脱出シュミレーションのスペクタクルな展開。地殻変動の崩壊活動が始まり、悲痛な悲鳴を上げながら崩れて行く日本列島。沈み行く母国から脱出する国民の姿は日本国民から“日本の難民”へと変わってゆく。
    日本人の作者が自ら「日本」という陸地を屠る事で見せようとした日本民族の“姿”はしかし、いま、作者亡き後では大きな未完の書となってしまった『日本放浪記』の《第一部》であり、小松左京という「日本民族研究作家」の代表作だけあって非常に残念。
    因みに『日本沈没』と同時期に書きはじめ、、先に脱稿した『果てしなき流れの果てに』において、国土を失った日本人が宇宙へ進出するという《その後》の日本人の歴史に付いて語られる場面があることからも、作者である小松にとって『日本沈没』の存在は、作家として、また個人のライフワークに等しかった事が伺われる。

  • ついに日本が沈む。東北大震災を経験した今、河口湖の水位に異常がみられ富士山の噴火の危機も叫ばれる今、南海トラフの地震が明日起こっても不思議てはない今、私たち日本人はこれを読んで何を思うだろうか。激しい恐怖、諦め、田所教授のように日本と心中する決心、科学への儚い期待。僕は真っ先にムスメの笑顔が思い浮かんだ。そして親になったんだなと改めて実感した。
    沈む日本で何か主人公がたくましく危機を切り抜ける様なパニック小説を想像してのだけど、国家とは何か、権力を持つということがどんな意味かを二年後に沈むであろう日本を通じて感じよう、考えようというメッセージと受け止めた。
    確かに全国民必読の書ですね。

  •  政治の問題は、現実とは違い過ぎた。ここまで真摯に災害に当たる政府は、現実には存在しなかった。まさか、震災直後に総理大臣の交代と、与党の議員の追い落としに貴重な政治力を割くことになるとは思わなかった。福原教授のように考え過ぎでストレスで死ぬ人間は、ひとりとしていかなった。
     これは、時代の問題だろうか? よく「震災時の首相が角栄さんだったらなあ」みたいなことを言うおっさんがいるが、そういう問題ではないと思いたい。
     一方で原発の問題はちょこっと出てきているが、大事にはなっていない。これはやはり原発に対する楽観さが残っていたのかも知れない。
     阪神大震災との類似性は、上巻の京都大地震よりもこっちの大阪水没の場面に見られるかもしれない。
     まあ、それはそれとして、このパニックSF小説に、微妙に「良い話」を織り込むところがさすが。このあたりが小松左京を好きな理由です。福原教授の話、伊丹空港の話、小野寺と兄の会話あたり、高校生の時に読んだのを思い出してちょっと目頭が熱くなりました。

  • 大地震が起こった後も、地質学者の抱く恐ろしい予感はまだ仮定のままであったため、上巻では曖昧で、不穏な空気を漂わせているに留まっていましたが、下巻に入ると、いよいよ日本沈没の事実が明るみにされ、パニック小説としての本領発揮となっていきます。

    仮定が確定事項に変わるまでの過去データ集積や解析のくだりは本当に詳しく、専門的で読んでいてもよくわかりません。
    本作執筆に9年近くかけたというだけに、ここに書かれていることは本当に起こりうる事態なのではないかと思えてくるほどの気迫に満ちています。

    国を挙げて、ほかの国に国民の受け入れを依頼し、移民として送り込んでいく日本政府。
    それでも全員を助けることは不可能で、日本もろとも沈んでしまう国民も相当数出てしまいます。
    あえて自ら国と一緒の運命をたどると決めた人々もおりますが、祖国を失って外国で暮らし始める人々は、たとえ生き延びても不幸が待っているという暗い結末がほの見えます。

    死にゆく竜のように消滅する国の前に、未曽有の悲劇の前に全く解決策がないまま終わるので、読んだあとはかなり重い気持ちになりました。
    小野寺も、日本を助けるヒーローになれるわけではなく、運命に巻き込まれるがまま。
    恋人とも離れ離れで、消息不明のまま終わります。
    この切ないムードを加えるために、恋人の存在が必要だったのでしょうか?

    あまりに圧倒されて、きちんと一語一句追いながら読むことはできませんでした。
    自然の異常事象や人の心理など、読み落としてしまったところが多々あるように思います。

    読み返したいところですが、本当に今の状態の日本と照らし合わせると、きつすぎる話なので、再読はすぐにはできなさそう。
    大災害時の人間、そして国家のとるべき道について、いろいろと考えさせられました。

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著者プロフィール

1931年大阪生まれ。京都大学文学部卒。SFマガジン掲載の「易仙逃里記」で商業誌デビュー。以後「空中都市008」「復活の日」「アメリカの壁」など、鋭い視点で時代を予知的に描き出した作品を次々と発表し、今なお読み継がれるSFの名手。「日本沈没」は上下巻あわせ400万部を超え、社会現象を巻き起こした。星新一、筒井康隆と並び、日本のSF御三家と称される。

「2019年 『地には平和を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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