あおい (小学館文庫 に 17-1)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 3718
感想 : 330
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094081732

感想・レビュー・書評

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  • 現実よりもずっと現実的。視覚的に理解できる映像や絵と違い、小説は言葉少なになるほど読者が想像で補完するしかない。この小説は、それをちゃんとわかっている。必要以上に語らないこと。悲しみを、涙で表現するのは愚直すぎること。人は悲しい時に必ずしも涙なんて出ないこと。

    年下の大学生・カザマ君と同棲している主人公は、ある日妊娠が発覚する。そして気付いたら長野の山奥で脱力して寝転んでしまう。

    公式のあらすじはこんな風だし、あらすじを説明しろと言われてもそれでしかない。
    大事件が起きる訳でもなく、ドラマティックな出会いもない。

    相手のことはたまらなく『好き』なことだけはわかるけど、好きな『理由』はわからないし、わざわざ言葉にするなんて野暮だ。

    この小説は、自分たちの現実の日常の中にも小説が落ちていることを思い出させてくれる。夢も運命もなくても、今感じたその気持ちも、投げかけられた言葉も、顔に出さない悲しみも、
    自分の現実を見つめさせられる、現実よりも現実的な話。

  • 不器用で、でも率直な若者たちの日常と少しの変化がみずみずしく描かれている。
    あらゆる人たちを肯定してくれるような抱擁力がある。

    表題作「あおい」の序章は、それだけで一つの詩として成り立つほど。

  • 今風の女性、男性のカップルが会話でストーリーが展開。ちょっと読みにくいかな。男性の自分にはちょっと物語に入り込めなかった

  • 2017/05/09再読。

  • 西加奈子をほぼ連続で7冊読んだからなのだろうか。デビュー作と思ったからだろうか。世代が同じだからだろうか(これは解説読んでしまったからそう思っているのかもしれない)。じっくり丁寧に詠んで、3つの作品がじっくり丁寧にそれぞれ1つの作品として入ってきた、そんな感覚で1日で読みきりました。1人の作者の作品を苦しみながら読んでいくと発見があるんだなと思いました。

  • 28.11.24読了
    好きな人に対してだけ発せられる、会話が弾まなかったりガチガチに緊張してしまったり、っていう特別を、「相手から出る花粉へのアレルギー』に例えるなんて…!

  • 駄目な彼氏と同棲中に妊娠に気づき、現実から逃げてペンションで泊まり込みのバイトをするもののすぐに逃げ出し、夜中に道の真ん中で寝転がっていたら美しい花を見つけた。その名前は「タチアオイ」

    子供が男であっても女であっても「あおい」とつけようと決心するまで。

    どうしようもない怠惰な日常がかかれます。これが現実かと思うと頭抱えたくなりますが、こんな人もいるんでしょうね。

  •  あっという間に、というくらい早く読み終えた。すっと読める平易な文章が光っている。

     『あおい』『サムのこと』『空心町深夜2時』に描写されているものごとは余りきれいとは言えず、率直に不潔だ。だけれどもそれが登場人物たちの素直さ、純さと対比されて。嫌悪感ではなく妙な味わいを持てる。絶妙な雰囲気だと思う。

     一読おすすめできます。

  • もうすっかり西加奈子さんのファン。
    個性的な人物たちは、クセのある変わり者。
    でもなんだか気になるし愛らしい。

  •  ぐたぐたでどうしょうもない結婚適齢期の女性っていう主人公の物語と、著者のつむぎだす文章がマッチしている。物凄くセンスがいい。才能を感じる。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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