二度目のノーサイド[文庫] (小学館文庫 と 4-1)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 141
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094084092

作品紹介・あらすじ

元実業団ラガーマンの桐生は仕事にも家庭にも中途半端な生活を送っている中年会社員。同点の末、くじ引きで負けた最終試合が忘れられない。そんな時、元マネージャーだった同僚の死を知る。「俺はこのままでいいのか」 スポーツキャスターになった者、田舎で教師になった者、問題のある金融会社に入り、警察に追われている者……。
予算削減による廃部以来、離散していたチームメイトたちと、もう1度あの日の試合に決着をつけるために、連絡を取り始めた桐生。果たして再試合を迎えることはできるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 5年前、納得できない引き分け後くじ引きで敗退し、
    解散となったラクビー部の試合。
    かつての仲間の死によって、再度試合をやり直したいと
    熱望し、仲間たちからも、妻からも、上司からも、冷たい反応を
    受けながらも、熱意で押し切って試合を開催する。

    男、おとこした小説です。
    ラクビーよりも復帰へ向かう姿が主。

  • 実業団ラグビーチーム武蔵野電産ラグビー部は不況の影響を受け、廃部になった。
    自分たちのラグビーができず同点でのくじ引き負けとなった最後の試合をから5年が経つが、当時選手だった桐生は35歳になった今も中途半端な気持ちが燻り続け、新しい一歩を踏み出せないでいた。
    そんな時、当時マネージャーを務めていた石川が亡くなった。
    当時のメンバーはそれぞれ別の道を歩んでいたが、葬儀のため5年ぶりに顔を合わせた。
    「あの試合、もう一度やってみないか」
    あの日と同じ場所、同じメンバーで決着をつける。
    桐生は、かつての仲間たちに声をかけ始めるが、それぞれの事情があり拒む者たちを説得できずにいた。
    果たして、再試合は叶うのか。
    もう一度、本当の自分と向き合い、プライドを取り戻すことができるのか。
    ラグビーという固い絆で結ばれた男たちのストーリー。

  • 「ラグビーは少年を最も早く大人にし、男に永遠の少年の魂を抱かせる」冒頭記載そのままのラグビーに取り憑かれた中年男のロマン小説になっており、かなりベタでアツイ展開ではあるんだが、それでも全編を貫く中年男の後悔・挫折・迷い・諦め・怒り等々が混ざり合った心境には共感できる部分もあるし、チームを去ったメンバー各々のその後の人生模様も色々で読み応えはある。また、サッカーを敵視しているところなんかはラグビーファンの支持を得やすいだろう。ただし、登場人物が35歳前後のワリには皆オッサン化してるなあという気もするが。
    難点は、著者が経験者ではないのか、所々おかしな記述(後ろからタックルが怖い)があったり、ラグビー知らない人向けの説明が冗長でクドイ事。また、出てくる女性陣も皆理想化されすぎで、女性が読んだらこの辺は男性作家の妄想と言われそうな感じもするし、そもそもこんなストーリー自体受け付けないかもしれない。
    刑事の「何もかも信じられない世の中だからこそ、ラグビーぐらいは信じたい」というクサイ台詞は気に入った。(こういうテイストが受け入れられない人にはこの作品は読んでも仕方ないかも・・・)

  • ラグビーを題材とした堂場瞬一のスポーツ小説。
    会社のリストラで廃部となったラグビー部のメンバーが様々な事情を抱えながら、引き分け・抽選負けに終わった5年前の最後の試合の相手との再戦を目指すストーリー。

    企業スポーツ部の廃部が続く昨今に通じる内容だが、試合を実現させるまでに重きを置いているため、後半は尻切れ感が残った。作品名の二度目のノーサイドを彼らがどう迎えたのかを描ききって欲しかったとおもう。

  • 自分達の会社が経費削減においてラグビー部を廃部することになり
    その最後の試合となった一戦で引き分け、そして抽選で負けた。

    5年後一人の仲間の死に集まった彼らはもう1度あの試合を戦いたいと
    再戦に向けて動き出す。

    主人公の桐生を中心に様々な考えや環境のことなる仲間たちが
    集まるが、事情ににより試合に出たくないと考える仲間もいる。
    渋る仲間を桐生が説得していく。

  • 堂場瞬一お得意の、スポーツ小説。今回は、ラグビーは舞台です。

    『いつか白球は海へ(http://booklog.jp/item/1/4087464369)』では、
    物語の時代が1970年代で、文体もなんか固く、あまりこなれていない
    雰囲気を感じていましたが、この作品は、その後のスポーツ小説に
    続くような文体、ストーリー構成になっています。

    基本、彼のスポーツ小説は、主人公に対立する人がいる構成ですが、
    この作品もその例にもれません。
    少し、ひねりが足りない感じがしますが、基本的に、安心して、
    楽しく(?)読むことが出来ました。

    解説が、元ユニクロ社長、現ローソン副社長の玉塚元一氏。
    その解説は解説で、意外に興味深いです。

  • 廃止になったラグビー実業団チームの元メンバーが、かつての最終試合を再現するため再びチームメイトを集める。

    ラグビーという競技を良く知っていれば、もっと楽しめたのだろうなーと思う1冊、でした。

  • この作者がスポーツ小説を書くとは知らずにいて、偶然知った「チーム」を皮切りにいくつか読んでいる中の一冊。社会人ラグビー引退後もラグビーにかける主人公の情熱があつい。いやあ中年版の青春小説といったとことろでしょうか。

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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