- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094085457
作品紹介・あらすじ
貴子は交際して一年の英明から、突然、他の女性と結婚すると告げられ、失意のどん底に陥る。職場恋愛であったために、会社も辞めることに。恋人と仕事を一遍に失った貴子のところに、本の街・神保町で、古書店を経営する叔父のサトルから電話が入る。飄々とした叔父を苦手としていた貴子だったが、「店に住み込んで、仕事を手伝って欲しい」という申し出に、自然、足は神保町に向いていた。古書店街を舞台に、一人の女性の成長をユーモラスかつペーソス溢れる筆致で描く。「第三回ちよだ文学賞」大賞受賞作品。書き下ろし続編小説「桃子さんの帰還」も収録。
感想・レビュー・書評
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2年前に原田ひ香さんの『古本食堂』を読みましたが、本作も舞台が神保町の古本屋です。
本作は、(千代田区主催)「ちよだ文学賞」大賞受賞の表題作と書き下ろし「桃子さんの帰還」(表題作の一年半後の続編)が収められた、八木沢里志さんのデビュー作(2010発刊)です。
恋と仕事を一度に失い、失意のどん底だった主人公・貴子は、叔父のサトルと「神保町」に救われます。古書店街を舞台にした貴子の再生の物語です。
まぁ、内容や展開はほぼ想定内で、色々とツッコミどころ(喫茶店<すぼうる>って、ぷぷぷ)はありますが、神保町という古書店街の空気感があるのでOKです(もっと街並みの情感あってもいい?)。
*以下は本作と関係なし、地方の田舎暮らしです。
昨年、久々に神保町を訪ねました。神田古書店連盟全店掲載の「JIMBOCHO古書店MAP2023」(表紙・冬目景さん)を広げながら散策‥。古書のジャンル別に色分けされ、他に喫茶・飲食店等も表示されています。さぼうる、ラドリオ、ボンディなど、変わってないのがうれしかったです。
また、八木沢さんの『純喫茶トルンカ』の舞台は谷中でした。こちらも昨年谷根千を訪ね、「不忍ブックストリートMAP2023」(表紙・HATOさん)と「根津権現かいわい浪漫ちっくマップ」片手に散策しました。賑やかな"谷中ぎんざ"から少し離れると、とてもいい雰囲気の佇まいが続き、癒されました。
神保町界隈は古書店が集中、谷中・根津・千駄木界隈は点在、というところでしょうか。それぞれ味があります。無料配布で現地でないと手に入らないMAPはいいですね。車載ナビとは全く違うウロウロが、新たな発見を生みます。ゆっくり時間をかける読書・本選びも似たようなものかも、と思ってしまいます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主人公の貴子は失恋して仕事も辞めて引きこもってドン底の日々だったが、叔父の古書店を手伝うようになる。今まで本になど全く興味はなかったが眠れぬ日に何気なく手に取った本を読むことで読書にはまってゆく。なにせ古書店なもので、本は売るほどありますから。
「面白そうだと思ったものは全部手にとって貪欲に読んだ。それでも読みたいものは次から次へと見つかる。」
なんだか、ブクログの『読みたい』が次々に増えてしまう私のようでププッと笑ってしまいました。
若き日には本屋で文庫本の裏のあらすじを読んでは買い漁り、積読本がたくさんあったよな〜とか(笑)
叔父さんや、ご近所さんとの会話がとてもいい!貴子本人は自分は鈍いからこんな目に合うんだと思っているけれど、意地悪なところがなくて本当にいい子だと思う。
後半には叔父さんの逃げた奥さんの話が収録されています。グッとくるお話です。みんな笑顔の裏に悲しみを抱えているんだなぁ、大人ってそういうものだよなぁ、と。
爽やかな読後感でした。 -
失意のどん底の貴子は、叔父サトルの古書店を手伝ううち、少しずつ気力を取り戻してゆく。失敗したら一つ勉強したと思えばいい、ということですよね。貴子の一歩。
貴子とサトルさんはどこか似てます。この世界のどこかに自分の居場所があるなんて到底思えなかった。
文章がとても心地良かったです。じんわりきました。
後半の桃子さんとのエピソードでは、人生の深みみたいなものを感じました。
古書店で傷を癒すっていいですね。ゆったり時間が流れていそうな神保町へ行ってみたい。 -
珈琲でも飲みながらゆったりしながら読みたい本でした。
読んだらきっと神保町に行ってみたくなる本。
神保町の古本市にも行ってみたい。
そんなに長くはない小説なのに読み終えるとずっしりと読後感がある。
映画も観てみよう。
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1人では立ち上がれない時ってある。
どうにもこうにも上手くいかない時にどうすればいいかを知りたくて、私は本を読むのかも。
と、この本を読んで思った。
本から何かを得られたときって“自分で答えを見つけた感”を味わえるんですよね。周りの力を借りず、さも自分の力で立ち上がったかのような。(いやいや、答えを用意してくれたのは作家なんだけれども…。)
でも、周りの言葉が届かないくらいどん底に陥った時って、そういう感覚が大切だったりする。
だから本ってすごい。
神保町も古書店も喫茶店も魅力的に描かれているけれど、何より本の力に気付かせてくれる作品。
六千冊に包まれる感覚ってどんなだろう。
どんな問題もどんな悩みもどーんと受け止めてくれるような懐の大きさと絶対的な安心感に、私も浸ってみたい!そんなことを思いながら「続・森崎書店の日々」を読んでいます。
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yumiさん、はじめまして。
いいねとフォローありがとうございます♪
yumiさんと同じブク友さんが何人もいるのに、なぜ今まで巡り合わなかっ...yumiさん、はじめまして。
いいねとフォローありがとうございます♪
yumiさんと同じブク友さんが何人もいるのに、なぜ今まで巡り合わなかったのだろう?そしてなぜ私を見つけてくれたのだろう?と思いましたが、
この本から見つけてくれたのですね!
本が結んでくれる御縁ってステキだなぁと思いました。
これこらもどうぞよろしくお願いします♪
2022/07/19
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森崎書店……いいなぁ、こんな本屋さんが近くにあれば通いつめちゃうなぁ。
最近、本屋さんが減ってきているのを肌で感じているので余計に。
主人公の貴子は失恋のショックを抱えたまま、叔父の古書店に身を寄せます。
この叔父さん、貴子のことを本気で心配したり、失恋話を自分の事のように怒ってくれたりするんですよね。
その様子にグッときちゃって。
絶対的な味方がいるってこんなにも幸せなことなのかと、読んでいて心がじわっと暖かくなりました。
叔父さんの妻、桃子さんの話も考えさせられたな……桃子さんの行動が正しいかは別として。 -
神保町の古書店が舞台の小説。
主人公の貴子は、苦手だったサトル叔父さんの営む古書店で生きる気力を取り戻していく。
貴子を騙した(なのに本人に罪悪感は一切ないらしい)男とか、嫌な人が出てこないわけではないのだけど、この小説はとにかく優しい。
何よりもサトル叔父さんの優しさがとても素敵で、こんな人になりたいなぁと真剣に思う。
貴子も、サトル叔父さんの奥さんの桃子さんも、森崎書店の常連さんや喫茶店のマスターも、みんなとっても素敵。とてもチャーミング。
私もこんな場所で暮らしたい…などと思ってしまう程だ。
そして神保町という街の魅力もある。
外から見たら小さいお店でも、店内にはもうどこにも置き場所がありませんというくらい本が積んであったりする。
音楽雑誌のバックナンバーがズラッと並ぶ書棚や、少しでも触れたら崩れるのではないかと思う児童書の山や、それを真剣な目で丁寧に見つめるお客さんを見ているとただただ感動してしまう。
なんてすごいところだろうと思う。
この書棚に並ぶことが出来る本はきっと幸せだろうと想像する。
もちろん、最初に自分を見初めてくれた人に何度も読まれて、ずっと傍らにいられることの方が幸せかもしれない。
でもいつかはどうしても訪れるその人との別れの後は、ごみ置き場ではなく、次の相手と巡り合えるかもしれない場所にいたいのではないだろうか。
これは勝手な擬人化だけど、私が本だったらきっとそうだろうなと思う。
そして、私が本を手放す時も、まだまだ何度も読まれてほしいと願っている。
本は面白い。
そのページに書かれている物語や、知識や、芸術作品や、誰かの笑顔や涙に私の心は動かされる。
でも、文字が印刷されている紙、それ自体も私には愛しい。
汚れも傷もない新しい本よりも、日に焼けてお気に入りのページが少し外れかかった本の方が素敵に思えることもあるように。
何度も読まれて、大切に抱きかかえられることが本の幸せでもあるとしたら、神保町はまさしく本が幸せになれる街ではないかと思う。
だからその空間にいるだけで私も幸せな気持ちになれるのかもしれない。 -
内藤剛志さんが大好きで、ただそれだけで手に取りました。登場人物の心の動きがちょっと極端に感じて、多分、行間にこめられた著者の思いを感じ取る力が、私に無いんだな… いゃ、感性の違いかも? ただ、森崎書店がとても温かな場所であることは間違いないです。
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東京には少なくなってきた下町の、ハートフルな日常。暮し。
古本屋は本当になくなりそうなのかもしれないです。
出だしからなかなか驚きの展開が待っています。
やけくそになるか、やる気をなくすか。
悩むところ。そんなところに半ば強引に割り込んでくるひとたち。
面白い人たちばかりのようにも思えるけれど、言わないだけでみんな抱えているものはあるんですね。
悩む、ということは一所懸命に生きていることの証なのかもしれない。
若くても、年を重ねてもね。
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セールで少しだけで安くなっていたので、表紙に惹かれて購入。
か~わい~な~