オキーフの恋人 オズワルドの追憶 (小学館文庫 つ 8-2)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (1117ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094088427

作品紹介・あらすじ

錯綜する二つの世界が到達する、驚愕の真実

孤高の作家・高坂譲が小説の新連載開始を目前に失踪した。画家ジョージア・オキーフを敬愛する担当編集者の小林慎一郎は、編集者ともほとんど会うことがなかった高坂の代理人を務める榛名潤子を下北沢に訪ねる。噂通りの「行儀のいい美人」に抱いた密かな欲望を、小林は彼にしか見えない内なる少女オキーフに指摘される一方、心理学者としての顔も持つ榛名潤子による、失われた記憶を呼び起こすカウンセリングにのめりこんでゆく。
原稿は榛名潤子を介して小林に届けられ、作者不在のまま連載はつづく。作家が遺した小説「オズワルドの追憶」は、勤め先の証券会社が倒産し下北沢で私立探偵を始めた厄年の男が主人公のミステリー。酒と煙草と女に目がない新米探偵・夢窓賢治に舞い込む仕事といえば、迷子の猫探しや中学生の苛め問題ぐらいだったが、あるとき女子高校生を狙った殺人予告の電話が鳴る。これが悪夢のような連続殺人の始まりだった……。
オキーフとオズワルド。二つの物語はやがて思わぬかたちで繋がりを見せ、衝撃の結末へ――。圧倒的なボリュームと巧妙に仕組まれた小説的な罠、そして目の前に現れる驚愕の真実。小説の可能性、面白さを存分に楽しめます。


【編集担当からのおすすめ情報】
この作品は、交互に語られる「オキーフの恋人」と「オズワルドの追憶」、二つのストーリーから構成されています。前者は主人公が彼にしか見えない内なる少女と語り合ったりと比較的重厚な筆致で描かれ、後者は時にユーモアもまじえた軽妙な探偵小説として描かれています。この毛色の異なる二つの物語が、互いにパラレルワールドとして相乗効果をもたらし、また作品に描かれた現実と虚構とが物語終盤で溶け合う様はまさに圧巻。著者の辻仁成さんが周到に仕掛けた「小説の可能性」を存分にお愉しみいただけるはずです。1000ページを超える大長編ですが、疾走感ある筆運びと読者を巻き込んでいく謎解きに時間を忘れ、あっという間に読み終えてしまう、満足度の高い一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 長い物語だった。失踪した作家を探す編集者と失踪した作家の連載の同時進行で物語が進み、連載と同じ事件が起こり、登場人物も現実にいる人で、ややこやしいのにどんどん引き込まれて楽しんで読めた本


    2017.09.03読了

  • この厚い一冊と夏を過ごした。

    人はたくらみに満ちた小説と呼ぶのだろう。
    探偵と編集者との濃密でミステリアスな時間。
    それが良かった。
    ラストは個人的にはあまり楽しくなかった。
    裏切りは辛かった。
    今までの楽しい時間は嘘だったのか。

    素人探偵の物語と
    その物語の編集者
    二人の冒険物語を行き来する構成。

    それがオキーフの恋人 オズワルドの追憶
    という2つの話。

    オキーフは画家。
    オズワルドはケネディを暗殺したと言われる男。
    題名に冠したその名前に
    物語の終わりは内包されていたのかもしれない。

    個人的にはこの冒険とラブロマンスは
    終わって欲しくなかった夏。

  • 自分の今存在する世界が現実なのか虚像なのか、立証する手だては果たしてあるのだろうか?虚像の夢窓が魅力的で惹きつけられる。

  • この分厚さは読みごたえだった。

  • 世界観が入ってくるか!
    が鍵です

  • 個人的には辻仁成のベスト。
    新潮文庫版が何処かにあったはずだが……。

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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