Story Box1

著者 :
  • 小学館
3.10
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本棚登録 : 68
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094120011

感想・レビュー・書評

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  • 文庫形式の文芸雑誌。
    各作品のカラーがバラバラで、詰め合わせというよりチグハグという印象がする。対象読者が見えない。
    仙川と森見は短編連作、他は連載第一回。vol.2では2話ばかり並ぶことになりそうだが、いいのだろうか。
    好きな作家の作品を一刻も早く読みたいというので無ければ、単行本化を待った方が吉かと。
    雑誌方針で二文字のタイトルで統一したらしいが、余計な真似するなと言いたい。

    以下個別評価。

    仙川環 『誤飲』 ★★☆☆☆
    新創刊の巻頭がこれか…安っぽい15分サスペンスドラマ。

    森見登美彦 『夜行』 ★★★☆☆
    良い意味で背筋が気持ち悪くなるホラー。『きつねのはなし』の雰囲気。
    前半は少し不思議程度だが、後半から一気に狂気の坂を転がり落ちていく。
    僕がホラー慣れしてないせいかもしれないが、素直に怖かった。
    最後は投げっ放しでもどかしい。今後の話で補完されていくことを期待。

    笹本稜平 『救出』 ★★★☆☆
    正当派の刑事物になりそうな第一話。
    主人公は「落とし」に秀でた一課特殊班の刑事。
    事件の中心となりそうなのは失踪した一人暮らしの老人、及び彼と唯一交流のあった少女。
    手堅い構成と安定した文章のお陰で、安心して読める。
    導入としてはまずまず。程よく手掛かりも提示され、続きが気になる。

    久保寺健彦 『命名』 ★★☆☆☆
    認知症になり二十代になったつもりの父親と、彼に振り回される息子。
    コミカルに味付けされているが、合間合間から認知症の重さが顔を覗かせている。
    今後どう料理していくのか楽しみ。展開によっては化けそう。

    長岡弘樹 『初任』 ★★☆☆☆
    それまでの仕事を辞め、警察学校に入校した男の話。現時点では可もなく不可もなく。

    室積光 『ザ・キャビネット』 ★☆☆☆☆
    悪乗りが完全に空回り。クソつまらん。我慢して2/3ほど読んで放棄。

    野島伸司 『返信』 ★★☆☆☆
    自殺を試みる少女達が、最後に担任にメールを送る。
    5人の独白形式のメールが、そのまま各話になる様子。連載という形式にマッチしている。
    独白の内容は、良く言えば等身大の少女を描いている、悪く言えば稚拙でありきたり。

    嶽本野ばら 『金脈』 ★★☆☆☆
    ヒッピーの祖父と、それを信奉する高校生の孫娘。
    祖父の主張が不快、少女の思考が年齢の割にあまりに幼稚…というか馬鹿。
    それでもそれなりに読んでしまったのは、文章が面白いからだろうか。

    以下未読
    和田竜 『小太郎の左腕』
    飯嶋和一 『狗賓童子の島』

著者プロフィール

せんかわ・たまき
1968年東京都生まれ。大阪大学大学院医学系研究科修士課程修了。大手新聞社在籍中の2002年に書いた小説『感染』が第1回小学館文庫小説賞を受賞し、作家デビュー。その後執筆活動に専念し、医療問題を中心に社会性と娯楽性を兼ね備えた作品を発表する。著書には『転生』『繁殖』『誤飲』『疑医』『鬼嵐』などがある。本作は『幸福の劇薬』に続く「医者探偵・宇賀神晃」シリーズ第二弾!

「2020年 『偽装診療 医者探偵・宇賀神晃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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