- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094087048
感想・レビュー・書評
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震災から1年経った今、是非読んでもらいたい作品。
文章の中には、戦後社会の歴史と現状に対する深い洞察に溢れている。
それを全肯定、というわけではないんだけど、全体としては鋭い洞察であると思うし、読者としても心に留めるべきだと思う。
「『未来』の対になる言葉は、おそらく『将来』」。本文中のこういった言葉が、非常に印象に残った。
最後に示されるものの具体的な内容は陳腐といえば陳腐だろうけど、現在の社会を深く分析し、「未来」を示すことの重要性も提示しているこの作品は、なるべく多くの人に読んで欲しいし、特に僕達若い世代には強く勧めたい。
福井さん、文章が少し柔らかくなった? -
福井晴敏 著「小説・震災後」を読みました。
東日本大震災後、東京に住む平凡なサラリーマンの家庭が舞台。原発事故を経て、希望を失い心の闇にとらわれてしまう息子。その息子に希望を取り戻すためにあがいていく家族。そして、祖父・父・息子の三世代が紡ぐ「未来の物語」が語られていく。
フィクションでありつつも、そこに描かれている世界はまさに現実の世界、現実の家族であり、自分の家族や子供たちのことを考えずには読めませんでした。
あの震災後、どの家庭でも今の生活のあり方やこれからのことをそれまで以上に考えずにはいられなかったと思います。
そこに、未来や希望を見つけることは大変なことでした。
しかし、作者が描くように、これからの世代の子供たちに前に進むべき未来を見せていくことが、今社会を支えている私たちには必要なのだと強く感じました。
この小説で知った明るい未来を感じさせる新技術が現実のものとなることを一人の大人として期待したいです。
自分の子供たちにもこれからの未来が思い描けるように自分自身の生き方を見つめていこうと思います。
作者福井晴敏の熱い思いが描かれた小説でした。 -
不勉強なものでこの小説に書かれていることがどこまでが現実なのかはわからない。
しかし、ページを進ませるエネルギーは半端なかった。
野田の最後の演説は福井さんの作品だなーと思わさせられるが読み切らせるだけの力があったように思う。
あと、いつものことながら福井さんの作品は親父がかっこいい。
そして女が強い。
震災から少し時間がたち少しずつ忘れかけていた3.11あたりの記憶がよみがえった。
また、時間がたったら読みたいとおもえる小説であった。
次は自分の子が生まれたときにでも。 -
あっという間の文庫化に、衝動買い。
私的にガンダムucで、イマイチな評価になった福井晴敏評が復活!というぐらいに良かった。
震災後の2011年を舞台に、日本人が持っている地震以降の不安の原因が、この著作に表現されている。
あの日の日本政府のバタバタ感を冷静にインテリジェンスとして分析し表現されている。フィクションとは言えないぐらいに限りなくノンフィクションに近い。
見どころは、
・家族でボランティアで気仙沼に行くシーン
・最後の主人公の演説シーン -
先の震災を題材にある家族を通して、人が生きることの意味を描いた小説。細かい部分では青臭く聞こえてしまう部分もあるけれど、描いているテーマはローレライと同じ。それは私自身、若かりし日に仕事の方向を決める時に考えたことと通じるものがあり、すんなりと受け入れられる。
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久しぶりの福井晴敏。読み始めたときは、福井は原発廃棄路線でこの物語を綴るのか?という思いで読んでいた。物語は中盤から、震災後の日本を語る話から、一家族の話にスケールダウンして行く。その一方で、父が子に、親に語りかける言葉から、むしろ日本や近代社会への思いが強く伝わってくる。原発への思いは人其々だけれど、原発反対の人も、容認の人も、是非読んで欲しい作品だった。新幹線の中でちょっと泣いた。
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父から子へ、未来を示す。
俺にもできるのかな・・・
もう一回読もうか。 -
「亡国のイージス」以来の傑作。現在の日本人全員に読んでもらいたい本、特に政治家!
恐らくこの作品は、万人受けすることを前提に作られているため、
福井さんとしては平易な文章なのでは、と私は思いま...
恐らくこの作品は、万人受けすることを前提に作られているため、
福井さんとしては平易な文章なのでは、と私は思いました。
もちろん「op.ローズダスト」などは非常に練られた文章になっていて、
以前よりだいぶ読みやすくなったと感じましたけどね。
コメントありがとうございます。遅くなってしまってすみません。
素敵な感想をいただけて大変嬉しいです。あの文章、確かにそんな理由も...
コメントありがとうございます。遅くなってしまってすみません。
素敵な感想をいただけて大変嬉しいです。あの文章、確かにそんな理由もありそうですね。