- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094084030
作品紹介・あらすじ
<この小説に描かれている「あの時代の広島の青春」は、今でも日本一の若者文化だったと自負している。 何故って? それは僕「吉田拓郎」が作り上げ、世に送り出した時代背景が「そこ」にあったのだから。 多少、手前味噌でありましたかな?>――吉田拓郎
1960年代半ば、まだまだ戦争の香りが色濃く残る広島で、東京への憧れと反発を抱きながら、バンド活動に打ち込んでいた若者たち。やがて日本の音楽シーンに革命を起こしたひとりの男を中心に描かれる、熱く悩み多き日々。
感想・レビュー・書評
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この小説は、1965年から1968年までの広島での吉田拓郎を描いているものである。その間、拓郎はダウンタウンズというバンドの中心メンバーとして主に広島を拠点に活躍していた。拓郎の生まれは、1946年のことなので、おおよそ拓郎19歳から22歳頃の話である。
吉田拓郎のデビューアルバム「青春の詩」の発売は1970年11月。最初のヒット曲である「結婚しようよ」は1972年1月の発売なので、小説は拓郎がメジャーになる前の時期を扱っている。
吉田拓郎を初めて聞いたのは、中学校の時だった。
シングルでの「旅の宿」と同時期に発売されたアルバム「元気です。」が、初めて買った吉田拓郎のアルバムだった。「元気です。」は1972年7月の発売なので、今から50年前のことだ。以降、濃淡はあるが、吉田拓郎はずっと聞いていて、今でも自分のiPhoneには、拓郎のアルバムが何枚か入っている。
そういう意味では、吉田拓郎は、私が最もよく聞いた歌い手の1人だ。
デビュー後の吉田拓郎の生き方は、何となく知っているが、デビュー前にどのような活動をしていたのかは全く知らなかった。本書は、「"小説"吉田拓郎」という題名なので、本書に書かれていることのどの部分がフィクションなのか、どの部分が実際にあった話なのかは分からないが、それでも、実際にあったことをベースに書かれているものだと思う。自分が最もよく聞いている歌い手のデビュー前のストーリーなので、私にとってはとても面白い小説であった。
この後の吉田拓郎のことも知りたいが、小説としては、この本の続編は書かれていないようである。
しかし、筆者の田家秀樹は、吉田拓郎に関してのノンフィクションを何冊か書いているようなので、そちらを読んでみることにしたい。
吉田拓郎ファンにはお薦めの1冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
拓郎好きにはたまらないです。
拓郎にこんな時代があったこと知りませんでした。
まだまだ続きを書いてほしかったです。 -
まだ戦争の香りが濃く残っている広島で、大学に進学した吉田拓郎は仲間とともにバンド活動に打込みます。
しかしライブを開くのが精一杯でした。
拓郎はさまざまな音楽を模索し、コンテストでもやっと注目されるようになります。
スーパースターを生んだ時代と、広島という土地に繰り広げられる青春群像。 -
この本、文庫本のクセにずっしりと重い。本の重い軽いっていったいどこで決まるのかなぁ。やっぱ、使っている紙の質かなぁ。わら半紙の様な比重の小さそうな紙は、本が厚くても結構軽いんだ。この『いつも見ていた広島』文庫版はそれ程厚くはないのに重い。『いつも見ていた広島』という題名は、同じ題名の拓郎の唄がある。たぶんある。♪いつもォいつもぉ、遠くからぁ 遠くから みていたぁーひろしまぁー♪で本を書いた人はたけさん。 竹さんぢゃないよ。田家さん。この田家ってひとは、拓郎の古い友人でもあるらしく、こないだのオールナイトニッポンでは「田家はおれのことをなにもしらない! なのに本をたくさん・・・」と拓郎自身が騒いでおりました。そうして! この本の解説はなんと、あの重松清が書いている。重松ちゃんは、あれでなかなか音楽もいけてて、拓郎の唄なんかはかなりギター弾いて歌えるらしいんです。そういえばこないだ吉田拓郎と重松清のながぁーい対談が「スバル」に載ってたなあ。でもって、この本はフィクションという事で、まあどづぞよろしくお願いいたします。
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かの吉田拓郎の高校時代から、フォーク歌手としてデビューするまでを描いた小説。
ちょうど広島のフォーク村を立ち上げたところで話は終了する。
拓郎の幼馴染同士で結成したダウンタウンズ。
様々なコンテストを受けるが芳しくない結果・・数々の挫折と迷走。
スーパースターも報われなかったアマチュア時代の過去を持っているのだ・・。
しかし・・この物語は小説。でも多分、ほぼフィクションではないかと思われる。
奇しくも本日のニュースで、吉田拓郎が体調不良で公演を中止したと報じられていた。
拓郎も63歳か・・時代は巡りめぐっていくんだね・・ちょっとさみし。