真夏のオリオン[文庫] (小学館文庫)

著者 :
制作 : 552 
  • 小学館
3.46
  • (11)
  • (33)
  • (36)
  • (9)
  • (2)
本棚登録 : 250
レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094083804

作品紹介・あらすじ

64年の時を越えてアメリカから届けられた一枚の楽譜「真夏のオリオン」。過酷な時代の秘められたドラマがいま甦る。第二次世界大戦末期。米軍の本土上陸を防ぐため出撃した潜水艦イ‐77号の若き艦長・倉本孝行。それを追いつめる駆逐艦パーシバルのスチュワート艦長。甚大な損傷を受けたイ‐77号に残された酸素はあと1時間。「俺たちは死ぬために戦ってるんじゃない。生きるために戦ってるんだ」。倉本と乗組員の知力の限りを尽くした作戦が開始された。『終戦のローレライ』『亡国のイージス』の福井晴敏が4年ぶりにおくるエンターテインメント映画を完全ノベライズ。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 福井晴敏氏の映画のノベライズ版。端的に言えば日本版「眼下の敵」であるが、換骨奪胎が程よくされていてよいエンターテイメントになっており、福井氏のこのジャンルでの完成度が伺われる。登場する伊77潜は実在しないのですが、モデルとなる潜水艦伊58が存在します。このあたりの描写もリアルに仕上げているのが福井流。なかなかのエンターテイメントとなってます。

  • 戦争中に使われていた戦闘のための船や飛行機、武器に詳しいわけではない。
    けれど、まったく知識のない者にとってもとても読みやすい物語になっていた。
    潜水艦という特殊な船艇における戦術、息が詰まるような臨場感。
    そして、救助中の敵は攻撃しないという人間性。
    すでに生きて戻ることは叶わない有沢との最後の交信は胸に迫る。
    必ず気付いてくれると信じ、最後の力を振り絞って敵の情報を残そうとした有沢。
    限界の中でもけっして諦めることなく、友の最後の言葉を信じ作戦を練る倉本。
    戦争が悪いことだというのはみんな知っている。
    武力に頼った解決など、何の意味もないこともわかっている。
    たとえそこに信じるべき正義があったとしても。
    立ち位置によって正義は変わる。
    自分にとっての正義は、相手にとっては理不尽な不条理かもしれないのだ。
    でも、実際に戦いに臨み、命のやり取りをするのは紛れもなく生きた人間たち。
    ひとりひとりに家族がいる。愛する人もいる。守りたい人もいる。
    戦いの中に人間性など求めてどうすると言われるかもしれない。
    それでも、どんな極限状態にあろうとも、けっして揺るがない人間性。
    それこそが尊いと感じる。
    「もう敵を殺す理由はない・・・自分で自分を殺す理由もだ」
    倉本の言葉は、戦争でなければ殺し合いなどしなくてすんだ、どこにでもいる普通の人たちが戦場に駆り出された現実を教えてくれる。
    ずっと、未来永劫、戦争などなければいい。
    世界のどの場所でも、戦争が悲惨なことに変わらないと思うから。
    設定や当時の海軍の状況、潜水艦の描写など、詳しい人にとっては「あり得ない!」と言いたくなるような箇所もあるだろう。
    撃沈できる機会をわざわざ潰すような指揮官などいない、と言う人もいるだろう。
    それはそうかもしれない。リアル感がないと言われればそうなのだろう。
    でも、この物語から伝わってくるのは、みんな真剣に生きていた時代だったということ。
    必死に戦って、必死に生きようとしていたということ。
    彼らの戦いの延長にいまの平和があるのだということ。
    忘れてはいけないことだと思う。

  • 戦時小説としてはとても面白い一冊。
    ただし、「永遠のゼロ」も同じだが、これらの小説を読んで、史実と勘違いしている人が多いのは残念・・・。
    もっとも、私も含め、本当に正しい史実(バイアスのかかっていない)を教わっていないため、やむを得ないが。
    最近、朝日新聞が記事を訂正したり、ヘンテコな歴史の教科書が出たり と・・・一体真実はなに?

  • 人間魚雷回天をつみながらも、それを使ったことがない潜水艦艦長倉本と、回天に恨みを持つ駆逐艦艦長スチュワートの知力を尽くした壮絶な戦い。この戦いはオリオンに導かれて終わりをむかえた。しかし彼らの戦争は終わらない。この世界の終戦はいつ訪れるのだろう。

  • 池上司によるフィクション海戦記『雷撃深度一九・五 』(文春文庫)を原作にした映画作品用の脚本を元に小説化した本作。『ローレライ』『亡国のイージス』と並ぶ“夏の福井晴敏・海モノ3部作”の内の一つ。
    終戦近い大東亜戦争で最後の雷撃作戦に赴いた「伊-77」と、それを撃沈せんとするアメリカ海軍駆逐艦「パージバル」の戦いは敵の作戦を読み合う「心理戦」で展開されるので心理描写を描きやすい小説は映像作品とは違った緊迫感とスペクタクルを堪能する事が出来る。
    フィクションの架空戦記なので史実上でのツッコミは野暮とは思うが、福井作品の反戦のメッセージは「戦後の価値観」で日本の戦争が語られる部分が多く見受けられる為に何処かアニメチックな違和感は禁じ得ない。

  • ベタな内容だか結構泣けた。
    映画もよかったなあ・・。

  • 福井さんに戦争もの書かせたら右に出るものはいない、というのは言い過ぎかもしれないが、かなり好きです。
    なんていうのかな、男と男の戦いっていうか、熱くて強くて優しくて切なくてグッと来ます。だいたい主役がカッコえぇんだよなぁ。
    福井作品と百田さんの「永遠の0」で戦争を知ることができた気がします。

  • 夏になると、なぜか「戦争」関連の話の本を読みたくなるのです。
    今回は、映画の「真夏のオリオン」を読んでみました。
    今まで戦争の話で記憶に残るのは『出口のない海』と『戦場のピアニスト』


    この真夏のオリオンも出口のない海と同様に海軍の話でした。

    お国のために死ぬんだ!!っと思う日本人ばかりの時に
    主人公の倉本館長は・・・「生きるために戦う」っという新年を貫き通し
    同じ戦艦に乗り組む乗員を大切にし
    自分よりも位が低くても年上の人を敬い
    友人を愛し
    そして、愛おしい人を心より大切に想った。


    非常に泣ける内容でもなく
    非常に内容が濃いというわけでもないが
    時間があるときに、サラっとでも読んで見るのにはいいかもしれないです。

  • 映画のノベライズだからなのか内容が薄く感じた。
    冒頭の記述により、先の展開があらかじめわかってしまうのもマイナス。
    でも戦闘シーンの緊張感はあった。

  • 戦争の話はどうしても避けてしまう。だけど、避けてはいけない気がする。だからといって、無理に触れるものではないけれど。今のわたしたちの非日常が彼らの日常であり、だけどそこにも、譲れない想いがあった。誰かを想う心は、きっと誰かを強くしている。

全32件中 1 - 10件を表示

飯田健三郎の作品

真夏のオリオン[文庫] (小学館文庫)に関連するまとめ

真夏のオリオン[文庫] (小学館文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする