震える牛 (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 2641
レビュー : 381
  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094088212

作品紹介・あらすじ

平成版『砂の器』、連続ドラマ化!

警視庁捜査一課継続捜査班に勤務する田川信一は、発生から二年が経ち未解決となっている「中野駅前 居酒屋強盗殺人事件」の捜査を命じられる。初動捜査では、その手口から犯人を「金目当ての不良外国人」に絞り込んでいた。 田川は事件現場周辺の目撃証言を徹底的に洗い直し、犯人が逃走する際ベンツに乗車したことを掴む。ベンツに乗れるような人間が、金ほしさにチェーンの居酒屋を襲うだろうか。居酒屋で偶然同時に殺害されたかに見える二人の被害者、仙台在住の獣医師と東京・大久保在住の産廃業者。
田川は二人の繋がりを探るうち大手ショッピングセンターの地方進出、それに伴う地元商店街の苦境など、日本の構造変化と食の安全が事件に大きく関連していることに気付く。

【編集担当からのおすすめ情報】
WOWOW「連続ドラマW」にて2013年6月より、連続ドラマ化!
出演:三上博史、吹石一恵、小林薫ほか
子供たちが口にする加工食品は安全なのか?
地方都市は、なぜ衰退したのか?
日本中を震撼させた戦慄のミステリー、ついに文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • H31.3.12 読了。

     『「全国どこも同じだ。街の顔が見えない。」。「食の安全」への背信。地域社会の破壊もいとわない「大規模焼き畑商業」。本書はこの2つのモラルハザードをテーマにした、社会派警察小説である。相場英雄の手柄は、この2つの問題を声高に主張するのではなく、警察小説の器に巧みに盛り込み、読者の前に見事な1皿として提供したことにある。…解説より。』

     難しい語彙もわかりやすく解説していて、とても読みやすく、面白かった。読後感はスッキリしませんが、良書だと思います。
     現実にこのようなことは、あってほしくないですね。

  • 獣医師と産廃業者。接点がないと思われる二人の男が居合わせた居酒屋で強盗に殺された。当初は外国人による金品目当ての事件と思われていたが、粘り強い捜査の末 大手スーパーマーケットの次期経営者が浮かび上がり…

    BSEや食品偽装など、食の安全について考えさせられる。特に加工肉…安い出来合いの惣菜やファーストフード類の不気味さが今、なまなましい。

    パン一つ買うにも裏の表示を確認して出来るだけ自然に近いものをなるべく選んでいるが、便利な食生活の裏には大量の添加物や得体の知れない業者間のやりとりがある。
    言うまでもなく、身体は食べたもので作られていく。

    お話としてはやりきれないが、流通など様々な視点から説得力のある作品だった。

  • 色々ある。こわいこわい。

    ほとぼりが冷めるとまた元に戻るんだろうけど、お肉加工品を購入の時は、今まで選んでいたものよりワンランク上の商品を手に取るようになったり、外食する時はメニューを熟読しようとか。
    ヤッパリ偉い人達は信用してはならない…とか 笑笑

    でも、一番気になってしかたなかったのが

    田川刑事の蛇腹メモ。
    解説にはリフィル式の手帳と記してあったのだけれど、リフィルの一部が蛇腹のメモなのだろうか?
    リフィル式手帳スーツの胸ポケットは、メモが増える以前にパンパンで重くないんだろうか?

    ドラマ化されてるみたいだから、見てみよう。
    蛇腹メモ…

    • moboyokohamaかわぞえさん
      私もこれを読んで以降、ファミレスのハンバーグは食べられなくなりました。
      私もこれを読んで以降、ファミレスのハンバーグは食べられなくなりました。
      2019/09/26
    • mah33さん
      ですよねー。
      ですよねー。
      2019/10/07
  • この小説は、まちの本屋の著者の田口幹人さんのオススメだったので、迷わず購入。
    あまりに面白くて、一気に読みきってしまいました。
    地方が抱える問題を切実に感じることが出来、また、地元に根付いていたお店の有難さや人と人との関わりの大切さを改めて感じる事が出来ました。
    それにしても人間が便利さや新しさを銘打って、本当に大切なものをたくさん失っている事の怖さも同時に感じる作品でした。
    安全で安心して美味しい食べ物を食べることと、気のおけない仲間たちと一緒にその料理を囲みたい!!とも思わせる作品でした!

  • 日本の社会情勢を反映した社会派推理小説。
    親近感を感じさせる刑事と社会への警鐘を訴える記者そして在り方に問題を抱えつつも会社を愛する社員。三者の視点や思考から事件が解明されていく面白い小説。
    WOWOW映像はまだ見ていないので、機会あれば見てみたい。

  • 非常に面白くて一気読み!!

    解説に書かれている通りに、刑事小説としての面白さに
    現代的なテーマが融合した作品。

    2年前の強盗殺人事件を洗い直す田川。
    金銭目当ての外国人の犯罪として殺害された
    2人の被害者。

    繋がる事がない被害者2人の接点を
    ジワジワと細い線を手繰り寄せて
    真相を暴く田川と池本。

    同進行する食品偽装。

    田川が1つ1つ丁寧に事件の背景に近づく姿が
    ワクワクしたし、田川に協力する池本や同僚達に
    嫌な人が居ないのも良かったかな。

    そして、必ず居るよ~黒幕が!!の期待を裏切らない最終章。

    読む人によっては、あっさり系の警察小説??かも知れないけど・・・私には複雑に絡まり過ぎてないところが良かったです。

    たまに、複雑に事件を色んな方面に絡め過ぎちゃって
    面白いのに勿体ない!なんて感じる作品もあるので。

    満足度高い作品でした。

  •  警察小説の体裁をとっているが、イオンのようなSCが小規模地域社会を破壊する焼き畑商業の不都合、加工食品の安全に突っ込んだ経済小説。ドラマ化しようにも映画かワウワウしか無理だよねこりゃ。現場周辺での聞き込み=地取り、容疑者や被害者の人間関係を洗う=鑑取り、というサツ用語が頻繁に出てきます。ラストのラストがハッピーエンドとはいいがたく、池井戸潤作品とは違って読者としては少し残念。
     ところで、加工食品の100%ビーフという表示が、混ぜ物無しのお肉100%という字面からでてくる意味とは限らず、クズ肉に大量の添加物、具体的には、老廃牛の皮や内臓から抽出した『たんぱく加水分解物』を混ぜて味を演出し、牛脂を添加して甘味を演出したうえで、水で容量を増して、一応100%らしい食べ物にするというテクニックも紹介されていた。
     問題はひとつひとつの添加物は、動物実験を経て発がん性や毒性のチェックをクリアしているが、これを同時に混ぜ合わせた際の実証データはありませんし、国も監視していないということ。企業努力で説明のつかない、安いには安いだけの理由があるようです。

  • 日本のBSE問題、ショッピングモールが提供する食や街への影響をテーマにした小説。

  • 本当にフィクションですよね?と寒くなった小説でした。久々の社会派作品で田川さんの洞察力など、とても面白かった。

  • 世間を賑わせた事件は記憶に残り、それが小説の題材として使われると一層現実感を帯びて読むことができます。その意味では作者は異なるものの、以前に読んだ「空飛ぶタイヤ」と同じような感覚が呼び起こされました。
    この小説の出だしは、未解決の強盗殺人事件の捜査を委ねられた敏腕刑事が登場しますが、捜査が進むに連れて、事件は意外な様相を見せ始めます。背後に潜むのは大資本が開発するショッピングセンターの地方進出や食肉製品の廉売のカラクリと一気に社会性を帯び、捜査は核心に触れるのですが…
    ここまでの内容はグイグイと引き込まれる展開になっています。しかし、結末はカタルシスとはいかず、ちょっと残念な思いも抱きましたが、実際にはこういうことは闇に埋もれる部分も多いのだろうと推測できます。エピローグの行方が明るい色調で締め括られているのが救いでもあり、また職業人としての倫理感を貫き通した1人の男の思いがその後の運命を知るだけに一層清々しく映ります。

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著者プロフィール

相場 英雄(あいば ひでお)
1967年新潟県生まれ。89年に時事通信社に入社。2005年『デフォルト 債務不履行』で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞しデビュー。
12年『震える牛』が話題となりベストセラーに。13年『血の轍』で第26回山本周五郎賞候補、および第16回大藪春彦賞候補。16年『ガラパゴス』が、17年『不発弾』が山本周五郎賞候補となる。

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