さくら (小学館文庫)

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  • 小学館
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本棚登録 : 4728
レビュー : 565
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094082272

感想・レビュー・書評

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  • 個性的な両親に育てられたこれまた個性的な3兄妹、そんな小説世界にありがちな幸せ5人家族の幸せ劇とその崩壊と再生の萌芽までを描く、西加奈子らしい小説。

    彼ら家族をつなぐ愛犬「さくら」がなんともエエ味を出していて、確かにタイトルになるよなって感じ。他の登場人物たちのアクの強さに、作中の目立ち方はさほどでもないが、読み終わってみると、なるほど彼ら一家に「さくら」がいたから再生があり得たのかもなぁと思えてしまう。この辺、西加奈子のペースに嵌められてるんだろうなと思うが、悪い気はしない。

    比喩表現が少々しつこいことや、中学生がセックスしまくることへの違和感や、妹美貴のとある行動がなんぼ小説でもちょい嫌悪感抱いたこと等、若干瑕疵と思える部分もあるし、荒削り感も否めないが、全体的にパワーを感じる小説。今に至る西加奈子の活躍の片鱗が分かる作品でもある。

    生き方、家族のありようは、もっと自由であっていいよな…と思える1冊でした。

  • 本を読んで お話の中の登場人物に本気で 本気で本気でその瞬間ムカついて 本を床に叩きつけたい衝動に襲われたのは初めてでした。
    ほんとに ほんとに今手に持ってる本をそのまま投げつけたい 怒りでいっぱいでした。
    それしか その人に怒りを表現する術がわからなくて。
    お前だよ、ミキ。

    なんてことはない 日常のお話かと思ったんですけど その日常が細かく彩られていて 兄弟のいた身としては懐かしさも感じられて ぽかぽかしつつむず痒く心地よかった。
    それが 徐々に噛み合わなくなっていくというか 不協和音がし始めて 辛かった。
    辛かった。
    辛かった。
    ほんとに辛かった。幸せな時を知ってるからこそ 取り戻せないかってなっちゃう。悔しい。

    最後 持ち直すというか綺麗に収束していく様を見て 生きているのはいいなと思った、けど、じゃあ死んだ人はどうなるんだって。
    ミキはこれから生きていけるから未来を持てるけど 死んだら何もない。
    ミキが手紙を隠さなければ 過去で何か一瞬変われば未来は変わると思うから ミキの行動が許せない。
    後悔も反省も更生も生きてたらできる。
    加害者は忘れることができる。

    でも死んだらできない被害者は傷を負って直らない。理不尽だなあ。

    私もミキと近い気持ちを持っていたからこそ
    許せない。
    愛するお兄ちゃんが幸せになることを 足引っ張ることができた そのお前の厚顔がムカつくんだよ。
    ほんとに許せないんだな。

    あまりにムカついたから その話ばっかになっちゃった。

    文庫版P306
    「僕らの影はそれはそれは賑やかで、太陽でさえ僕らを地面に映すのに苦労していたくらいだ。」
    この表現が大好き。

  • 心が満たされておなかいっぱいになるほど、良い本に出会った。
    数年後また読みたい。また違う想いがある気がする。

    今日はいつもより更に愛犬をなでまわそうとおもう。

  • すごく、すごく良かった!どれぐらい良かったかなんて、それは本当に美味しいものを食べた時に「塩加減が良い」とか「味付けが絶妙」なんて事を全て取っ払って、”美味しかった”というように、この本は本当に”面白かった”です。久しぶりに何度もあと何ページかを確認したし、それは早く終わって欲しくてではなく、いつまでも終わらないで、ずっとずっとこの家族に寄り添っていたかったからです。全てのことが幸せにいくわけではないけれど、生きてるって幸せ!そんな当たり前のことを、ドラマチックに教えてくる素晴らしい本だと思います。

  • 西さんは美しすぎて温かすぎて胸が詰まるような悲しくなるような、「幸せ」、瞬間でしかないそれを確かな形で見せてくれる。

    だから辛いだけじゃない。家族が一時は壊れかけても、大切な何かを失っても。
    そして、救いを見せてくれる。

    車内でのミキの告白。薫さんの演説シーンが印象的で良かった。

    この世界にはいろんなひとがいて'フェラーリ'の世界を生きる人がいること、自分もそうなるのかもしれないこと、そうなっていたかもしれないこと、当たり前のことなんてないこと、そんなことを想像できるひと、わかるひとでありたい。とこの作品を読み終えた今、そう強く思う。

  • 「ああ、この後、不幸がやってくるんだろうに……」と思いながら、幸せなストーリーの読むのはしんどいし、案の定、不幸がやってきてから後の展開はもっとしんどい。
    終盤は涙。けれど、泣いてもちっともスッキリしない。

    表紙のイラストからは想像できない後味の悪さ(読了してから表紙を見ると、なかなかキツイ)。申し訳ないが、精神衛生上この手の小説は遠慮したい。

  • 「この世界のもんはぜえんぶ誰かのもんで、ぜえんぶ誰のもんでもない」

    後ろにとても重たい事実があるのに、日常のとても些末なことまでもが丁寧に描かれていて(そして、それは読者だけでなくて薫の心にも引っかかっていたりして)とても真摯だと思ったし、それでいてとても軽快で笑える。

    「がんばっておしゃれしました!という格好ではいけない。何気なくそこいらにあるものを着てきたけど、それが図らずもおしゃれになってしまった、という風でなければ。」はいつも出かける前に考えていることだ。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    ヒーローだった兄ちゃんは、二十歳四か月で死んだ。超美形の妹・美貴は、内に篭もった。母は肥満化し、酒に溺れた。僕も実家を離れ、東京の大学に入った。あとは、見つけてきたときに尻尾にピンク色の花びらをつけていたことから「サクラ」と名付けられた十二歳の老犬が一匹だけ。そんな一家の灯火が消えてしまいそうな、ある年の暮れのこと。僕は、実家に帰った。「年末、家に帰ります。おとうさん」。僕の手には、スーパーのチラシの裏に薄い鉛筆文字で書かれた家出した父からの手紙が握られていた―。二十六万部突破のロングセラー、待望の文庫化。

  • ちょっと変わってるけれど、愛にあふれている。ヒーローだった兄ちゃんがいかにヒーローだったか。目をみはるほどの美女に育った妹がいかに美人でやんちゃだったか。丁寧に描かれたのは新興住宅地にあふれているキラキラとした家族だったはずなのに。神様がうっかり放ったボールを打ち損なった兄ちゃん。そこから時間は止まってしまった。家族皆が停止して、でも、月日だけはきっちりと過ぎていて。それはしっぽに花びらをつけてやってきた末っ子・さくらに如実に現れていた。小さな体でつなぎとめていたのは時だったのか、家族だったのか。

  • 途中までは楽しく読めた

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著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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