書くことについて (小学館文庫)

制作 : Stephen King  田村 義進 
  • 小学館
4.18
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本棚登録 : 901
レビュー : 71
  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094087642

作品紹介・あらすじ

作家自身が「秘密」を語る。待望の新訳刊行

「われわれ三文文士の多くもまた、及ばずながら言葉に意を注ぎ、物語を紙の上に紡ぎだす技と術に心を砕いている。本書のなかで、私はいかにして『書くことについて』の技と術に通じるようになったか、いま何を知っているのか、どうやって知ったのかを、できるだけ簡潔に語ろうと思っている。テーマは私の本業であり、言葉である」(本文より)
ベストセラーを次から次へと生み出す、アメリカを代表する作家が、自らの「書くことについて」を解き明かしした自伝的文章読本。作家になるまでの苦闘物語から始まり、ドラッグとアルコール漬けの作家生活を語る半自叙伝の回想。書くために必要となる基本的なスキルの開陳。いいものを書くための著者独自の魔法の技。そして「書くことと」と「生きること」を重ね合わせる作者自身の人生観まで。ひとりの作家の「秘密」がそこかしこに語られるドキュメンタリー。
2001年に「小説作法」として翻訳されたスティーヴン・キングの名著を、新たに平明で簡潔な文章で訳した新訳版。新たに巻末には著者が2001年から2009年にかけて読んだ本の中からベスト80冊を選んだリストを掲載。




【編集担当からのおすすめ情報】
本書のカバー写真は、作家カート・ヴォネガット夫人でもあるカメラマン、ジル・クレメンツさん撮影によるもので、ひじょうに貴重な著者の執筆風景。

感想・レビュー・書評

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  • スティーヴン・キングの作品を一つも読んだことがない自分が最初に手に取ったのがこの一冊。スタンドバイミーの映画とかは観たことあるから……。
    村上春樹のエッセイを読んだときにも思ったけど、このレベルの著名人になるともう「書くこと=人生」だから、作中で生い立ちを語ることはごく自然なことなんでしょうね。でもって、作者がすぐ側にいて語りかけてくれているように感じるから、なんだか親しみが湧いてしまうところも似てる。この人は物言いがハッキリしてるからちょっと怖いって印象だったけど…笑
    小説家として生きていきたいのなら、とにかくたくさん読んでたくさん書くこと。それに尽きる。シンプルでいてクソほど難しい。けど、やり甲斐ありますからね。きっと。とにもかくにも歯応えがあって、全てを噛み砕ききれなかったんでいつか必ずまた読み返します。

  • 書くことについて作家が語るのは面白い。スティーブンキング氏は巧みなユーモアを交えて子供の頃の思い出から文章作法について、また執筆中の事故についても飽きさせない。特に気に入ったのは、文章作法中の「受動態にうんざり」のくだり。確か学校で習ったときは、「物」を主体とした受動態の表現が英語の決定的な特徴だ、と習った気がしており、多用することが英米では当たり前と思っていた。完全に騙されていた(?)やはり不自然な物言いだったのだろうし、多用されるべきではなかったわけだ。
    邪魔な表現をそぎ落とすとか、ストーリーからテーマが生まれるとか、たくさん名言がある。物書きになりたい人にとっては、使う言語が違うとは言え参考になり過ぎるくらいなるだろう。

  • 受動態や副詞は安易に使い過ぎない、といった創作上のノウハウももちろん勉強になり、大いに反省させられもしたのだけれども、意外にも、随筆として、キングの愛すべき人柄があふれ出ていたのがよかった。比喩や皮肉にあざとさとかすかしたところが一切なくて、血の通った生身の人間の温かさがたしかに伝わってくる。それでいて、めちゃ巧みに真実を言い表している。ユーモアってこうでなくちゃ。こういう文章は大好きだ。読んでいてうれしくなった。後半はいわゆる創作論で、前半に自身の半生が語られているのだけれど、どうして薬やアルコールに溺れたのか、またどうやってそこから脱したのか、もう少し詳しく知りたいと思った。キングの小説のちょっとした細かい描写の背筋が寒くなるようなリアルな怖さっていうのは、彼が痛みのわかる優しい人だからこそなのかもな、と思ったり。私自身は、実はキングのよい読者とは言えなくて、世間の評価ほど彼の小説のよさを理解できていないのだけれども(とくに長篇は集中力が途切れ、どうしても途中で飽きてしまう)懲りずにまた挑戦したくなった。(11/22/63で、後半襲われて記憶喪失みたくなるのは、さすがにやりすぎだと今も思ってはいるけれど)

  • 書くことについて近道はないってことを巨匠に言われると、「やっぱりねえ」って納得できます。また、物語は作者が無理やり作るものではないそう。これも、キャラが勝手に動き出すなんて表現する方もいるけど、まさにその手助けをするのが作家なのでしょう。

  • ・書くことはテレパシー。私が書いたものをあなたが読む。私は何も言っていない。あなたも聞いていない。われわれは同じ部屋にいるわけではないし、同じ時間を共有しているわけでもない。にもかかわらず、我々は一緒にいる。私が心の中で見聞きしたものを遠隔地にいるあなたも見聞きしている。わけ隔てなく心が共鳴し合っている。
    ・副詞は使わない。簡潔に動詞で表現する。
    ・受動態は使わない。能動態で書く。
    ・才能は練習の概念を変える。どんなことでも自分に才能があるとわかると、ひとは指から血が出たり、目が飛びだしそうになるまで、それに没頭する。
    ・私にとって仕事をしないことが仕事なのだ。書いているのは遊び場にいるようなものだ。
    ・友人や親類縁者やサークル仲間に関心してもらえると思うものに手を出さない。
    ・金になりそうなジャンルにすり寄るのもよろしくない。
    ・ひとに本を買いたいという気持ちを起こさせるものは文学的価値ではない。飛行機の中で気楽に読めるかどうか、読みだしたら止まらなくなるかどうか。それを可能にするのは、作中人物の行動や言葉や周囲の状況に対する共感だろう。そこに自分自身の信条や人生に重なるものがあれば、読者は共感できる。このようなつながりは計算ずくでできるものではない。
    ・筋立てより状況設定に依存する。主人公を助けるのでもなくただ成り行きを見守り、それを書き留めるだけ。
    ・登場人物の身体的特徴や服装をことこまかに説明するのは好ましくない。細々と書いたら読者の入り込む余地がなくなる。描写は作者のイマジネーションから始まり、読者のイマジネーションで終わるべきものである。少し特徴を伝えれば、後は想像が広がる。
    ・人物の身体的特徴より背景や雰囲気を伝えることの方が重要。顔かたちの描写がキャラを立たせるための近道とは思えない。
    ・優れた描写は、すべてを一言で語るような、選び抜かれた少数のディティールから成り立っている。それは頭に真っ先に浮かんだものであることが多い。過剰は不足と同じ。
    ・見たもの聞いたものを正確に書き写す。
    ・ストーリーの邪魔にならないものなら何でも利用すればいい。
    ・小説は死んだと言われるからといって、実験的文章を書く必要はない。伝統に従っても前衛に走ってもいい。作者はある時点で自分が何を書いたか、その出来はどうかを自分で判断しなければならない。短編でも長編でもそれが読者に受け入れられるという確信がないかぎり、書斎や仕事場から持ちだすべきではない。
    ・一度書いたら六週間あけて読む。プロットやキャラクターの穴が見えるようになる。
    ・ほどよいテンポを見つけ出すにはどうすればいいか。理想の読者の力を借りる。理想の読者がある特定のシーンにどう感じるかと考えてみればいい。
    ・不採用の通知の嵐の後、「もっと削った方がいい」というアドバイスに従ったら、採用されるようになった。
    ・リサーチはあくまで裏方。リサーチ対象にあなたが興味を持ったとしても、読者が心をときめかすのはストーリーや登場人物の方。
    ・最も貴重なレッスンは自分で自分に教えること。
    ・作品を自分で判断しなければならない。
    ・創作教室では文章読本以上のことは学べない。仲間と楽しいひと時を過ごしたいならおすすめ。効果的なレッスンはよく読み、よく書くこと。最も貴重なレッスンは自分で自分に教えること。


    ・金のために書いているかと聞かれれば、答えはノーだ。小説で金を稼いでいるが、金のために書いていると思ったことは一度もない。私がものを書くのは、自分自身が充たされるためである。書くことで家のローンを払えたし、子供達を学校にやることもできたが、それは結果でしかない。私が書くのは悦びのためだ。純粋に楽しいからだ。楽しみですることは、永遠に続けることができる。
    ・私にとって書くという行為はときに信仰であり、絶望に対する抵抗である。
    ・書くことは人生ではない。だが、人生につながっていることは多い。
    ・ものを書くのは、金を稼ぐためでも、有名になるためでも、もてるだめでも、セックスの相手を見つけるためでも、友人をつくるためでもない。一言でいうなら、読む者の人生を豊かにし、同時に書く者の人生も豊かにするためだ。立ち上がり、力をつけ、乗り越えるためだ。幸せになるためだ。おわかりいただけるだろうか。幸せになるためなのだ。
    ・あなたは書けるし、書くべきである。最初の一歩を踏みだす勇気があれば、書いていける。書くということは魔法であり、すべての創造的な芸術と同様、命の水である。その水に値札はついていない。飲み放題だ。腹いっぱい飲めばいい。

  • 先日読了した『読んだら忘れない読書術』で紹介されていたため、興味を持ち読んでみました。

    スティーヴン・キングの半生が、様々なエピソードを通して、面白おかしく書かれていました。また、主題の『書くことについて』も実際の文章などを例にあげ、分かりやすく解説されていました。

    中でも1番感銘を受けたのは、『作家になりたいのなら、絶対にしなければならないことがふたつある。たくさん読み、たくさん書くことだ。』というところ。キングでさえ、行き着くところはそこなのかと驚きました。

    作家になりたいわけではありませんが、たくさん読み、たくさん書いて、これからの人生を豊かなものにしたいと思います。

  • 「キャリー」「ミザリー」「グリーン・マイル」などの
    名作で有名なモダン・ホラー作家スティーヴン・キングの著書。

    前半は、彼が生まれてからの自叙伝。
    後半は「書くことについて」の、キング氏のルールが書かれていました。

    「あなたが何かを書けば(画家でも、舞踏家でも、彫刻家でも、歌手でも同じだが)
    かならず誰かにこきおろされる。それだけのことだ。」

    「原稿を書き、完成させたら、あとはそれを読んだり批判したりする者のものになる。
    運がよければ、批判するより読みたいと思う者の方が多くなる。」

    「下手な文章の根っこには、たいてい不安がある。」

    「いいものを書くためには、不安と気どりを捨てなければならない。」

    英語が前提ですが、受動態と能動態、パラグラフ、副詞の使い方など
    文章を書く上で参考になることが多く、とても面白かったです。

    著者自身の、交通事故の描写には驚きました。
    生死をさまよう重症だったにも関わらず、
    それでも小説を書こうとするキング氏の様子に
    「書くこと」への深い愛情が感じられました。

    キング氏の妻である、タビー氏の献身ぶりも凄い!

    一番印象に残ったのは、最後に書かれていた
    「書くことは、読む人も書き手も幸せにすること」という言葉。
    小説は書きませんが、創作活動している中で
    覚えておきたいなあと思った言葉です。

  • S・キングが自身の書くことについて半生などを交えつつ語った本。

    作家は自分の仕事について、通常多くを語らないところ、この本はとても親切だ。

    なぜだかよくわからないが、私も何かしら書けるような気持ちになってきた。

  • 本当いいですよね、この本。
    新訳ですが、文庫はありがたい。
    創作に関していえば、作曲にも通じる所たくさんあって、好きなんです。
    創作に関してキングと考えが似ているからそう思うのかな?

    でもとにかく事故にあっても命があって良かった!

    文字抜けなど何個かありましたが、版が進めば直るでしょう。

  • 売れっ子のベストセラー作家である著者による、小説作法と随筆を合わせたような本。『小説作法』として出版された本を読んだことがあるはずなのだが内容を覚えておらず、初めて読む本として楽しむことができた。
    内容は:著者の半生の回想録、書くための基本的なスキル、応用的(?)なスキル、そして著者が事故に遭ったときの出来事から成る。
    「徹底的に無駄を省け」と述べつつ、本書はそれなりのボリュームがあるけれど、軽快な語り口で読みやすい。
    文章の書き方については、自分の方法で正しかったと再確認できた部分と、新たに学んだ部分があった。学んだ主な点は:プロットはなくてもよいこと(というか、著者はプロットを不要だと述べている)、副詞は削除すべきこと、三流が二流になったり一流が超一流になったりはできないが二流が一流になることは可能であること。
    物書きの必読書。

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著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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