デウスの棄て児 (小学館文庫 た 1-6)

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  • 小学館
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094082951

感想・レビュー・書評

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  • 再読でもまたこの熱量に圧倒されました。
    かつてない天草四郎像だろうけど、好きです。神に反逆する者。
    信仰をもつ者を全て破壊するという想いだけで生きてきたけど、最期は孤独ではなかったのに涙。
    「戦うことを放棄した者に、勝利などもたらされる訳がない」…歴史小説でも、野ばらさんだ、と思いました。
    戦うこと。孤独かと思っていても、共に生きられる人を見付ける。
    山田右衛門作もよかった。ユダか。。

  • 野ばらちゃん…キリシタンものも書いてたのね…

  • なんて面白いの! 天主に復讐するためにいろいろな知識を深め、やがて不思議な力を身に付け気がつけば一揆を率いる絶対的な存在に祭り上げられていく。嶽本さんの描く天草四郎は悪魔の子と蔑まれ、皆が盲目的に信じる神という存在に反発するために人々の頂点に立つが、最後は無垢な心をもつ者たちにその孤独を救われ穏やかな気持ちで旅立っていく。「尊きは私でも天主でもない、そなた達尊きものが生きずしてどうする」ここ泣ける。あとここも自分的に刺さった、168p「天主様の御遣いの癖して、全く坊やだな」腐臭~。

  • 天草四郎を悪魔の子として生きる視点で書いた話。グノーシス主義から学んだ秘法?密教的な術などをそこに依拠させている。キリスト教徒を導くよりも殺し合いさせる悪魔の子としての天草四郎です。

  • 面白くないわけではないけれど。
    「小説」として読ませるにはずい分と弱い気がした。
    作者の思い入ればかりが書き連ねてあるような。

    それほど長いとも思えない内容なのに、妙に読むのに時間がかかった。

    が、四郎の悲しさ、そして救われた過程は沁みた。
    さりげない腐臭もGJ。

    宗教という存在を考える時、このくらいの疑問は誰しも抱くもの。
    「神はなぜ、こんなにも酷薄なのか」
    その問いに、もっとガッツリ食い込んで、読者を巻き込んで答えを抉り出して欲しかった。

  • 「神の在り方」
    神を信じるも信じないも自由。
    それは時代によって変わるものさ。
    神と自由は同価値か。

  • 嶽本野ばららしさは少ないけれど一番好き

  • 天主への恨みを原動力に進み続けた天草四郎の、自伝のような語り口の作品。悪魔の子と罵られ、また自ら罵りつつ、天主にしがみついた人生――故意に穢れに染まりながら傷ついていくさまは、まさにかまってほしい幼子そのもの。だからだろうか、ずっと孤独だった心をほぐされて死へと向かう四郎の最後の姿には、愛しさを覚えた。

  • 天草四郎が主人公。彼がなぜ若くして件の乱のリーダーになったのか、まったくのフィクションで描かれるけどそれはそれは生々しい/燃え盛る炎のなかで、神デウスに語りかけるラストシーンが究極的に良い

  • 天草四郎と嶽本野ばら。うん、なんとなく想像はついた。
    荷が勝ちすぎたのかな、という印象。背徳的な耽美感は相変わらずだが、心理描写が薄っぺらい。それはないわ、というか虚構とはいえもう少し時代考証をお願いします。

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著者プロフィール

文 嶽本 野ばら
京都府宇治市出身。作家。
1998 年エッセイ集『それいぬ̶ 正しい乙女になるために』(国書刊行会)を上梓。
2000 年『ミシン』(小学館)で小説家デビュー。
2003 年発表の『下妻物語』が翌年、中島哲也監督で映画化され世界的にヒット。
『エミリー』(集英社)『ロリヰタ。』(新潮社)は三島由紀夫賞候補作。
他の作品に『鱗姫』、『ハピネス』(共に小学館)、『十四歳の遠距離恋愛』(集英社)
『純潔』(新潮社)など。『吉屋信子乙女小説コレクション』(国書刊行会)の監修、
高橋真琴と共書絵本『うろこひめ』(主婦と生活社)を出版するなど少女小説、お姫様をテーマとした作品も多数。

「2021年 『お姫様と名建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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