海を抱いたビー玉 (小学館文庫 も 19-1)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 899
感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094083552

作品紹介・あらすじ

運転手の親子に愛されたことで「心」を持った瀬戸内海の小さな島のボンネットバスと、手にした者に勇気を与える不思議な青いビー玉が、時代を超え、運命に導かれながら旅をしていくファンタジー。
旅は、懐かしい昭和40年代の瀬戸内海の島から、大震災に見舞われた山古志村へ……。
少年と、バスと、少年の心を持った魅力的な大人たちが、「生きることの美しさ」を優しく語りかけてくれる、事実をもとに描いた奇跡と感動の物語。驚きのラストに、あなたもまちがいないく「幸せのため息」をつくことでしょう。
「幻の青春小説」と呼ばれた名作の、待望の文庫版です。

感想・レビュー・書評

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  • この物語は魂を持ったボンネットバスのBX341が主人公です。
    このバスBX341は実在するバスで、この物語には実在する人物も登場する、半分はノンフィクションで半分はフィクションだそうです。

    この作品のテーマは、モノには<魂>があるということと、2004年10月23日に起きた、新潟県中越地震です。
    この二つにどういう繫がりがあるのか書いてしまうとネタバレになりますので、それには触れないでおきます。

    ボンネットバスの心の内がいつも大事にしてくれる運転手のことを慕う気持ちでいっぱいでとてもキュートでキュンとしてしまいました。
    他のバスにもみんな魂があるんじゃないかというように思えてきてしまいました。

    いつも凛と輝いているビー玉は「幸福を呼ぶビー玉」として存在しているそうです。

    森沢語録
    〇モノには<魂>がある。
    〇人が、なにかを心で思う。そしたら思ったことを言葉にして言う。それを言い続けていれば、いつかは現実に成ってしまう。それが思う、言う、成る。
    〇キミが生きているということは、それだけですでに奇跡だろう?ならばこれから先、キミにふたつめの奇跡が起こらないと決めつける理由は、いったいどこにあるんだい。

    私も、思ったことは言葉にして言い続けようと思いました。

    • まことさん
      りまのさん。
      もともと、言葉を大切にしていたりまのさんだから、反省も、されたのですね。
      私は、反省が足りないのかもしれないと思いました。
      りまのさん。
      もともと、言葉を大切にしていたりまのさんだから、反省も、されたのですね。
      私は、反省が足りないのかもしれないと思いました。
      2021/01/30
    • りまのさん
      まことさん
      反省ばかりしている人なんてイヤです。
      まことさんは、素敵な言葉使い師だと、思いますよ。
      まことさん
      反省ばかりしている人なんてイヤです。
      まことさんは、素敵な言葉使い師だと、思いますよ。
      2021/01/30
    • まことさん
      りまのさん。
      りまのさ~ん!
      そんなこと、誰にも言われたことないですっ…(ぶんぶん←顔を振っています)。
      りまのさん。
      りまのさ~ん!
      そんなこと、誰にも言われたことないですっ…(ぶんぶん←顔を振っています)。
      2021/01/30
  • とっっても優しい気持ちになれましたぁ……はぁ。
    しかも舞台となる町のひとつ、福山は私の生まれ故郷なので、よけいに心震えるというか……

    魂を宿したボンネットバスは、行く先々で愛され生き続けています。
    長く使われた道具やモノは付喪神になって命を宿すと言われていますが、それは私も昔から信じていたことでした。
    このボンネットバスも素敵な人たちによってこれからも元気に走り続けます。
    瀬戸内海の穏やかな海も本当に癒されますので、たくさんの方に来ていただきたいものです。
    私もまた海を見に行きたいな。

  • やっぱり大好きです作者さんと改めて思いました。
    愛された事で心を持った物達の優しいお話です。
    主役は心を持ったボンネットバスです。
    大切にする事で命が吹き込まれると考え方はとても素敵です。
    事実をもとにした作品であとがきにもそれが書かれています。
    誰かが愛した物がまた誰かに愛されるお話に読み終えると気持ちが落ち着きます。
    大切にしたい1冊になりました。

  • BX341、こどもだったとき、路線バスが彼だったような気がします。
    珍しい形のバスだったので、憧れがありました。
    そのバスに乗れないと不機嫌になっていたし、乗れたらご機嫌でした。

    表紙絵も綺麗ですね。童話のようなお話です。
    青い、海を象徴するビー玉がでてきます。

    解説まで読み進めて唖然としました。
    信じられません。

    「持ち帰ってもいいそうです」・・・なんともふとももな。こういう遊び心、すきだなー

    「おもしろいからやってみる」そんなストーリー展開が最初から最後まで散りばめられていました。

  • H31.4.16 読了。

     BX341というトトロの猫バスのモデルになった「心」を持ったボンネットバスと海のようなビー玉が繋ぐ物語。読み終わった後に越後湯沢にあるBX341に会いに行きたくなった。

    ・「魂があるから直して使ってやるし、使われてこそ道具は幸せ。大量生産、大量消費という営みでは、人の気持ちがこもった《文化》が生まれない。」
    ・「その現実をまるごと受け入れて、その先に見つけられる大切な価値に〔気づき〕ながら生きていけばいい。日常にある小さな幸せにひとつでも多く〔気づき〕ながら日々の幸福をかみしめていればいいのだ。」
    ・「人が、なにかを心で思うだろ。そしたら思ったことを言葉にして言う。それを言い続けていれば、いつかは現実に成ってしまう。それが、思う、言う、成る、だ。」
     

  • 父の運転するボンネットバスが大好きな清は、毎日バスに話し掛ける。
    ところがある日、突然の別れが───
    事実を織り交ぜた心温まるファンタジー。

    とても古い物や、人の愛情を一身に浴び続けたものには魂が宿るという。
    ミシッ…
    清と父さんに、渾身の力を込めて 自分の気持ちを伝えようとするバス。
    澄んだ心で耳を傾ければ、その声が聞こえるのかな?

    「凛」…
    海の青を思わせる美しいビー玉が印象的。
    山古志村の災害は辛かったけれど、
    生きる気力をなくしていた車椅子のおばあちゃんが、ボンネットバスに乗って笑顔を見せる場面や、
    「物には魂がある」と信じる、温かな心を持った人々が起こした奇跡に胸がいっぱいになる。

    「思う、言う、成る」
    森沢明夫さんの本はいつも、胸にしみる言葉が溢れていてとても好きです。

  • 昭和の中頃、街の界隈を走っていたのはボンネットバス。
    あの"となりのトトロ"に登場する
    "ねこバス"のモデルにもなったといわれているバスです。

    当時どんなに人々の役に立ち、愛され活躍していたバスだとしても
    長い年月が経つにつれ、傷み老朽化していけば、若く新しいバスが求められていく。
    そうやって新旧が入れ替わり、人々には喜ばしい暮らしが与えられていくなかで
    これまであんなに愛されながらも年老いていったあのバスは
    その役割を全うした後、いったいどこへいってしまうのだろう....。

    瀬戸内海の真ん中に浮かぶ大三島という島で、人々に愛されながら
    活躍したある一台のボンネットバスが、老朽化し、その役割を終えた後の
    行く末を辿る軌跡と奇跡の物語。

    このお話は事実に基づくもので、主人公として登場する一台のボンネットバスが
    定年後(?)に辿って行った実際の道のりを、著者森沢明夫さんが取材して歩き
    登場人物のほとんどを実名で登場させて描ています。

    そのボンネットバスは
    運転手だった親子にとても愛されていたことで"心"を宿している。
    "ボク"はあの大好きな親子とどうして別れなければいけないのか...
    いったいどこへ連れていかれて何をされるのか...
    "ボク"は不安で不安で悲しくてたまらない。

    そうして一度はスクラップ寸前にまで追い込まれてしまった"ボク"が
    連れていかれたところは.....

    "モノ"にだって出会いがあれば別れもある。
    愛着のある"モノ"との避けられない別れ...

    例えその先に、喜ばしいことが待っているとわかっていても
    別れというものはほんとうに辛いものですね。

    "古いものには、魂がある"

    榎さんにとっては手塩にかけて育てた娘を手離すようであったでしょう。いえ...
    もしかしたらそれ以上かも。ほんと瀬戸の花嫁。
    ここにいちばん泣けました。そう書く今もウルウルする....

    運命に導かれた軌跡が奇跡をよんだこの実話は、森沢さんの
    繊細で優しい魔法にかけられて、素敵なファンタジーストーリーに変身して
    感動を与えてくれます。

    勇気を与えてくれる不思議な青いビー玉。
    今日も誰かを元気づけているかな..。

  • 森沢作品で泣かない本はない。
    この作品もだけど、気付かなかった大切なモノ、忘れていた大切な思いを森沢さんは気づかせてくれる、思い出させてくれる。

    この作品も、そんな言葉に溢れていました。

  • ☆5

    大切にしてもらった事で《魂》が宿ったボンネットバスと、手にした者に勇気を与える不思議な青いビー玉が、運命に導かれながら旅をしていく物語。

    半分はノンフィクションで、半分はフィクションという所も魅力的でした❁⃘*.゚
    読み終わった後、心が綺麗になれるような…そんな素敵な作品でした(*´˘`*)

  • モノには「魂」が宿っている。
    また森沢さんから大切な言葉を貰った気がする。

    時代を繋ぎ、人と人を繋ぐ魂を持ったボンネットバスは、見る人みんなを笑顔にし、気持ちを穏やかに温かくしてくれる。
    このバスに関わった人達のように、私も日常にある小さな幸せに「気づき」ながらこの先を生きていきたい。
    「思う、言う、成る」魔法の言葉を胸に。

    色々な人達を不思議な縁で結んだ実在するボンネットバスをいつか見に行って、幸福を呼ぶビー玉を持ち帰ろう。
    凛、ミシッ……清らかな魂の存在を予感させる素敵な音がいつまでも心に残る物語だった。

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著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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