最終退行 (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 2557
感想 : 208
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094081664

作品紹介・あらすじ

「負け組」と言われる東京第一銀行の副支店長・蓮沼鶏二は、締め付けを図る本部と、不況に苦しむ取引先や現場行員との板挟みに遭っていた。一方、バブル期の経営責任もとらず、公的資金に頼りながら、なおも会長として院政を敷く元頭取を陥れようと策謀を巡らすリストラに遭った行員。その攻防から銀行ぐるみの不正の匂いをかぎつけた副支店長は、組織に反旗を翻す。攻守ところを変えるスリリングなドラマから現代サラリーマン社会の構造的欠陥を浮き彫りにする。

感想・レビュー・書評

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  • ●主人公が、銀行を業績悪化に追い込んでも、なお責任を取らずに私腹を肥やそうとする会長を糾弾する物語です。
    ●最終退行とは、一番最後に銀行を退社するという意味だそうです。主人公が毎日遅くまで残業し、最終退行の常連で、業務をこなし、頑張ったということでしょうか。物語は、会長が役員会で糾弾されるというエンドです。しかし、主人公は不倫したり、妻も不倫したりで今一つ迫力に欠ける小説でした。
    ●但し、書中には共鳴出きる事が書かれています。①組織の論理を振りかざす奴に限って、自らはそのルールを軽視して、好き放題をやっている ②高給批判も公的資金注入も、結局のところ「俺達はエリートだ」という鼻持ちならない選民思想のもと正当化されている ③エリート意識を全面に押し出し、取引先中小企業に支えられているのではなく俺達が支えてやっているのだという驕り ・・等、です。
    ●会社勤めの経験から、思い当たる節もあります。私が勤務した会社では、社長が事ある事に、行動基準は「世のため、人のため」でなければならないといつも言っていました。小説の中と割り切ればそれまでですが、この機会に襟を正したいものです。

  • 度肝を抜くスケールのデカさに圧倒された。バブル期の放漫経営のツケに喘ぐ銀行員、その責任を取ろうともしないトップの人間。狡賢く立ち回る人間ばかりが得をし、誠実な人間が損をする。パワハラスレスレな上司の圧力には、何かもうやりきれないものを感じた。屈しても、抗っても、茨の道なのかと。
    そこにまさか、旧日本軍が隠匿していたというM資金詐欺が絡んでくるとは。お宝探し=トレジャーハンターという、銀行とは対極の、どこか非現実的な存在の人々が、銀行の会長に接触する。「狐と狸の化かしあい」とはよく言ったもので、どちらがより腹黒いのかをその都度見せつけられるような展開。その裏で不穏な動きを見せる「会長の懐刀」的存在の男。読み進めるほどに「黒さ」は増していき、一体どうつながるのか不思議だったM資金詐欺と銀行の不正が、思いがけない形で絡んでいく。
    理不尽な状況に振り回されながらも、決して己を曲げない、熱い主人公の蓮沼に痺れる。ただ、不倫相手があまりにもイイ女すぎないか?妻が一方的に悪者にされてる気がしてそこはちょっと…ご都合主義だなと感じて残念だったけど。
    「損得じゃない。これは魂の問題だ。」というセリフが印象的だった。他にも色々ぐっとくるフレーズ多し。ミクロにもマクロにも考えさせられることの多い、ずしっとくる一冊。

  • 終わり良ければすべて良し!
    話の運びだけでいうとそんな感じ。
    しかし読み応えは十分だった!

    中盤まで誰が主人公かわからない設定に翻弄されながら読み進めていた。
    はじめ蓮沼が主人公と分かった時は、不倫はするし、取引先の融資に消極的な姿勢であまり魅力的だとは思わなかった。
    しかし蓮沼が銀行人生を投げ打って、会長の不正を暴くべく危険にさらされながら奮闘する姿には心打たれてつい応援していた。

    巨悪を倒してハッピーエンドを迎えられたのが良かった。
    いろいろな人生があって、みなクリーンなわけではないけれど、ふと見せる人間味のある行動や感情はついつい共感してしまう。

  • 面白かった
    銀行ミステリー+勧善懲悪の鉄板ストーリ!
    今回はM資金が絡む展開です。

    ストーリとしては、
    不況に苦しむ取引先や現場行員との板挟みにあっている主人公の東京第一銀行の副支店長蓮沼。
    取引先の不渡りの責任を支店長から追わされることに。
    一方で、バブル時代の放漫経営の責任も取らずに君臨しづつける会長。
    取引先との裏金で私腹を肥やし続けます。
    そんな中、リストラされた行員がM資金のサルベージ会社へ再就職。M資金詐欺で会長を騙そうとします。
    ここから、キツネとタヌキの化かし合い?
    裏金の行方を追う蓮沼
    銀行で、どんな不正が行われているのか?
    M資金詐欺はどうなるのか?
    といった展開です。

    M資金詐欺のやり取りは面白かった!
    また、銀行内の生々しい人間関係や、どろどろしたところも、相変わらず面白いですね。
    さらに、蓮沼には愛人がいるのですが、これまた出来る人。そんな愛人いるか?!
    って愛人がいる主人公が不正を暴くの(笑)

    とまぁ、いろいろ思うところはありますが、いつもの鉄板ストーリでとても楽しめました。

  • 後半がファンタジー。上手くいきすぎ。
    序章の船にいた四人のうちの1人が誰か分からなかった。
    でも、池井戸作品のカタルシスは、ある。

  • 池井戸潤を続けて読みたくなって2004年頃の発刊の作品ですが、つい買ってしまいました。
    大手都市銀行で副支店長を務める蓮沼鶏二40歳が主人公。ずっと地道に銀行員として勤めてきたが、取引先への貸し剝がしによる取引先社長の自殺への無慈悲な対応に遂に銀行に叛旗を翻す。同時に同銀行の会長と融資ゼネコン社長との癒着による裏金贈収賄疑惑が絡む。
    自分を陥れた支店長への反撃は会長への攻撃も含んで痛快な結末を迎える。そして25年前のM資金絡みの詐欺事件がどう絡んで来るのか、これも予想外の展開で興味をそそる。
    最近の池井戸潤小説の巨大悪への挑戦・勝利のパターンに比べると叩きのめす度合いがちよっと物足りない気もするが、それでもやっぱり勧善懲悪の結末は痛快である。

  • 東京第1銀行羽田支店副支店長の蓮沼。
    社内の自分・取引先への理不尽な扱いに対して反旗を翻す。

    巨大な権力に立ち向かい、最終的に乗り越えていく様は、
    著者の代表作「下町ロケット」「空飛ぶタイヤ」の原点のような内容。
    「こうなって欲しい」という読者の期待を裏切ることはなく、
    読む側はいつ好機に転じるのか?を楽しみにページをめくる・・・

    読後に誰もが気持ちよくなれる良作。
    池井戸作品初心者にもお勧め。

  • まさか天下の大銀行の会長がそんな夢を…なんて感じで読んでいたら、あるところで映画「マルサの女」で山崎努さん演じる脱税が疑われる金持ちの社長に宝くじの1等の当たり券を勧める胡散臭い女性がいたシーンを思い出した。そこからあっという間に読み切ってしまった。池井戸作品これが三作め。一番面白かった。

  • http://sgk.me/el9zko第145回直木賞受賞者、池井戸 潤さんの作品です。 現代サラリーマン社会の構造的欠陥を浮き彫りにするスリリングな展開は、「下町ロケット」とはひと味違った魅力があります。 電子書籍化もされている人気作です。http://ebook.shogakukan.co.jp/detail.php?bc=pc-37962818

  • 正悪の差はほとんどないよ

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著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、11年『下町ロケット』で直木賞、20年、野間出版文化賞を受賞。ドラマ化された「半沢直樹」シリーズ、「花咲舞」シリーズなどで人気を博す。著書に『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『民王』『ようこそ、わが家へ』『アキラとあきら』『ノーサイド・ゲーム』など多数。

「2021年 『民王 シベリアの陰謀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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