キリハラキリコ (小学館文庫 こ 19-1)

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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094085723

作品紹介・あらすじ

キリハラキリコの住むキリキリ町では、おかしなことばかり起こる。生徒が誰も来ない始業式の教室。贋作マンガを売る古書店。蕎麦がにゅるにゅる飛び出すシャワー。季節ごとに必ず起こる停電。毎月一日になると、時の流れを教えにやってくる暦屋他…。周囲で起こる奇妙で愉快でちよっぴり哀しい出来事を、キリコは一年間の日記形式で綴る。やがてキりキリ町には数ヶ月にも及ぶ大停電が訪れ、キリコの日記にも最終ページが記されることに-。従来の小説形式を打ち破る不条理で不思議で自由な物語空間が、読む者を未体験のワンダーランドへと誘い込む。

感想・レビュー・書評

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  • コレはギャグなのか
    白昼夢なのか
    シュールで人を喰ったような文章で綴られる
    摩訶不思議な世界。


    始業式なのに
    誰一人来ない教室。

    季節ごとに起こる
    季節停電。

    自分の存在意義に悩む
    ロボットのロボ太郎。

    贋作漫画を売る
    古本屋キリキリ。

    暦を売ったり
    月初めにめくり忘れたカレンダーをめくりに来る
    暦屋のおじさん。

    ヅラ判定人のミスター水村。

    大人たちの患者で賑わう小児科。

    シャワーから出る蕎麦と
    蛇口から流れ出すめんつゆ(笑)

    女子と認定された者だけが
    毎月1日にラーメン一杯100円で食べられる
    ラーメン喜狸喜狸。

    紙を焼くとそのページの料理が出てくる
    たべもの図鑑。

    プレゼントを渡せなくなった
    サンタクロース。

    成長が止まらない奇病に苦しむ
    暦屋のおじさんの娘。


    なんなんだこの不条理な世界はと
    苦笑しながらも、
    日記形式で綴られていく
    中学二年生の
    キリハラキリコの日常に
    どんどんハマっていく自分がコワい!(>_<)

    ただシュールでヘンテコなだけでなく
    思春期特有の強烈な性と死の匂いと
    読み進めるうちに
    キレ味鋭いブラックユーモアの秀逸さや
    風刺が効いた童話的世界観の上手さに
    この作者、ただ者ではないと思い知らされます。
    (なんと今作がデビュー作とのこと)


    そして終盤に連れて明かされていく
    奇病に冒された暦屋の娘のエピソードは
    切なさが零れ落ち、
    ラストは強烈な余韻を残すのです。


    ぷぷぷと笑わせ油断させながら
    気がつくと何故だか涙が滲んでる。

    まるで騙し討ちを食らったかのような小説だけど
    自分はかなりツボにハマりました。


    う〜む、恐るべし
    紺野キリフキ。

    他の作品も読んでみたいなぁ〜♪


    「不思議の国のアリス」や
    音楽で言えば
    GO!GO!7188や小島麻由美、相対性理論、
    映画だと三木聡作品や
    「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ、ティム・バートンにクローネンバーグにリンチ作品なんかが好きなら
    もしかしたらハマるかも(笑)

  • 月刊自殺とか、大変態ゴロウとか、なんかもう、最高です。畑中生きてて。

  • あたしはこの世界観、好きだ。
    比較文化学類の先輩の作品で、12月に講演会があるから読んでね、と言われたのでテスト期間中だが買った。
    記事書いてないけど、レポート消化しきれてないけど、読んでしまった。

    なんでもないような、ちょっと不思議なショートショートのなかに、ちょっと残酷な話があったり、哀しい話があったり、くすっと笑える部分があったり。
    個人的には、暦屋とその娘のユーモラスな感じがとても好きだった。2学期まで。

    3学期、大停電のさなか、いやーな予感がちょっとずつ、ちょっとずつ形を帯びてきて、ぞわわってなった。
    最後は、衝撃。
    ちょっとぼーっとなって、涙がつーって伝って、もう一回大事なところを読んで、つながっているところに気付いて、それからもっかい最後の一文を読んで。
    「あの子の山高帽をほめてもらえて、とてもうれしかった」
    その一文をもういちど咀嚼して、たぶんいろいろあって疲れていたんだと思うんだけど、ぶわーって涙がでて、声をあげて泣いてしまった。なんでかは分からない。

    最初はつかみどころのない作品だと思ったけれど、最後はこの本読んで良かったな、って思った。
    他の人の読書ブログとか読んで気付いたのだが、
    「気に入った本を気が向いたときに読む」という古本屋の言葉に、暦屋の娘はどれだけ傷ついたんだろうと思うと、胸が苦しくなった。

  • 不思議な話。不思議過ぎて何も考えず、1時間くらいですらすら読めた。結構、こういう不思議な話好きかも…

  • なんか、すきだ。キリハラキリコ。
    軽いのに、重い。
    明るいのに暗い。
    不思議な感覚。

    クレヨンで色とりどりに塗った紙を、黒いクレヨンで塗りつぶして、引っかいて描いた絵、みたいな日記。

    • ハムテルさん
      「漁港の肉子ちゃん」がそんな感じでしたね~。好きだなぁ~。
      「漁港の肉子ちゃん」がそんな感じでしたね~。好きだなぁ~。
      2012/01/23
  • キリハラキリコという女の子の日記形式でつづられた物語。連作ショートショートのように、魅力的な登場人物と不思議なエピソードが繰り広げられていく。こんな町に住みたいような住みたくないような、面白くて奇妙な日々。最後の2か月分ぐらいは、目が離せなく一気に読んでしまいました。ものすごく笑えたのに、読後感はものすごく切ない。

  • 昨日、久しぶりに読んだ。
    この本、この本にしかない世界観で大好き。もっともっとひたってたくなる。
    ミスター水村が一番好き。

  • 独特の世界観‼︎好きですね^_^
    シュールで思わす、クスリッ(^。^)
    タイトル「学校長」校長先生は本当はどんな仕事しているの?の謎がわかります。背広にネクタイが鉛みたいに重くて(ドラゴンボールの悟空かっ笑)
    校長先生とキリハラキリコの対決の決着は^_^

  • 私は、紺野キリフキ氏の本が大好きである。

    読んでいる間はとてもおもしろいのに、
    読後に振り返ってみると、具体的に何がおもしろかったのかさっぱりわからないのである。
    「おもしろかった」という感情と「湿度低め、ほんのり温かみ」みたいな手触りだけが残る。

    キリハラキリコを読んでいて、「あー、紺野キリフキさんは、霧吹きなんだわ」と、唐突に思ったのだった。
    霧吹きで、文章がシュッシュされていくように、霧状になった文章に触っている間はとにかく不思議で楽しくて、でも何にも掴んでいない。
    「なんか気持ちよかった」、それだけが残る、ステキな文章。

    私は、紺野キリフキ氏の本が大好きである。

  • ちょっとシュール過ぎたかな〜
    登場人物の思い入れに欠ける

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