下町ロケット (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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レビュー : 1251
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094088960

作品紹介・あらすじ

直木賞受賞作、待望の文庫化!

あの直木賞受賞作が、待望の文庫化!

「お前には夢があるのか? オレにはある」

研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。
圧倒的な形勢不利の中で取引先を失い、資金繰りに窮する佃製作所。創業以来のピンチに、国産ロケットを開発する巨大企業・帝国重工が、佃製作所が有するある部品の特許技術に食指を伸ばしてきた。
特許を売れば窮地を脱することができる。だが、その技術には、佃の夢が詰まっていた――。
男たちの矜恃が激突する感動のエンターテインメント長編!
第145回直木賞受賞作。

池井戸潤、絶対の代表作
(解説・村上貴史)

感想・レビュー・書評

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  • これもオーディブルで聴いた。

    やばい。
    面白すぎ。
    スカッとし過ぎ。

    池井戸潤さんは本当に人の感情を揺さぶるテクニシャンだ。上手すぎる。

    しかし、ドラマは見てないけど、佃社長のイメージが阿部寛そのまんまで笑った。

  • 総評としては面白かった。

    まず、池井戸潤の文章は良い意味で個性を感じさせない。物語ることに徹底して無我な文章だと感じた。

    物語の構成も悪くなかった。まず、理不尽な訴訟で読者を共感させる。そこから大企業への「バルブシステムの納入」という逆境を描く。

    それから中小企業が置かれる不利な環境にスポットライトを当てたのは、非常に意義深いと思う。弁護士の探索、特許の堅牢化、資金源の多角化など、中小企業が生き残るにはやるべきことが多い、というより規模に対して負担が大きいのだとよく分かった。

    ソフトウェアエンジニアとして働く自分としては、知財の問題や営業との軋轢など、無関係とは思えないような問題が描かれていて、その点も惹きつけられた。

    そして最後に、物語の核は「公正であること」だと思い至る。

    佃製作所が数多の逆境を乗り越えることができたのは、技術力や運だけのおかげではない。数字や結果や原因究明に真摯だったからこそ、という側面はあったと思う。見栄や打算を超えたひたむきな姿をこそ、描きたかったのかもしれない。

    佃の娘がその姿を見て学ぶというのが象徴的しているように、読者もまた、公正であることの重要さを学ぶことができる。

    さすがの直木賞を受賞作。構図の分かりやすさに少し辟易とする読者もいるだろうなと思いつつ、文句のつけようのない良作。

    (書評ブログの方も宜しくお願いします)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E5%85%AC%E6%AD%A3%E3%82%92%E8%B2%AB%E3%81%8F%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8_%E4%B8%8B%E7%94%BA%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88_%E6%B1%A0%E4%BA%95%E6%88%B8%E6%BD%A4

  • ロケット打ち上げの失敗から、町工場・佃製作所を継いだ佃。
    中小企業ながら、技術力は大企業に劣らずピカイチだ。
    そんな佃社長には夢がある。
    自社製品で作ったバルブで、ロケットを打ち上げることだ。
    一度は失敗し研究者の道を諦めた佃だったが、町工業を営む社長としてもう一度挑戦したいと強く心から思うようになる。
    はじめは社員の反発もあり、度重なるトラブルでみなの気持ちはバラバラになりかけた。しかし、苦難を乗り越え、行動を共にすることで次第に結束力が生まれていく。
    佃社長の熱い想いは社員へと伝染していく。佃製品のプライドにかけて「ロケットプロジェクトを成功させるぞ」と、みな一丸となって奮闘するのであった。

    大企業の圧力や嫌がらせに負けず、たかが中小企業と舐められても決して屈しない強さに感動した。
    ロケットプロジェクトが難航しても、身内に非難されても決して諦めなかった佃の熱い闘志が実った瞬間は、歓声をあげた社員同様、ぐっとこみ上げるものがあった。

    夢のために全力になれる佃は、最高にカッコいい経営者だ。
    こんなに熱い思いを持つ人は、周りを変える力がある。
    もし佃社長の書いたビジネス本があるのなら、是非とも読んでみたいものだ。

  • 宇宙科学開発機構で研究員をしていた佃航平が、父の死に伴って継いだ佃製作所の社長として、次々と起こる困難に奮闘する物語。大口の取引先だった京浜マシナリーからは一方的に契約解除を申し渡され、悪いことに続けざまに競合他社の大手、ナカシマ工業からはエンジンの技術について、明らかに悪意が含まれた特許侵害という形で訴えられる。銀行も助けてくれない。佃製作所は一気に窮地に立たされることになるのだが、この困難な状況をどのように乗り切るかが、ひとつめの見どころ。もうひとつは、宇宙航空関係で国内最大のメーカーである帝国重工と、ロケットのエンジン部品の特許を帝国重工よりわずかに早く取得していた佃製作所との間においての駆け引き、そしてその結末である。

    次々に佃製作所を襲う厳しい状況、例えば、会社内に充満し始める社長への不平や不満、そして何より強大な大企業、帝国重工への挑戦。時には緊迫した空気感、またある時にはアットホームな微笑ましい佃製作所の雰囲気などが感じられ、最初から最後まで楽しく読むことができた。また、佃航平が「夢」を持ち続ける社長であり、経営者となってからも「夢」を大切にしてきたからこそのストーリーと読むこともできるし、佃の歳になっても「夢」を持ち続けることはすばらしいことだと思った。池井戸作品を読むのは半沢直樹シリーズから数えて3冊めだが、『下町ロケット』も読者を飽きさせない、とても面白い作品だった。

  • 夢を持ち、その夢の実現のために努力をして、
    困難があっても、決して諦めない。
    その姿勢が、かけがえのない仲間を作り、
    成功をする確率を高めていく。

    現実だってきっとそうなのだ。

    分かっちゃいるけど、私は弱いから
    諦めちゃう。笑

    けど、これを読んで、
    もうちょっと頑張ろうって思えたよ。

  •  研究者の道をあきらめた主人公が家業の町工場を継ぎ、次から次へと起こる難題を乗り越えながら、夢を追い続ける。

     この本と出会って本当に良かったというのが最初の読後感でした。

     数々の難題を解決していく爽快感と仕事にかける情熱を丸ごと一冊味わい尽くした感じがしました。

     終わりに近づくにつれ、何回か涙腺が緩み、一人で読んで良かったです。

     明日からの仕事をちょっと頑張ってみようと思うのでした。 

  • 中小企業が大企業の横柄な要求に対して真っ正面から挑む姿がカッコいい。
    あくまで日本産業にロケットを飛ばしてもらいたい、という日本人の誇りや、研究開発で大企業より一歩先に、より品質の高いモノを作り続けることの大事さを説く姿は、ガラパゴス化している日本経済の突破口になりそう。

    もちろんリスクもあり、家庭もある人たちは安全な稼ぎ方にしたい。と経営方針に不満を持つ。
    日本ロケットの技術研究者としての実績を持つ社長と自分は違う!と。
    若手の価値観だったり、反抗期の娘とぶつかったり、心労が耐えないけど、その情熱が心を熱くしてくれる。

    これを読んだモノ作りの人たちはものすごく鼓舞されたんじゃないかな。

    モノや情報が溢れる時代で本当に必要なことは、大量生産の為のマニュアルやコスト削減の効率化ノウハウではなく、自分達が作ったもので社会に貢献するぞ、というやる気と、産み出すための知恵と情熱を伝える誠実な態度なのだと思った。

    社長は良くも悪くも、研究員から社長になって現実社会(売上とか権力とか競争とか)と密接に関わることになった。
    今まで夢の実現に集中できる環境で、作るのが楽しくてやり続けていた研究の意義が変わったように思える。
    自分の手でモノを作り出すことで、人に社会貢献という形で影響を与え、それが働く=充実する生き方になる、という信念にたどり着くことになったのかな。

  • これでもかというくらいにややこしい困難に襲われるのが苦しかった。ややこしい困難のあとのハッピーエンドだからこそ単純に言い表せない爽快感を味わえる。ハッピーエンドって単語も違和感。

    現実離れした物語はよく見かけるけど、下町ロケットはコテコテに仕事の話。仕事してるような気分になる。現実離れしていないから、このややこしい困難が他人事とは思えなくて作品に入り込めた。

    長いものに巻かれていく生き方をするのは他人にいいように使われてしまうから、今までがそうだからとかではなくて最善策を見つけていかないといけないなと思った。
    佃社長がハッピーエンドになったのは人とのつながりがあってのことだったから、人間関係は大事にしないといけないなぁと思った。

  • 佃社長の夢を諦めないひたむきさに感動した。緊迫感のある展開に引き込まれた。

  • ピンチをチャンスに変えられるのは、こうしてひたむきにがんばっているからこそなんだろうと清々しい気持ちで読み終えた。スカッとする気持ちのいいストーリーがいいね。

    現実は裁判の時点でうまくいかなかったり辛いことが多かったりするかもしれないけれど、こういう希望のある物語は気持ちが明るくなるから好き。

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著者プロフィール

池井戸 潤(いけいど じゅん)
1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学文学部および法学部を卒業。子供の頃から本に親しみ、作家を志すようになる。『果つる底なき』で江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。以降、2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、2011年『下町ロケット』で直木賞をそれぞれ受賞。他の代表作に、半沢直樹シリーズ『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』、花咲舞シリーズ『不祥事』、『空飛ぶタイヤ』『民王』『ルーズヴェルト・ゲーム』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』など。多くの作品がドラマ化・映画化されており、特に「半沢直樹」と「下町ロケット」は非常に高い人気を誇った。 2019年6月21日、人気作『陸王』が文庫化される。2019年7月開始の大泉洋主演ドラマ『ノーサイド・ゲーム』原作を担当し、6月14日に単行本化。

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