さくら (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 845
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094082272

感想・レビュー・書評

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  • 優勝!読了後、自分がサクラを飼ってるんじゃないかと勘違いしました。サクラかわちい。現在進行形の日記感。変化と気づきと癖(個性)の様が生々しくて、信じられないぐらいどっぷりと共感します。
    8回くらい泣きポイントがあり、しばらく記憶に残り続ける本になるだろうなあ

  • 年末の休みに読みしました。

    愛おしく、切なく、とても優しい家族の物語

    前半の何気ない日常してと書かれてい
    後半で一気に繋がっていく西加奈子さんってやっぱり面白い!
    うん◯までしっかり回収(笑)

    また今年の年末読んでみようかなと思います。

  • 人生でこれから起こりうる恐ろしいことを、どうすれば回避して生きていけるのか、どうすれば克服できるのか、ではなく、こんなことがありました、と強く伝えられた。つまり日常は何が起きても変わらない、それも日常だから、ということ?

    サクラがいたから最後に明るくなったのだろうけど、それは今まで一家全体が暗かったことを表すものではなくて、それが必ずしも良かったこととも思わせない物語の強さがあった。全ては大事な出来事。

    ミキの言う「どんな時の自分も、それがその時のありのままの姿だ」には説得力があって、今の自分は本心で言っているのか?偽っていないか?とか考えがちだけど、それも含めて自分だよって教えてもらえた。

    つまり上記3つをまとめると偽物も意味のないことも存在しないってこと?

    ついでに、、

    薫の兄弟愛が少し怖い

    昔は一生家族と一緒にいられると思ってた。
    でも変わらない時間なんてない、時間は全て有限だ。
    それらを内容と薫の言葉のに方向から感じた。
    サクラを含めて全員が変化している話だから。

  • 何だかすごいパワフルな話だった。
    でも内容が深いことは分かる。
    家族とは、恋愛とは、性とは、マイノリティとは、生きるとは…様々な内容が盛りだくたさん。
    家族に何が起きても、いつも変わらずそこにいるサクラは、主人公が考える神様に一番近い存在なのかなと思った。
    お兄さんが切ない。

  • 「さくら」は私の愛読書になった。

    和室に表紙もなく転がってる本を見つけた。
    これは何か母に聞くと、以前父が買った本をどこからか弟が持ってきて表紙を剥ぎ取ったらしい。

    私の弟はいつもそうだ。よく表紙を外す。

    そんなボロボロの状態な小説を、パラパラとめくり
    読み進めていった。気づけば最後まで読み終えていてこの小説のファンになっていた。たまらなく愛おしく、失ったものは戻らない。言えなかった言葉は言えぬまま自分の中に留まり続けること。

    わかっていた、つもりだったのかもしれない。
    それらを痛感させられる。

    それでいて愛おしさを感じる。
    「エモい」なんて一言で済ませたくない。
    こんなありふれた家族を丁寧に丁寧に言葉を紡いでいる。この本と出会えたのは、表紙を剥いで和室にほったらかしにした弟のおかげだと思うと癪だ。

    だが、そんな些細な日常も愛おしく感じる日が来るのかな。

  • 西さんの初期の作品。

    私は、どちらかというと氏の近年の作品から遡るように読んでいったためか、読み口は少し違和感を感じました。ん?なんか主人公の「僕」が標準語? 少し手持無沙汰な、それでいて分析的で自省的で、まあ一言でいうとちょっとめんどいやつ? ちょいと村上春樹流?な雰囲気を感じました。

    ・・・
    ただ、読み進めると、やはりいつもの西ワールド。

    作品じゅうを極彩色に彩る関西弁は、相変わらず心地よい。特に主人公「僕」の妹で美形かつ暴力的な美貴の関西弁がいい笑

    優しい素敵な比喩も随所に。幼い美貴に父と母のセックスの話を優しく説く母の言葉が一番刺さりました。もう西さんの才能以外の何物でもありません。キャラと相まって、言葉の力を感じます。でも、仮に同じ言葉を私の口から娘に伝えても、単なるエロおやじ。言葉とはその人物に相応しい形で発話されてこそ、相手に伝わるのかもしれませんね。

    ・・・
    さて本作、冒頭に述べられる三兄弟の長兄の亡くなった後の、実家へ帰る「僕」の話であることが述べられます。作中はおおむね過去の回想で、なぜ今こうであるかの説明、もう少し言うと、この家族の悲劇がなぜ起こったのかがややユーモラスに述べられます。

    じゃあ、題名のさくらって何?というと、「僕」の実家で飼われている冴えない雑種。この家族の悲しいところも楽しいところもすべてに寄り添ってきた犬は、ある意味、この家族の象徴的存在です。

    「僕」の兄が死を選び、それをきっかけに瓦解していく家族でしたが、さくらの体調不良をきっかけに、俄かに結束を取り戻していきます。

    ・・・
    で、読んでいて涙目になりましたが、家族を作るってことは、実に多くのドラマを生むことであります。たとえば子どもが生まれるってことは正に一大イベント。

    作中では「僕」とその兄が、妹の美貴が生まれて、どっちが立ちションを教えるかで小競り合いをしたりとか、そういう話をほのぼのと展開しています。

    あるいはその美貴が初めてたっとときの瞬間。実は「僕」だけが見ていたとか。

    そういう実に細かい、ある意味家族以外にはどうでもいい話。これらは、逆に家族の大切な思い出話。
    初めての子供が生まれたときとか、嫁にプロポースしたときのこととか、これで話まとまらんかったら離婚だというときの険悪ムードとか、バタバタと過去のことを思い出しました。

    ・・・
    ということで、西さんのやさしいやさしい、そして同時に悲しい、家族のお話でした。もちろんそこには関西文化というか関西弁のノリの良さとおもしろみもデフォルトで入っており、最後に読者をほっこりさせてくれる仕上がりになっていると思います。

    単純な私は、読後なんだかやさしい気持ちになりました。もっと妻を愛したいな、と臆面もなく思いました(ただし口には出さない笑)。そう、本作は同時に愛の話でもあるのです。この核心部分は是非読んでいただきたく。

    ということで本作、家族系のお話の好きな方(瀬尾まい子さんとかお好みの方)、これから結婚を考えているかた、動物がすきな方、関西弁の口ぶりが好きな方はおすすめです。中高生くらいに子どもにも読んでみてほしいなあ。

  • フッ、と笑っちゃうくらい面白くて、思わずページをめくる手が止まる程悲しくて、心がぎゅっとする程切なくて。
    ハチャメチャだけど、素敵な家族と一匹の犬の話でした。

  • ある一家の家族にスポットを当てた物語だった。 
    どの登場人物も個性的で特に美貴が自由奔放で 
    淡々と颯爽としているのが面白かったし読んでいて清々しい気持ちにもなった。そんな性格だ唯一尊敬し恋焦がれていたのが長男の一であったりと
    複雑な感じではあるけれども気まずく鬱々とした
    感触を全く感じさせる事ない様子からも妹のそんな存在が確率されてるように思える。
    しかし、ある日から皆んなの羨望を受ける長男に事件が起きて家族は身も心も近づいたり離れたりするのだけど、そんな時にもいつでも幸せの愛想を振る舞うサクラの大きな存在のたんび感動したりと色々と詰まっている作品でした。
    色々な物事や心情に対し多彩な比喩で表現されていて情景が浮かびやすく読み入りました。

  • 家族

  • 勢いで描いた感みたいなのがあった

    でもなんか素敵、なかんじもする

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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