きいろいゾウ (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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レビュー : 999
  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094082517

作品紹介・あらすじ

夫の名は武辜歩、妻の名は妻利愛子。お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う都会の若夫婦が、田舎にやってきたところから物語は始まる。背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説家のムコは、周囲の生き物(犬、蜘蛛、鳥、花、木など)の声が聞こえてしまう過剰なエネルギーに溢れた明るいツマをやさしく見守っていた。夏から始まった二人の話は、ゆっくりと進んでいくが、ある冬の日、ムコはツマを残して東京へと向かう。それは、背中の大きな鳥に纏わるある出来事に導かれてのものだった-。

感想・レビュー・書評

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  • 伝説のスピーチライター久美さんが、
                    ↑
    (『本日はお日柄も良く』  原田マハ 著より。)

    結婚式で披露した、あのスピーチの中での言葉が
    読後、
    脳内でぐぁん、ぐぁ~~んと響き渡った。

    「愛せよ。それだけが人生のなかでたったひとつの良い事である。」
     (記憶内からの再生なので、正確ではないです。)

    その通り…
    その通り…

    本当にその通りだよ。

    どんっ、どどんっ、と連続で打ちあがる美しい花火に目も心も奪われてしまったかの様に、
    最後のページをいつまでも開いたまま、
    私はそれ以外の言葉を
    ひとつも捜せなくなっていた。

    それまで都会にいたムコさんツマさん(←呼び名カワイイ♪)の二人
    が、田舎暮らしをスタートさせる所からページは捲られる。

    まるで、絵本を眺めてるように、鮮やかな色彩が目に眩しい、
    そのわけは
    物語をきいろいぞうや美しい鳥が、飛び回っていること、
    ツマにも、
    ムコさんにも
    実はいろいろ秘密があるのだが、
    色、が光のなかにしか存在しないように、
    形を変えたある『光』が、
    物語内に常に満ちていること、

    そのせいかな、と思った。

    シンプルだけど、
    両者の間に愛があるか?

    それがあるか、ないか、によって、全てのことは
    良い、良くないにわけられるような気さえしてしまった。

    リサイクルコーナーにて、なんとなく手にした本ではあったが、
    最高に良い本に出会えたな~と、愛ある偶然の出会いにも感謝である♪

  • 田舎に住む夫婦ムコさんとツマ。裸足の少女のような無垢で純粋なツマ、それを優しく包む小説家のムコさん。そんな2人のささやかな日常。
    いろんな愛があって、儚くて切なくて温かい小説でした。

  • 大好きな本になった。私至上小説ナンバーワンに躍り出たかも。
    世界観がとても綺麗で美しい。音とか、匂いとか、色とか、感情とか、すべてのモノが大事にされてて、確かに伝わってくるようなかんじ。
    そして登場人物の一人ひとりが、最高に良い!誰一人として欠かせない。大地くん、将来大物だな。アレチさんも好き。
    好きなシーンがいっぱいある。つよしよわし公演のときムコがツマへの歌を歌うとこ。大地くんからの手紙。荒れ狂った雨の中アレチさんとツマが大声で泣くとこ。ムコが昔の恋人の家を出てツマを愛しているとしか考えられなかったとこ。数え切れない!映画はまだ見てないけど、映像がはっきりと見えた。
    大地くんみたいに、ドッジボールの内野の一番前で、強いボールを目をつむらないでしっかりと受け止めるような、大人でありたいです。

    今ここにあるものが、必要なものなんだな。

  • やっぱり西加奈子が大好きだ。
    恐ろしいほどに繊細な主人公たちの不器用であまりにも深い愛が行間から溢れてはみ出ていた。繊細でいることは時に穏やかに生きることを邪魔する。社会人2年目の私は、この醜さの溢れる社会での生きにくさは、すべて私の心の弱さのせいだと自分を責めてばかりいた。でも、西加奈子の本を読んでいると、この心の弱さはすなわち繊細さであり、きめの細かく感度の著しく高い証拠であり、むしろそれは強さなのだと思える。そして、もっともっとこの弱さととことん向き合いたくなる。なーんて深夜テンションで書いてみた。これは単なる公開ぼやきだな。

  • 西加奈子の良さがつらつらと表現されていた。ゆるいけど、ずっしりくる感じ。まったりな展開が癒された。登場人物それぞれにスポットライトを当てている優しさも西さんのあったかい人間性がにじみ出ていた。ムコとツマみたいに夫婦の距離感で悩むことは誰にでもあることだと思う。自分が結婚したときにまた読み返して、気持ちを整理したいなーと思う作品でした。

  • 言葉の世界の臨場感。

  • みんなそう。過去があって、今がある。毎日を大切に過ごそうと思える物語。

  • 田舎で暮らす少し不思議な優しい夫婦。そして、ご近所のお話。後半で大きく状況が動く。ずっと秘めていたムコの秘密。ツマの不安定な気持ちを置いてムコは旅立つ。繊細な気持ちのバランスを一生懸命保っているような、今にも暗い闇に落ちていってしまいそうな、そんなお話の展開。けれど、最後にはとっても温かい気持ちが膨らむ物語だった。ムコはツマを、ツマはムコを愛しているからね。この不思議な感覚を言葉にするのは難しい~(笑)

  • 幸せそうな家族にも倦怠期って訪れるのかな。ムコさんとツマが致命的なケンカをしたようにも、その原因になるようなことをしたとも思えない。日々の生活を大事に暮らしていると意外に小さな幸せがいくつも目の前に現れてくる。それが実感できていれば、日々は楽しい、と思う。そんなふうに生かされていると思うとまわりのいろんなことに感謝をしたくなる。
    アレチさんの「わしは、セイカを、好いとる」って言葉がいい。認知症になったセイカさんとの生活は寂しく悲しいときもあるだろう。でも好きは好きなんだよね。どうしようもなく好きだから一緒に暮らしているんだものね。だからアレチさんは倦怠期みたいなものに心を揺さぶられたりしないだろう。
    ムコさんの「ツマを、愛している。」の一言でふたりの時間がまた動き出した。やっぱり言葉で伝えなくちゃダメなんだ。ツマが読んでいる日記じゃなくてムコさんの発する言葉じゃなくちゃ。こんなにシンプルなことなのに、オイラもできていない。そういえば、子どもが大きくなって夫婦共通の知人っていなくなったなぁ。それもふたりの閉塞を助長している気がする。どげんかせんないかん!

  • とても良い小説だった。
    自然や動物、人間たちに対する目線の素直さや可愛らしさ、相手のことを精一杯想っているがゆえの距離感、それらを表現する言葉の選び方、各章の初めに挿入される絵本の効果など、素敵な点を挙げ出したらきりがないくらい良い小説だった。

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著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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