下町ロケット (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094088960

作品紹介・あらすじ

直木賞受賞作、待望の文庫化!

あの直木賞受賞作が、待望の文庫化!

「お前には夢があるのか? オレにはある」

研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。
圧倒的な形勢不利の中で取引先を失い、資金繰りに窮する佃製作所。創業以来のピンチに、国産ロケットを開発する巨大企業・帝国重工が、佃製作所が有するある部品の特許技術に食指を伸ばしてきた。
特許を売れば窮地を脱することができる。だが、その技術には、佃の夢が詰まっていた――。
男たちの矜恃が激突する感動のエンターテインメント長編!
第145回直木賞受賞作。

池井戸潤、絶対の代表作
(解説・村上貴史)

感想・レビュー・書評

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  • ●主人公が研究者の道を諦めて、家業の町工場を継いで、ロケット部品を開発し、帝国重工に提供する。そして、ついにロケット打ち上げに成功するまでのヒューマンストーリーです。この作品はテレビドラマになり、好評を博したので、見た方も多いと思います。
    ●私は、本書を読んで、日本の企業構造に問題を感じました。書中にも、「世に名の知れた上場企業の看板は、それだけで絶対的な信用がある。・・本当に不公平なのは実社会のほうなのだ。この世の中では圧倒的に大企業が有利である」とあります。佃製作所と帝国重工のやり取りの中にも、大企業の不遜な態度が多くみられます。
    ●私のビジネス経験でも、色々と耳にしました。例えば、①大企業には実力よりも、名刺で仕事をしていると思われる人がいる ②大企業から中小企業に天下った人の中には、例えば、銀行から幹部として受け入れたのに、財務諸表すら読めない、等です。
    ●大企業は深さ、中小企業は幅で仕事をする場所と思うので、止むを得ない点もあるかもしれません。何れにしろ、日本の産業は中小企業が支えいるので、オンリーワンの技術力で中小企業に頑張れとエールを送りたいと思うのは私だけでしょうか?

  • 2011年直木賞受賞作品
    忘れてました。原作読むのを。
    TVは臨場感があって面白かった。まあ、本でもやっぱり面白い!
    特にこの作品の助演である財前部長が素晴らしい。佃社長が正直霞む程の男気。
    仕事への向き合い方、取り組み方、会社で成し得たい夢。改めて考えさせられます。
    この後のシリーズも買い溜めておいたので順に読んでいきます。

  • もう、あまりに有名で、ドラマも見ちゃってストーリー知っていても、充分に楽しめました。
    元研究者の二代目町工場の社長が、自社開発技術で、圧倒的なな大企業の思惑に挑んでいく。プライドを持った仲間と共に作る佃プライド。日本の経済と技術を支える中小企業への応援小説です。
    池井戸さんは、元バンカーとのことで、大手銀行の考え方やいかにもな態度をわかりやすく、想像しやすく描いてます。
    それにしても、財前の吉川晃司は素敵だったあ。

    • みんみんさん
      わたしも白スーツ検索しました(〃ω〃)
      肩幅健在ブラボー‼︎
      仲村トオル素敵♪朝からテンション上がるわね笑
      わたしも白スーツ検索しました(〃ω〃)
      肩幅健在ブラボー‼︎
      仲村トオル素敵♪朝からテンション上がるわね笑
      2023/05/26
    • おびのりさん
      ゆーきさん、中村トオル良いです。奥さんかなり難病のようですよね。支えながら、素敵だなと思います。
      今日は、遠出して名古屋行ってきました。
      み...
      ゆーきさん、中村トオル良いです。奥さんかなり難病のようですよね。支えながら、素敵だなと思います。
      今日は、遠出して名古屋行ってきました。
      みんみん味噌カツは食べなかったけど、初徳川美術館してきましたよ。
      2023/05/26
    • みんみんさん
      徳川美術館だったのね〜
      行ったことないですけど笑
      徳川美術館だったのね〜
      行ったことないですけど笑
      2023/05/26
  • 下町ロケットは池井戸さんの小説でも特に好きなジャンルの小説。
    ハードカバーでも以前読んで、テレビはほどんど見ないのに、
    ドラマも見て、続編も含めて文庫にそろってから、再読。

    ※下町ロケット
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4093862923#comment

    細かいストーリー展開は忘れてしまっていたけど、
    ハッピーエンドで終わることは当然のごとく分かっていて、
    でもそれでも十分、エンターテインメントとして楽しめる鉄板小説。

    改めて読んでみると、正義vs悪の分かりやすい構造(+最後は正義が勝つ安心感)に加えて、
    働く意義について主人公の佃が悩んでいたり、
    夢を追い求めている姿に自分の理想を重ねることができるから人気が出るんだろうか。
    人って大人になるとどこかで妥協して(現実を視て)、
    生きるために仕事をすることってあると思いますし。
    そう思うと、自分は結構自由に生きさせてもらって、幸せなのかも。

    続編を読むのが楽しみで仕方ありません。
    (自分は、2作目までしか読んでいないので。)

    ※下町ロケット ガウディ計画
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4094065369#comment

    ※下町ロケット ゴースト
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/409407063X#comment

    ※下町ロケット ヤタガラス
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4094070648#comment

  • これもオーディブルで聴いた。

    やばい。
    面白すぎ。
    スカッとし過ぎ。

    池井戸潤さんは本当に人の感情を揺さぶるテクニシャンだ。上手すぎる。

    しかし、ドラマは見てないけど、佃社長のイメージが阿部寛そのまんまで笑った。

  • 総評としては面白かった。

    まず、池井戸潤の文章は良い意味で個性を感じさせない。物語ることに徹底して無我な文章だと感じた。

    物語の構成も悪くなかった。まず、理不尽な訴訟で読者を共感させる。そこから大企業への「バルブシステムの納入」という逆境を描く。

    それから中小企業が置かれる不利な環境にスポットライトを当てたのは、非常に意義深いと思う。弁護士の探索、特許の堅牢化、資金源の多角化など、中小企業が生き残るにはやるべきことが多い、というより規模に対して負担が大きいのだとよく分かった。

    ソフトウェアエンジニアとして働く自分としては、知財の問題や営業との軋轢など、無関係とは思えないような問題が描かれていて、その点も惹きつけられた。

    そして最後に、物語の核は「公正であること」だと思い至る。

    佃製作所が数多の逆境を乗り越えることができたのは、技術力や運だけのおかげではない。数字や結果や原因究明に真摯だったからこそ、という側面はあったと思う。見栄や打算を超えたひたむきな姿をこそ、描きたかったのかもしれない。

    佃の娘がその姿を見て学ぶというのが象徴的しているように、読者もまた、公正であることの重要さを学ぶことができる。

    さすがの直木賞を受賞作。構図の分かりやすさに少し辟易とする読者もいるだろうなと思いつつ、文句のつけようのない良作。

    (書評ブログの方も宜しくお願いします)
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E5%85%AC%E6%AD%A3%E3%82%92%E8%B2%AB%E3%81%8F%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8_%E4%B8%8B%E7%94%BA%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88_%E6%B1%A0%E4%BA%95%E6%88%B8%E6%BD%A4

  • かつて半沢直樹を毎週テレビにかじりつきながら観ておきながら、池井戸潤さんの本だけでなく、経済小説というジャンル自体を読んだことがないのに気づき、今回この本を読んでみました。

    かつて宇宙科学開発機構で研究員としてロケットのエンジン開発をしていた佃航平。しかし打ち上げ失敗から半ば逃げるように家業を継ぎ、現在は中小企業・佃製作所の社長としてエンジンとその周辺デバイスの製造に携わっている。
    得意先から突然取引打ち切り言い渡され、その上競合会社から理不尽な特許裁判を起こされて、経営危機に。そんなとき、帝国重工から5億円でエンジンバルブの特許権を売るよう打診されるが…。

    佃製作所の人々だけでなく、帝国重工がどう考えているのかも描かれています。資金繰りに悩む中、目の前の大金か、金になるかわからない技術に賭けるか、落としどころはどこなのかをドキドキしながら読みました。
    各々の仕事に対する考え方違ったり、野心があったり、夢があったり、プライドがあったり。みんな違ってみんな正しい。会社組織として一つにまとまって、目標に向かっていく姿にスカッとしました。

    エンジンの自社開発といっても、実際は様々なパーツを様々なメーカーから調達して組み立てるものなので、そもそもこのような帝国重工のこだわりって現実にはありえないような気がするのですが、それを差し引いても、とても面白かったです。

  • 魅力的な題材、立ち位置を変えた描写と、それぞれの立場からの正義と身勝手が、次第にロケット開発に向けてまとまって行くおもしろさ、テンポのいい運び、これでもかと襲いかかるアクシデントに立ち向かい、乗り越えて行く社長の姿、どれもおもしろい。
    一気に読ませる作者に脱帽。

  • 夢を持ち、その夢の実現のために努力をして、
    困難があっても、決して諦めない。
    その姿勢が、かけがえのない仲間を作り、
    成功をする確率を高めていく。

    現実だってきっとそうなのだ。

    分かっちゃいるけど、私は弱いから
    諦めちゃう。笑

    けど、これを読んで、
    もうちょっと頑張ろうって思えたよ。

  • ロケット打ち上げの失敗から、町工場・佃製作所を継いだ佃。
    中小企業ながら、技術力は大企業に劣らずピカイチだ。
    そんな佃社長には夢がある。
    自社製品で作ったバルブで、ロケットを打ち上げることだ。
    一度は失敗し研究者の道を諦めた佃だったが、町工業を営む社長としてもう一度挑戦したいと強く心から思うようになる。
    はじめは社員の反発もあり、度重なるトラブルでみなの気持ちはバラバラになりかけた。しかし、苦難を乗り越え、行動を共にすることで次第に結束力が生まれていく。
    佃社長の熱い想いは社員へと伝染していく。佃製品のプライドにかけて「ロケットプロジェクトを成功させるぞ」と、みな一丸となって奮闘するのであった。

    大企業の圧力や嫌がらせに負けず、たかが中小企業と舐められても決して屈しない強さに感動した。
    ロケットプロジェクトが難航しても、身内に非難されても決して諦めなかった佃の熱い闘志が実った瞬間は、歓声をあげた社員同様、ぐっとこみ上げるものがあった。

    夢のために全力になれる佃は、最高にカッコいい経営者だ。
    こんなに熱い思いを持つ人は、周りを変える力がある。
    もし佃社長の書いたビジネス本があるのなら、是非とも読んでみたいものだ。

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著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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