anego (小学館文庫 は 5-2)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094081725

感想・レビュー・書評

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  • 中々人には言えないけど、こっそり胸の中で思うこと、言葉にはならないぼんやりとした曖昧な気持ちを
    何故ここまで言葉にするのが上手いのか、と
    著者の作品ではいつも思う

    抗えないanegoとしての
    キャラ、人格、運命に最後は身震いした

    一気に読めて、展開も早く楽しいが、最後の展開だけは本当に怖くて美しい物語

  • アネゴキャラ。
    当時のいま、が描かれているんだろうから、価値観は現在と違う部分もあったけど、面白かった。
    速度が落ちることなく最後まで一気に読める。

  • 30代のおんなの心と生活と価値観と両親との関係があまりにもリアルで、「身に覚えのある私達」は途中から主人公の幸せを祈るように読んだ。林真理子は「働く女性たちにどうかいいことがありますようにという、祈りを込めて小説を書く」と言う割に、こんな怖ろしい結末を用意して、まるで突然掌を返したように「不倫はいけませんよ」などと教科書ヅラするのはなんなのだろう。奈央子みたいに周囲に自らに誠実に生きてきた女性が、(家族はともかく)見ず知らずの人から狂ったような罵倒されなきゃならないほどの不倫とも言えない恋をして報われないなんて、ちょっとあんまりじゃない?と思う、思うけど、この小説が、世間的お利口さんなんかやめてもっとワガママに小狡く生きたっていいんじゃない?という林真理子からの提案であるならば、溜飲を下げようか。

  • 前半は行き遅れの働く女性が男性を品定めするような話だと思いながら軽い気持ちで読んでいたけど、沢木夫妻に出会ってから、話が転がり出して、先が気になり睡眠時間を削り最後まで一気に読んでしまった。
    不倫の代償とはいえ、あまりにも大きい……最後の文章はちょっとホラーめいてぞわっとした。
    ドラマの方は観ていないのですが、ドラマと小説は多分別の物になっているんだよね?
    このまま、ドラマ化したら最終回でドン引きしそう……。

  • ドラマはちょっとチャラい雰囲気だったけど、原作は怖い、でも面白いと聞いていたので、文庫化を機に手に取ってみた。読了時間が真夜中だったのを後悔するほどぞっとした。(その後なかなか眠れなかったので)
    前半までは林さんお得意の、働く女のアバンチュールかぁなんて思っていたのだが…後半の不倫のドロドロっぷりが、あまりに予想外でクラクラしてしまった。普通には終わんないだろとは思っていたが、こんなに二転三転するとは…。
    好みは分かれるだろうが、ストーリーの面白さとしては星5つ。ひとつマイナスにしたのは、誰からも頼られるのに、いつも損な役回りの「アネゴ」奈央子のキャラが個人的に気に入っていたから…ベタな結末でもいいから幸せつかんで欲しかったかなってのが本音。とばしとばしドラマを見てたときは、安易な展開に「か〜っ!んなうまくいってたまるっかっつんだよ!」と毒づいてしまったが、原作を読んでみて、あれはあれでよかったのかもと思える。

  • ドラマの印象が強いけど、小説はもう全く別物。主人公の奈央子のバブリーな商社OLっぷりが読んでるだけで楽しい前半と、まるでホラーな後半との落差がすごい。奈央子は、その時々で自分の心に正直な選択をしてきた結果、最後はあんな結末になってしまうという… 作品中にも、これはあんたの性分なんだよ(ニュアンス)と女友達に奈央子が指摘される場面があったけど、まさしく性分であり宿命めいたものを感じる結末に。めちゃくちゃおもしろかった。

  • 20代はじめの奈央子は思った。「エイッて心を決めて、そのうちの誰かを好きになれるように努力すればいいんだから。結婚なんて適当に過ごしておけば、そんな好きじゃない男とでも、一緒に暮らすことなんかわけないんだから」
    今、奈央子ははっきりわかる、結婚というのは、やはり好きな男としなくてはいけないものなのだ。たとえ別れるとしても、最初は好きな男としなくてはいけないのだ。

    私、この頃思うんだけれども、競争に勝ち残っていくことだけが価値のあることじゃないような気がして。うまく言えないけど、人生なんか、トータルで見ていけばそれでいいんじゃないかって。

    ああ、イヤだ、イヤだと奈央子は思った。どうして自分をここまで道化にして、若い子に気を遣わなくてはいけないのだろうか。

    つらいことがあった時は、日常の持つ大きな力でうち負かそう、というのが奈央子のやり方である。

    「そう、私は確かに頭が悪いのかもしれない。こうなれば幸せになれるとわかっていても、心がそっちの方に動いてくれない。そういうことをうまく出来る女はいくらでもいるのに、この男ならうまくいくと思った瞬間、その男を愛せる女。愛していると思い込める女。私はそういう才能がないのかもしれない」

    「あの人はやり方は違っていたかもしれないけど、とにかく、心からご主人を愛してたわ。不器用な人だから、そんな風にしかできなかった。相手が自分を嫌うようにしか愛せないなんてつらいけど、彼女はそれしか出来なかったのよ」

  • はじめの林真理子の作品
    昔ドラマをやっていたが観てはいなかった。
    30半ばの独身丸の内OLの生活に単純に興味があったので読んでみた。
    不倫などドロドロな部分を描くのがリアルで上手いと思った。
    最後はゾッとした…
    また同著者の作品を読みたくなった。


  • 私自身、恋愛・結婚に関して、建前上他人には言えないが、本音で思うところはあり、主人公と共感できる部分は複数あった。
    林真理子さんの著書には、調子に乗っていた主人公が最終的に痛い目に合う設定のものがいくつかある。調子に乗りすぎるなと注意してくれるような作品だ。

  • 面白くて一気読み。
    30を過ぎて商社OLとして働く奈央子の物語。
    年下の黒沢くんに結婚告げられるところ、悔しい気持ち分かるなぁ。
    沢木さんとの話は絵里子が不気味すぎて、最後せっかくいい人が現れて幸せ掴めそうだったのに残念なラストだった。幸せになってほしい。
    いつもながら林真理子の描写は憎らしいほどに的確で、分かる分かるってところ多々。
    純愛とは対極で俗にまみれているけれどこれが人間ってものなんだと思う。

著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん!』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。

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