スコットランドヤード・ゲーム (小学館文庫 の 2-1)

著者 :
  • 小学館
3.63
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本棚登録 : 620
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094083507

作品紹介・あらすじ

湘南の鵠沼に住むサラリーマン・石井樽人は、深夜のマンガ喫茶で知り合った女の子に恋をする。彼女の名前は杏。ケーキ屋「ミニョン」を営む祖母のマキさんが、通院している病院で働く看護師だった。樽人は自分の気持ちを伝えるが、彼女は心を開かない。杏は、三年前に大切な人を亡くした喪失感から立ち直れないでいた。その力になりたいと悩む樽人に、同居人であり親友の久喜夏彦は厳しくも優しいエールを送る。樽人は、二十四日以内に杏を恋人にすることができるのだろうか。脚本界のトップランナーによる、甘く切ない小さな恋の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 息詰まる追跡劇を連想させるタイトルと、のんびりと落ち着く海岸写真の表紙に、ギャップを感じながら読み始めました。
    著者はドラマを見ない私でも名前を知っている脚本家。
    どんな心を揺さぶる物語が始まるのだろうと期待しましたが、軽く読み終えてしまい、正直、ほとんど心に残りませんでした。

    脚本風の作品は、会話主体のものになるというのはわかります。
    会話をメインとして構成される物語ならば、地の文がないだけに、通常の小説よりも自然な会話から動き出す、流れるような展開が読みやすいものとなりますが、本書の登場人物たちは、実際には交わされないような会話を連ねていくため、どうも不自然感をぬぐい切れませんでした。
    主要キャラクターの誰にも共感できず、感情移入ができなかったというのも理由のひとつ。
    軽快でオシャレで、イマドキな感じですが、だからこそリアル感が薄く、常に後ろで、糸を操っている著者の存在を感じました。

    主人公同士の最初の出会いは素敵でしたが、そこから始まる恋愛作戦は、割と月並み。
    途中で意外な展開がありますが、実は(そうじゃないかな)とうすうす感づいていたため、当ててしまったがっかり感もありました。

    話の構成や展開がかなり似ていると思い出したのが、喜多喜久の『ラブ・ケミストリー』。
    表紙絵は、同じイラストレーターでしょうか。
    奇しくも、本作でのキーマンとなる夏彦は久喜という名前なので、妙な繋がりを感じずにはいられません。
    新人作家のデビュー作と熟練の脚本家の作品に類似を感じる時点で、自分の中での評価が定まったように思います。

    あとがきは、市川拓司氏。
    熱心に、熱を込めて推薦文を挙げていますが、この作家も私は得意としないため、二人とも似ている路線なのだと感じました。
    氏のピックアップした箇所が全て、私には違和感を感じて引っ掛かったところばかりだったため、(氏のように、私と逆に感動する人も多いんだろうな)と思いました。

    しかし、氏の推薦文も、手放しで礼賛しているわけではなく、褒めすぎだと思う箇所には必ず「基準に個人差があるとしても」「はまるかどうかというのは、かなり個人差がある」「ぼくにとってちょうどいいのがこのあたり」「樽人(主人公)的な男の子、あるいは女の子が読むと、すごく共鳴できると思う」という婉曲な表現を使っているところから、(やっぱりこの人も、万人に好かれる作品とはとらえていないんだな)と思いました。

    ひと山あったとはいえ、最後まで予定調和的なトーンに包まれた作品。
    大きな波風が立たない、穏やかなストーリーを愛する人には向いているでしょう。
    タイトルから、冒険活劇的なワクワクするストーリーを連想していた私は、恋愛モノだったのが予想外で驚いたため、すんなり入り込めなかったようにも思います。
    加えて、軽い作風がどうも人工的に、空虚にさえ思えて、感覚的にしっくりきませんでしたが、海沿いの湘南のケーキ屋を舞台に展開するロマンチックなラブストーリーなので、この本こそ好きだというファンも多いことでしょう。

  • とても素敵な恋愛小説です。
    思い出だからこそ美化される。
    むしろ美化して自分に酔う。
    怖いものです。

    今の連続が永遠。
    とっても素敵な考え方です。

  • 個人的に野島さんのこういったタイプの本が好きなので本当に楽しめる。
    中身はほとんど会話で構成されているけどウィットに富んだ会話がテンポ良く書かれている為スルスル読める。

    傷ついた女性をどう癒すか、どう射止めるかを男同士の友情を含めて描かれている。

    途中気づいたがアンズクッキータルトの謎が明かされるときはホロリとするし、クッキーの立場からはすごく切ない気持ちになる。

  • 90年代のドラマ全盛期の、あの当時の「ドラマの爽やかさ」みたいなものを2000年代になってもちゃんと保持している文体だなあと感じた。家なき子とか、ヘヴィ系のドラマ脚本の印象が強かったので、「爽やか」寄りなのが意外というか新鮮な感じがした

  • 亡くなった恋人を思い続ける女の子とその子を好きになった男の子と、どっかから湧いて出てきたような親友のお話

    会話文がちゃんと「」で区切られていてなおかつ長い
    素人とかラノベでも読んでいるかのように感じた
    もしくは脚本とかね
    野島伸司という前情報があったから尚更思い込みがあったのかもね
    なので、若干読みづらいところもあった

    でもまぁ語られている内容は特殊な恋愛論でやはり野島臭がする
    ドラマの「世紀末の詩」とか「あいくるしい」に通ずるものがあるなぁ
    そう言えば、世紀末の詩をやってるときのインタビューで、21世紀になったら「新世紀の詩」ってドラマをやるって言ってた気がするんだが、ぽしゃった?それとも他のどれかがそれだったのか?

  • これ読んだ年にスコットランドに行くことになった。
    全然関係ないけど

  • 2013/2 借りた本

  • 王道ラブファンタジー。会話が多くてするする読めた。

  • タイトルの「スコットランドヤード・ゲーム」というゲームが小説全体と上手くリンクしていて
    面白かった。
    登場人物達の会話がリズミカルで読みやすく、それでいておっと思わせる様な知的な表現も沢山あって軽すぎない。
    若干クサいんだけど何だか嫌いになれない。

  • 驚きの連続.ナレーション部分がほとんどなく,物語の大半が二人の男の会話となっている.飽きてしまいそうだが,軽快な会話に引き込まれ思わずにんまり.ストーリも想像の遥か上を行く.嘘っ?と思わず口に出してしまうほどに.「ウサニ」,「スヌスムムリクの恋人」に続き3冊目の野島作品だったけど,どの作品も最高でした.お世辞抜きでオススメします!!
    以下あらすじ(巻末より)
    湘南の鵠沼に住むサラリーマン・石井樽人は、深夜のマンガ喫茶で知り合った女の子に恋をする。彼女の名前は杏。ケーキ屋「ミニョン」を営む祖母のマキさんが、通院している病院で働く看護師だった。樽人は自分の気持ちを伝えるが、彼女は心を開かない。杏は、三年前に大切な人を亡くした喪失感から立ち直れないでいた。その力になりたいと悩む樽人に、同居人であり親友の久喜夏彦は厳しくも優しいエールを送る。樽人は、二十四日以内に杏を恋人にすることができるのだろうか。脚本界のトップランナーによる、甘く切ない小さな恋の物語。

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著者プロフィール

1963年、新潟県生まれ。88年脚本家デビュー。数々の話題作を手がける。

「2015年 『お兄ちゃん、ガチャ(2)<完>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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