繁殖 (小学館文庫 せ 2-3)

著者 :
  • 小学館
3.10
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本棚登録 : 460
感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094082302

作品紹介・あらすじ

「感染」「転生」に続く仙川医療ミステリー第3弾

農村風景が未だ残る関東のとある幼稚園で食中毒事件が起きた。園児の症状から、おにぎりの杜撰(ずさん)な管理による単純な食中毒だと思われたが、のちにカドミウム中毒だと判明した。安易な発表が農家の風評被害につながることを怖れた病院、保健所、警察は慎重に捜査を開始する。毒を盛ったのは一体誰か? そもそも毒はどこに潜んでいたのか……? 大ヒット『感染』『転生』の著者が贈る医療ミステリー第3弾がいよいよ登場! 善意が犯罪を加速する新感覚の展開に目が離せない!

感想・レビュー・書評

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  • 幼稚園で起きた集団食中毒事件。
    だがそれは、単純な食中毒などではなかった。
    管理体制に問題があったわけでもなく、誰かの責任でもない。
    分析の結果特定された原因が何故混入してしまったのか。
    何者かによって意図的に混入されたものではないとしたら・・・。
    人は驚くほど強くもなれるし、脆く崩れ去ってしまうほど弱い面もある。
    追い詰められた人間は、より安易な道へと逃げ場を求めるものかもしれない。
    それにしても安易すぎる展開に唖然としてしまった。
    たぶん仙川さん自身もそう感じたのではないだろうか。
    主人公が反省する場面が描かれている。
    身近な恐怖・・・環境問題を絡めた重いテーマを描いているのに浅く感じてしまったのは何故だろう。
    犯行にいたるまでの犯人たちの行動が唐突に思えて、物語についていききれなかっただけかもしれないけれど。
    日本は食の安全性が高いと言われている。
    本当にそうなのだろうか。
    物語を読んでどことなく不安な気持ちになってしまった。

  •  園児のために良かれと思って企画した農園実習がこんなことになるなんて・・・。収穫してきたネギやニンジン、そして近くの農家で飼われている鴨肉を使って鍋を作り、おにぎりと一緒にみんなで食べた。数時間後、園児達が次々と調子を崩して病院に運ばれ、中には意識が戻らない子供まで。おにぎりの管理が杜撰だったために起こった食中毒であろうと思われたが、農園実習を企画した原島聡美によると、保存は特に慎重に行っていたという。そして他にも腑に落ちない点がいくつもあり、調べ続けた結果なんと、カドミウムという思わぬものが検出されたのである。

     途中までは良かった。一緒になって楽しんでいたくせに、事件が起きると手の平を返したように態度が激変する保護者たちと幼稚園側の攻防もありありと浮かんできた。しかし、中盤で物語の雰囲気がガラッと変わったというか、登場人物の印象がむちゃくちゃになった(苦笑)。責任感の強いまじめな2人かと思いきや、自分達さえよければそれでよいただのバカップルだったのか・・・。この小説で一番罪深いのは誰か?中盤以降の聡美の思考や行動には腹立たしいことこの上ない。放火は立派な犯罪。それを1人に押し付ける形になった上に、「私が待っててあげなくちゃ、支えてあげなくちゃ」って何様のつもりなのか。真相を知った他の人間も、隠ぺい工作を思いついて「それいいねぇ!」って子供みたいに盛り上がられても困る。テーマは興味深いのに、出てくる人間達が残念すぎる。

  • 食中毒から始まる環境問題の話。

    そう簡単にはいかない水質浄化。
    もっとすごく悪い人が出てきたらいいのに。

  • 幼稚園を舞台とした食中毒事件からはじまる。実はアゾラという植物に含まれているカドニウムが原因と判明、その後解決に向け、善人が何人も登場。悪人がいないというのも気持ちの良いものだ。悪気なく事件を起こしてしまってからの対応に迷う人間模様。
    良し悪しの判断は難しい。一生秘密を背おって生きるのもひとつの道か。

  • 幼稚園で起こった食中毒事件。調べていくうちに意外な事実が…。
    小さな子供が巻き込まれる事件は胸が痛い…。
    でも登場人物たちが基本良い人というのが良かった。
    https://ameblo.jp/harayou1223/entry-12801631022.html

  • 展開が短絡的すぎ。
    もう少し複雑な解決策はないのかな。
    普通の話で終わった。

  • 幼稚園で食中毒が発生する。

    調べが進むにつれて、カドミウムによる汚染が浮かび上がってくる。

    幼稚園の先生とその婚約者、子供達が運ばれた病院の医師などが絡んでくるがストーリー的には今ひとつ。

    環境汚染、食品衛生と何かと世間をにぎわせている話題であり、人類の重要な問題をテーマにしてはいるが、話に厚みがない。

  • あるの幼稚園で起こった食中毒事件。
    夏休みに行われた農業実習の後ふるまわれた
    おにぎり、鴨肉の入った鍋を食べた園児数人が嘔吐と腹痛を訴え…
    単なる食中毒かと思われたが、分析の結果カドミウムが検出された。
    おもしろかったんだけど、最後はえーそんなんでいいの?って終わり方なんだか腑に落ちない…

  • 初の作者の本でした!

    なんつーか、なんつーか。子供を持つ親ならばなんかわかる気もするんだけど、うん、なんつーかね、なんつーか。モンスターペアレンツまではいかないけど、さすがに食べ物で食中毒となれば何となく保育園を責めたくなる気持ちもわからないではないよなぁ。

    と、そんな感じ。

    感染とかを書いた作者と同じらしいけど、これはうーーーーーん、もうひとつな感じでした。緊張感と、緊迫感、ドキドキ感がどれも淡々と続いてた感じだったなぉ。


    胃がキュッとなるような感じや、胃の浮遊感みたいなキモさとかは感じなく、ただ淡々としてた。

    食中毒ーどーしよーやばーい、なんでーえーへーそうだったんだー


    っていう感じ。笑

  • 物語の規模が途中でブレました
    登場人物も見直したり見損なったりで、読んでる自分もブレブレです!
    それにしても保護者の皆さんの短慮な所にムカつきました!

  • 食中毒事件発生!!

    原因は? オチといい、展開といい、さっぱり。そんなバカなって感じの物語でがっかりだな。

  • 悪人が出てこないミステリー。
    医療ミステリーというよりは、科学ミステリー?

    結局環境汚染が一番悪いのよってことかな(笑)

  • 善かれと思ってやったことが事件を引き起こしてしまうという救い様がない話なので読後はやるせなくなる。
    そして周りが善人ばかりで全体的に都合が良いのが無理矢理救いを与えているようでしっくりこない。

  • ううむ…。仙川作品の中で一番「ムムム」と思ってしまいました。
    取り上げているテーマ自体は面白いのですが、ちょいといろいろ欲張りすぎなような気がしないでもないなと思ったのと、設定に無理があるのではと思ったのでした。

    とはいえ、やっぱり気になってついつい読んでしまうのはいつもの話(笑)

  • またまた仙川さんの作品をチョイス。
    正直ストーリー的にはうまくいきすぎじゃない?って突っ込みたくなる感じ。
    でも原発事故の後にこれを読むと、どうしても違った視点で読んじゃうから恐さは感じた。
    園児が苦しんだり死んだりする内容だったら嫌だなぁと思ってたけど、最後はハッピーエンドだったからひと安心。
    食べ物ってやっぱりちゃんと気にかけなくちゃ駄目だなぁと。

  • 時間的な余裕があったとは言うものの、それでもいつもに比べてかなり早いペースで読了しました。
    途中まではグイグイ引き込まれて読み進められましたが、事件の展開が正直、好みに合わなかったので★は三つです。

    事件の結末や解決方法、探偵気取りの内科医など、ちょっと中途半端な印象は否めませんでした。

  • 責任の伴う行動を起こすことは、
    本当に大切なことです。

    (以下抜粋)
    ○社会正義をいくら振りかざされても、
     人を守りたいという気持ちは揺るがない。(P.200)
    ○勝手な医者が自分だけの判断で脳死移植をやったことで、
     日本の医療はずい分長く、足踏み状態を余儀なくされた。(P.248)
    ○初めに背を向けるほうが、辛いに決まっていると思ったからだ。(P.259)

  • この間本屋でみつけて買おうかどうしようか迷ったのですが結局買わずに古本屋で見つけて購入しました。

    うう~ん。可もなく不可もない、といったところでしょうか。
    最初幼稚園の描写は面白かったのですが事件の始末がいろいろと無理が多い気がします。それと主人公が多いです。ポコポコと描写が変わるのでそれもあって感情移入がしにくいですね。(だから最後の行動が納得できない、というのもあるかもしれません)

    池に浮かんだ水草を捕り切るなんて無理ですよ…(笑)
    この方、水槽に水草入れたことないな(笑)
    家の小さな睡蓮鉢でも無理ですから…(笑)

  • この作者のシリーズを読んでみようと思う。

    内容も面白いし、読みやすい^^

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著者プロフィール

せんかわ・たまき
1968年東京都生まれ。大阪大学大学院医学系研究科修士課程修了。大手新聞社在籍中の2002年に書いた小説『感染』が第1回小学館文庫小説賞を受賞し、作家デビュー。その後執筆活動に専念し、医療問題を中心に社会性と娯楽性を兼ね備えた作品を発表する。著書には『転生』『繁殖』『誤飲』『疑医』『鬼嵐』などがある。本作は『幸福の劇薬』に続く「医者探偵・宇賀神晃」シリーズ第二弾!

「2020年 『偽装診療 医者探偵・宇賀神晃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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