ミシン (小学館文庫 た 1-4)

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  • 小学館
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レビュー : 93
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094082258

感想・レビュー・書評

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  • 表題作にもなっているミシンが好きです。ミシン2と合わせて映像化してほしい。ステージで動く美心を、傘子を見てみたい。
    世界の終わりと~は、文体はすごく好き!なんだけど、展開がケータイ小説のような印象を受けました。文章はすごくきれいなので、雰囲気を楽しみたいときはいいと思います。

  • 全力で愛せるものに出会える人は
    羨ましい

  • 2008年12月読了

  • なんだかすごく良い。
    とても気に入った本。

  • 図書館で借りてきて読んだものだからハードカバー持ってなくて、文庫版買ってまた読みました。中学生以来よんだけれど、やっぱり美心も傘子もすきで。きっと野ばらさんの書く美心がかっこよくてきれいじゃなかったらMILKとはもっと遅く出会ったか、好きじゃなかったかもしれないね。誰かとMILKでお揃いを買うのが夢、って言いたくなるしそうしたいとおもうお話

  • 途中までは客観視できてたのに…ラストは怖いほど主人公に感情移入してる自分がいた。『愛』は怖い。

  • 好き。

  • 再読。

  • 嶽本野ばらで一番好きな作品が「ミシン」です。とりあえず、ミシンかっこいい!

  • 【世界の終わりという名の雑貨店】

    京都の四条富小路を下がった路地に面した四階建て雑居ビルで青年は事務所を開き、ライター業をしていた。

    そんなある日、彼は仕事に嫌気がさして部屋を離れることをオーナーに伝えた。

    すると、ただでさえ利用者の少ないビルだから残って欲しいとせがまれる。

    また、家賃はいらないから何か商売を始めるといいと助言された。

    そこで彼はその部屋で雑貨店を始めることにした。

    店名は VivienneWestwood が八十一年、キングスロード四三〇番地にオープンした World's End を訳し、「世界の終わり」とした。

    お店を始めてから一年が過ぎた頃、一人の少女が店を訪れた。

    VivienneWestwood のラブジャケットに黒いミニクリニを併せて、足下は赤のロッキン・ホース・バレリーナ。

    彼女はその日、三時間店内にステイしてから五十円の紙石鹸を買っていった。

    翌日から少女は毎日のように「世界の終わり」へとやってきた。

    開店から閉店までずっと居続けた。

    青年はそれを嫌と思わず、嬉しくさえ思った。

    少女がお店に居着くようになって半年が経った頃、店を閉めなくてはいけなくなってしまった。

    オーナーが蕎麦饅頭を食べて死に、その息子がビルを取り壊すことにしたからである。

    青年はその旨を彼女に伝えた。

    そして一緒に逃避行に出ることを提案した。

    君は大きく深く頷き、金魚のように口をパクパクさせた。

    その時初めて彼は知った——彼女が口を利けない人だと言うことを。


    【ミシン】

    物心ついた頃から流行りものに興味を示せない少女がいた。

    その子はいつも独りぼっち。

    彼女の心を癒してくれるのは、吉屋信子の少女小説集、尾崎翠や森茉莉の文学作品、バッハやシューベルトの歌曲、中原淳一や高畠華宵の挿し絵などだった。

    彼女には古い物にしか興味が沸かないという性癖ともう一つ別の性癖があった。

    それは同性にしか興味を示せないということ。

    彼女は昔からお気に入りの同性とプラトニックに交わり、交換日記をし、お揃いのハンケチやノートを持つエスな関係になりたかった。

    しかし、彼女はチビでデブでブスで、性格も暗く自分で言うほど良いところがない。

    エスの関係になりたいと思う人が現れても友達にもなれないだろうと自覚していた。

    彼女に逢うまでは……。彼女を見つけるまでは……。

    たまたまテレビでやっていた音楽番組に出演していたバンド「死怒靡瀉酢」

    死怒靡瀉酢と書いてシドヴィシャス——それが彼女のバンドだった。

    メンバーは彼女の他にギター、ベース、ドラムを合わせて四人組のパンクバンド。

    ボーカルの女の子は司会者から何を訊かれても面倒臭そうに答える。

    そんな彼女の名前はミシン。

    美しい心と書いて、美心。

    ミシンは、パンクをやっている理由をこう言った。

     パンクはロックを終わらせた音楽だから、好きなだけ。

     パンクって、ロックをパロディにしちゃったの。

     ロックの歴史に終止符を打った音楽なの。

     パンクに未来を求めちゃいけないのよ。

    それからデビュー曲「ロリータ・デス」をシャウトした。

    ミシンは歌い終えると、マイクをカメラに向かって投げつけるパフォーマンスを披露した。

    それだけでは足りなかった彼女は、メンバーの竜之介のギターを取り上げ、床に叩きつけた。

    少女はミシンに釘付けだった。

    そして彼女こそが私が待ち望んでいた人なのだと彼女は悟った。

    彼女はミシンとエスな関係になれるよう登校前に毎日神社で参拝した。

    また、メジャーデビュー以来初のライヴがあると聞いた彼女はチケットを何とか入手する。

    ミシンの好きなブランドが MILK だと知るとすぐに原宿にある本店に行き、彼女はすぐに MILK を買い込んだ。

    お気に入りの MILK の洋服に身を包んだ彼女は初めてライヴを観に行った。

    その日、初めて生でミシンを観た素敵な夜を過ごした彼女。

    ライヴ終了後も出待ち集団に紛れてミシンが出てくるのを待っていた。

    ベースとドラムが姿を現した後、ミシンと竜之介がハイヤーに乗り込んだ。

    そのまま去ってしまうかに思われたが、ミシンは車の窓を開けて、彼女に笑顔で声をかけた。

    ミシンがファンに話し掛けるのはこれが初めてのことだった。

    次の日から彼女は登校前の参拝を下校後もするようになった。

    さらに「竜之介が死にますように」という願いも付け加えた。

    それは、ミシンが竜之介のマンションで一緒に暮らしていると知ってしまったからだ。

    彼女の新たな願いはすぐに叶ってしまった。

    竜之介は、交通事故で死んでしまったのだ。

    ミシンは仕事を全てキャンセルし、マスコミの前から姿を消した……。

    竜之介の死から一ヶ月が経ち、ミシンは久々にマスコミの前に姿を現した。

    しかし、ミシンは一言も喋らず、マネージャーが会見で新たなギターを一般から公募すると宣言した。

    すぐに彼女はギターを買い、ストリートミュージシャンの作ったデモテープを自分の物と偽って送り、一次審査を突破した。

    二次審査の面接の部屋でミシンと再び出会い、また彼女に声を掛けた。

    彼女は、審査員の前でキティちゃんの絵が入ったピンク色のギターでAとDとEのスリーコードをたどたどしく弾いた。

    しかし、その程度で審査に受かるはずもなく、一次審査のデモテープも偽物だとバレてしまう。

    審査員のほとんどから怒られた彼女は頭を下げて面接室から出ようとした。

    しかし、ミシンは彼女を気に入り、新しいギターとして死怒靡瀉酢のメンバーに入れた。

    こうして、彼女はまた少しミシンに近づくことが出来た。

    竜之介の追悼ライヴが一週間前に迫った日、彼女とミシンはスタジオの屋上にいた。

    ミシンはそこで竜之介と自分の関係を明かし、追悼ライヴで彼女にあるお願いをした。

    追悼ライヴの日、ミシンは彼女の手によって永遠になる——。

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著者プロフィール

小説家。エッセイスト。京都府宇治市生まれ。1998年『それいぬ――正しい乙女になるために』(国書刊行会、後に文春文庫)で、エッセイストとしてデビュー。2000年『ミシン』(小学館文庫)で、小説家デビュー。同作は、単行本と文庫を合わせて16万部に達するベストセラーとなった。03年『エミリー』、04年『ロリヰタ。』が、二年連続三島由紀夫賞候補となる。04年には映画化された『下妻物語』(単行本は02年刊行)が大ヒットした。この他の弊社刊行の小説作品は以下のとおり。01年『鱗姫』、『カフェー小品集』、『ツインズ -続・世界の終わりという名の雑貨店』、03年『デウスの棄て児』、『カルプス・アルピス』、04年『ミシン2/カサコ』、05年『下妻物語・完 ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件』、07年『変身』、08年『タイマ』、『おろち―olochi,super remix ver.』。公式ホームページURL http://www.novala.quilala.jp/

「2015年 『破産』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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