小説 あらしのよるに〔小学館文庫〕 (小学館文庫 き 10-1)

  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094083293

作品紹介・あらすじ

嵐の夜、仲間からはぐれて逃げ込んだ小屋で、オオカミのガブとヤギのメイは出会う。暗闇の中、二匹はお互いの姿を見ることもなく、夜通し語り合い、心を通じ合わせる。「嵐の夜に」の合言葉を決めて、翌日、会うことになった二匹だったが、白昼の下、自分たちが「食うものと食われるもの」であることを知る。それでも魅かれ合うガブとメイだったが、天敵同士のオオカミとヤギの群れは二匹に非情な命令を下すのだった。三百万部のベストセラー絵本の著者が、新しいエピソード、異なる結末で描いた小説。

感想・レビュー・書評

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  • 1994年に刊行された7冊の絵本シリーズを小説にした本。

    嵐の夜に暗闇で出会ったヤギとオオカミが仲良くなる。だけどオオカミは時々ヤギが美味しそうに見えてしまう。食べたらダメだ食べたらダメだと葛藤する。最初はそんな場面がくすりと笑えてしまう。

    未熟だった二匹が苦難を乗り越える度に成長し、胸を打たれる。特に私はオオカミ、ガブの思いやりの強さに後半は何度も目が潤んだ。

    元々は捕食被食の関係であり、そんな結末を予想していたのだが。最後は涙が止まらなかった。

    読了後は友人にも勧めた。
    そして絵本版も読みたい。

  • 絵本のようなお話かと甘く見てました。
    想い合う異種族の2匹が予想以上に辛い目に遭っていて、油断していたせいもあって泣きそうになりました。
    一筋縄じゃ行かない恋なのはわかってたけど、もっと早めに幸せに暮らしてくれると思ってたんだ…。

    今までにない世界や恋のために、思いきった態度で「草食動物らしさ」から外れていくメイちゃんもまた予想外でした。
    かわいいヤギさんが、怖そうなオオカミさんと心を通わせていくだけの話ではなかった。ヤギさんは意外と男前だった。

    追っ手の恐怖や先の見えない不安から、他の全てを捨てて一緒にいることを選んだ相手と傷付けあってしまうのもなんだか妙にリアル。
    ラスト手前には「うそでしょ、もういいよ!もう幸せになりなよ!」って思うくらいには引き込まれてました。

    いつまでも幸せに暮らしました、ではなく、永遠の別れまで描かれているところが、余計に切ないような、でも本当にそれまで一緒だったんだなと安心するような。

  • 後半は、この二人がどうなるのか、話がどんどん展開していって、夢中になって読みました。沢山泣きました。

    お互いの違いを、みないふりではなく、理解し認めるというのは、本当に難しいことだと思う。
    それさえも越えれるほどの愛ってどんなのかなぁ。この先出会えるのか。

    終わり方はとても切なく、けど、心温まる終わりだと思います。

  • 命をかけてもいいと思える相手に出会えるって素敵だな。

  • Amazonでずーっと在庫切れだったので、絶版か?と思ったら出版元の小学館で在庫があったのでポチッと。
    CMか広告かでなんとなく絵を見た覚えはありましたが、詳細は初見。あとがきにもありましたが、メディアにより最後が違うようなので、映画版とか絵本版もいつか見てみたいな。

    メイとガブのやりとりがたまらないです。仲良くなって、疑って、すれ違って、でも信じて。相手のことを思いやってこその演技というか三文芝居に、本当の思いやりを感じ、見ている側は相手のその行動の真意を知り演技にのったり、というやり取りが心を打ちます。素直な良い2人だと思うのです。
    言動の一つ一つが相手を思ってのこと。すべてに相手への思いやりがこもっています。
    あとがきで自ら説明されていたように、確かに描き方の妙を感じました。それぞれの視点で行き来するため、互いの想いをその立場で感じることができて、感情移入がハマった。

    見た目や肩書にとらわれず、中身で付き合えるというのは素晴らしいこと。肩書だったり虚勢だったり、なかなか素の自分を見せ合って、とはいかんですからねえ。

    はじめは勝手にメイも男の子をイメージしていたけど、だんだん「あれ?」とか思ている間に、恋物語の様相に。後半は友情というより愛情に近い感じだったかな。すれ違いも男同士の友情のすれ違いというよりは、男女のすれ違いに近い感じだったように思います。

    最後はねえ、もうちょっとハッピーエンドでも良かったのでは?と思わずにいられない。せっかくやっと一緒になれたのに。エピローグの出だし、「それからどれくらいの時間がすぎたのだろう」にはそれなりの時間があったのかな?とも読めたけどそんなことはないわなぁ。ちょっと寂しい結末。子供にはつらいよなあ、これは。小説版ということで対象年齢高めを狙ってのこの結末なのか。
    それでも、すべてをなげうって、相手を信じてきて、やっと2人一緒になれたのは幸せと評すべきか。

    合言葉「嵐の夜に」。最後に再び出てきて、これまでの思い出がフラッシュバック。読み手も一緒に思い出して思わず涙目。

  • 素敵な話でした。なぜか気が合う狼とヤギ…種類は違うけどお互いのことが大好きでずっと一緒にいることを決めた。私はこの話は人間の男と女に当てはまるんじゃないかなぁ。と思った。男の人と女の人は違うけどその中で自分にぴったりな人がいる。その人とならどんなことでも乗り越えられる気がする。そう思えるなんて素敵なことだな。と思いながら読んでました。子供が小学生になったら勧めてみようかな。

  • ある程度、予想はしながら読み進めてはいたけれど、、、
    バスタオルが必要です

  • 一気読みしました。自分より相手を思い支える、これを愛と言うのだろうけど、ガブとメイを見たらそんな簡単な言葉で片付けたくないし、そんな綺麗な言葉で片付かないと思った。もっと重い。ドロドロしてるもの。だから、2人は惹かれたんだ

  • わたしは、一つ。
    一人の人間である前に、一つの命だから。

    どんな仕事をしたって、どんな風に暮らしたって、わたしが一つだってことは、変わりがない。

    物語の中の、メイとガブは群れや環境に翻弄された。だけど、それぞれが “一つ” だってことを見失わなかった。

    だから、逆境の中でも大切な人を愛し続けられたんだ。

    わたしも、これからは、そんなふうに生きてゆきたいな。

  • 映画を観て、小説が読みたいと買った本。昔から何度も読み返してほっこりしてる。本当に心の底から好きな人っていうのは、を考えれた本。

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著者プロフィール

東京に生まれる。多摩美術大学卒業。造形教育の指導、テレビ幼児番組のブレーンなどを経て、現在、絵本・童話の創作、作詞、戯曲・コミックの原作、小説の執筆、講師をつとめるなど、幅広く活躍。『あらしのよるに』で、産経児童出版文化賞・講談社出版文化賞絵本賞受賞、斎田喬戯曲賞受賞。『オオカミのおうさま』で、日本絵本賞受賞。おもな作品に、「あかちゃんのあそびえほん」シリーズ、「木村裕一・しかけ絵本」シリーズ、「おはなしゲーム絵本」シリーズ、「2才からのあそびえほん」シリーズなどがある。

「2022年 『おでかけ版ごあいさつあそび+ピイちゃんパペットギフトセット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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