土門拳 腕白小僧がいた (小学館文庫)

  • 小学館 (2002年8月6日発売)
4.04
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感想 : 10
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  • 本 ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094114256

作品紹介・あらすじ

あの頃、路地裏にはいつもこどもがあふれていた

土門拳は昭和20年代後半から30年代初頭にかけて、精力的にこどもを撮影した。みな貧しいけれど、生き生きと目を輝かせて遊ぶこどもが町に溢れていた時代。土門はとりわけ東京の下町のこどもを愛し、彼らの中に溶け込んで、その仕草や表情をみごとに捉えたスナップを数多く残した。 それらを収めた「東京のこどもたち」、戦前の代表作を含む「日本各地のこどもたち」、昭和35年の発表当時、大きな話題となった名作「筑豊のこどもたち」の3部構成による土門拳の写文集第4弾。

感想・レビュー・書評

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  • 土門拳の写真集『土門拳 腕白小僧がいた』を読みました。
    写真集は、昨年10月に読んだ赤瀬川原平の『老人とカメラ―散歩の愉しみ』以来なので久し振りですね。

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    あの頃、路地裏にはいつもこどもがあふれていた

    土門拳は昭和20年代後半から30年代初頭にかけて、精力的にこどもを撮影した。
    みな貧しいけれど、生き生きと目を輝かせて遊ぶこどもが町に溢れていた時代。
    土門はとりわけ東京の下町のこどもを愛し、彼らの中に溶け込んで、その仕草や表情をみごとに捉えたスナップを数多く残した。  

    それらを収めた「東京のこどもたち」、戦前の代表作を含む「日本各地のこどもたち」、昭和35年の発表当時、大きな話題となった名作「筑豊のこどもたち」の3部構成による土門拳の写文集第4弾。
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    根っからのこども好きの土門拳が、戦前・戦後・昭和の行く先々でのスナップを収めた写真集です。

     ■下町のこどもたち
     ■路地ですべてを学んだ(群ようこ)
     ■日本のこどもたち
     ■こどもの心で撮った父の写真(池田真魚)
     ■筑豊のこどもたち
     ■時代を超えたメッセージ(柳田邦男)

    『下町のこどもたち』や『日本のこどもたち』では、幼い弟や妹を背負っていたり、お古と思われる繕った服を着て、左右で違う靴や地下足袋、下駄を履いている子どもたちがいて、経済的には恵まれているとはいえない境遇におかれているにも関わらず、素敵な笑顔で楽しそうに写っており、経済的な豊かさと心の豊かさは比例しないのかな……と感じたのですが、、、

    『筑豊のこどもたち』では、崩れそうな炭鉱住宅で電気やガスもなく、食うや食わずの極貧の生活を送っている子どもたちを見て、経済的に一定の水準以上の生活が確保できないと、笑顔ってなくなちゃうんだ、人生って、そんな甘いモノじゃないよなー と考えを改めさせられましたね。

    作ってなくて、飾られていないリアルな描写……市井の人々や子どもたちの視点で撮影されていることが、土門拳の作品の魅力なんでしょうね、、、

    考えさせられる一冊でした。

  • 着飾らず、よそゆきでない素直で伸び伸びとした子どもの写真で溢れている。

    笑っている顔だけじゃない。
    戦後の、都市や地方で生きていた様々な境遇にいた子どもたち。
    彼ら彼女らへの士門拳の愛情深い眼差しが、また心に温かくじんわり広がってくる。

    ただいい表情、と思うのではなく、その時代や境遇に思いを馳せる。

  • 失われた日本の子どものいる風景
    必要以上に美化するつもりはないけど
    子ども達にとって
    今の日本社会と当時の社会
    果たしてどちらが
    より多く幸せを感じる社会
    だっただろうと思った
    市のリユース文庫にて取得

  • 新書文庫

  • この時代にしか撮れなかった子供たちの姿を活写する写真集。写真は雄弁ですね。

  •  私の場合、土門拳氏の作品といえば、「古寺巡礼」等で発表されている「寺院」「仏像」といった日本古来の伝統的文化財を対象とした重厚な写真を思い浮かべますが、土門氏は、有名人や一般庶民を写したポートレートやスナップ写真も数多く残しています。
     本書は、「人」とりわけ「こどもたち」のスナップを中心に土門氏のエッセイを併載したものです。
     前半の「江東のこども」では、土門氏は、貧しさを突き抜けたような天真爛漫さ溢れるこどもたちの瞬間を捉えていました。他方、後半の「筑豊のこどもたち」には、廃坑となった炭鉱町の厳しい現実の中に生きる子供たちの姿が並んでいます。

  • 土門拳の幾つかの写真集からよりすぐって編集した一冊です。なので、編集時点(2002年)で感動的な写真ばかりが集められているのは当然と言えば当然でしょう。これらの写真を今日(2013年)の時点の日本人として、どのような視点から評するべきかは難しい問題だと思います。この写真のモデルとなった子供達は多くが団塊の世代で、その後の人生の歩みと現在の生活状況を想像して見ることもなかなか面白いことでしょう。簡単に、「昔は良かった」なんてことは言えないはずです(昔は酷かった、と簡単に言えないことも確かですが)。
    それはまあともかく、写真ですからまずは素直に見てください。子供達の表情や全身の躍動感を通じて、人間という存在の魅力と不可思議さを、きっと感じとることができると思います。

  • 『齋藤孝のおすすめブックナビ 絶対感動本50』より

  • 土門 拳 / 小学館 (2002/08)

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著者プロフィール

1909年、山形県酒田市生まれ。1935年、日本のグラフ・ジャーナリズムを切り拓いた「日本工房」に入って以来、足かけ45年にわたり、「報道写真家」として激動の日本を記録。「絶対非演出の絶対スナップ」を標榜して、徹底的なリアリズム手法で被写体に迫り、『文楽』『ヒロシマ』『筑豊のこどもたち』『風貌』『古寺巡礼』など不朽の名作を数多く残した日本を代表する写真家である。

「2023年 『土門拳の東寺』 で使われていた紹介文から引用しています。」

土門拳の作品

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