- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094083996
作品紹介・あらすじ
ジャズ界の重鎮にして抱腹絶倒、空前絶後のエッセイストとして絶大なる支持を誇る著者が十年ぶりに上梓した待望の作品。二〇〇一〜二〇〇八年にかけて書き綴られたヤマシタ版ジャズ年代記。
感想・レビュー・書評
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著者10年ぶりのエッセイだそうで、2001年から2008年まで約8年分の「日記」で構成されている。
濃密でスピーディで、オン歳67になられるわけだがそのドライブ感は衰えを知らず、読んでいるこっちが疲れるほどであった。
それでもシャバドビドゥビヤとか落語のマクラとか筒井康隆といった文体は、10年ぶりどころかこういうのを盛んに読んでいた学生時代の空気を思い出して懐かしさ満点。嬉しいなぁ。
いやしかし。
一昨日はトロンボーンやパーカッション、ビッグバンドとのセッション。
昨日は笛や太鼓と合わせ、今日はN響との共演。
そして明日はピヤノ6人で大連弾…。
ピヤノ/ジャズという万国共通言語を駆使して全国、いやさ世界を飛び回るって、いいなぁ…。
やっぱ大きくなったらピヤノ弾きになろう…! そうココロ躍った好著であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まったくなんとも精力的な活躍ぶり。オケと共演したり、またもやピアノを燃やしちゃったり、免許をとって長距離ドライブを敢行したり、国内でのライブはもとより、ニューヨーク、パリ、トリノと海外でも弾きまくり、当然ウケまくり、その合間に蕎麦を食べ、猫を愛で、勲章までもらっちゃって。
二十一世紀に突入した山下洋輔は、もうすっかり大御所。相変わらず繰り出されるダジャレは可笑しいけれど、かつてのとんがった感じは、当たり前ながら薄れているように思う。「ピアニストを笑え!」の頃の文章には、アウトローの気配が色濃く漂っていて、そこが大きな魅力だったのだと今頃気がついた。 -
天から二物も三物も与えられてるなんて、ズルいです!>山下さん!www
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エッセイの鬼才でも有る山下洋輔のジャズ誌に連載していた日記コラム。「ドバラダ門」出版くらいまでの本はほぼ所有しておりフォローしていたのだが、しばらく読んでいなかった。
山下エッセイの魅力は、同じジャズメンということも有るタモリの言語感覚と近く、エッセイの中でデタラメが入り始めると、どんどん脱線してしまうところにある。
しかし本書の中では、一部を除いて割とまじめに日記を書いている。特にセッションをした人の羅列なども多く、ひょっとしてこの中に冗談を紛れ込ませているのではないか?と何度か見てみるが、特に無かったりする。
また、割と細切れに書かれているため、かなり読み切るには時間はかかる。これは雑誌の1ページくらいを、スルメをかじるかのようにちびちび読むのが正しいのではないか。
そんな中でも、やっぱりデタラメ外人名であったり、新幹線やモノレールでの出来事、2度目の炎上ピアノ演奏について、セシル・マクビー問題など、色々と読ませるところはあるので、山下洋輔(エッセイ)ファンの人にはたまらないものがある。
個人的には、「思い」が許せないという話について、あーオレも俺もとなりながら読んでいた。
さらに、よくよく読んでみると、昨日2月26日が山下氏の誕生日ではないですか。偶然なんですが。とにかく、ファン向け。山下洋輔エッセイ初心者は、過去の作品から始めることをおすすめしたい。なお、ファンの人は言わずもがなであるが必読である。 -
山下ワールド健在
昔からの読者(リスナーではないところが(^_^;)には懐かしく、最近のファンにも珍しく。
毎日がJazzな日々。 -
芸術家って遊ばないとね、と考える。遊んでるのが仕事のように思えるし、でも遊ばずにちゃんと仕事してるようにも思える。そこらへんあやふやなまま渡り歩いてゆける仕事だから、この人の毎日は楽しいのかな、とも。
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ジャズ・ピアニストの山下洋輔さんは、演奏だけではなく、もの書きとしても卓抜した腕を持つかた。『ピアニストを笑え!』は読んだかな…すっかりごぶさたしていました。ライブ、旅、おいしいもの(特に蕎麦)などが、歯切れよいリズムにノッた口調で、ときには毒も吐きながら、日記形式で語られます。バンドマン(山下さんはご自身をそう呼ばれる)のキャリアが長いから、プロアマ問わず、ミュージシャンの交友範囲が海のごとく広い!ひとつまみしかわかんないわー(笑)。コードネタには、「コード進行、もうちょっとちゃんとやってれば…」となぜか悔しくなる〜。タモリさんなど、音楽以外の分野のご友人もたびたびご登場。特に、筒井康隆さんとはお友達歴も長いからか、筒井作品のかけらがあちこちに出てきます。『バブリング創世記』の登場には意表をつかれてびっくり!でもジャズつながりですもんねー。「全冷中」の話題は、あまりにも懐かしくて涙が出ちゃう(笑)。日々が移動と演奏のバンドマン稼業は、醒めて考えると、決して楽じゃないはず。でも、そこをすっとばして、スラップスティックにつづられた日常が楽しいのなんの。気と腕の合う仲間とセッションのあとに、美味しいお酒で酩酊とは、素晴らしきかな、人生〜。言葉のリズム感だけではなく、それ自体への感性も鋭敏で素晴らしくて、ジャズ者でもそうでなくても楽しめます。おまけに「ラプソディ・イン・ブルー」も聴きたくなる1冊でした。