- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094120011
感想・レビュー・書評
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文庫形式の文芸雑誌。
各作品のカラーがバラバラで、詰め合わせというよりチグハグという印象がする。対象読者が見えない。
仙川と森見は短編連作、他は連載第一回。vol.2では2話ばかり並ぶことになりそうだが、いいのだろうか。
好きな作家の作品を一刻も早く読みたいというので無ければ、単行本化を待った方が吉かと。
雑誌方針で二文字のタイトルで統一したらしいが、余計な真似するなと言いたい。
以下個別評価。
仙川環 『誤飲』 ★★☆☆☆
新創刊の巻頭がこれか…安っぽい15分サスペンスドラマ。
森見登美彦 『夜行』 ★★★☆☆
良い意味で背筋が気持ち悪くなるホラー。『きつねのはなし』の雰囲気。
前半は少し不思議程度だが、後半から一気に狂気の坂を転がり落ちていく。
僕がホラー慣れしてないせいかもしれないが、素直に怖かった。
最後は投げっ放しでもどかしい。今後の話で補完されていくことを期待。
笹本稜平 『救出』 ★★★☆☆
正当派の刑事物になりそうな第一話。
主人公は「落とし」に秀でた一課特殊班の刑事。
事件の中心となりそうなのは失踪した一人暮らしの老人、及び彼と唯一交流のあった少女。
手堅い構成と安定した文章のお陰で、安心して読める。
導入としてはまずまず。程よく手掛かりも提示され、続きが気になる。
久保寺健彦 『命名』 ★★☆☆☆
認知症になり二十代になったつもりの父親と、彼に振り回される息子。
コミカルに味付けされているが、合間合間から認知症の重さが顔を覗かせている。
今後どう料理していくのか楽しみ。展開によっては化けそう。
長岡弘樹 『初任』 ★★☆☆☆
それまでの仕事を辞め、警察学校に入校した男の話。現時点では可もなく不可もなく。
室積光 『ザ・キャビネット』 ★☆☆☆☆
悪乗りが完全に空回り。クソつまらん。我慢して2/3ほど読んで放棄。
野島伸司 『返信』 ★★☆☆☆
自殺を試みる少女達が、最後に担任にメールを送る。
5人の独白形式のメールが、そのまま各話になる様子。連載という形式にマッチしている。
独白の内容は、良く言えば等身大の少女を描いている、悪く言えば稚拙でありきたり。
嶽本野ばら 『金脈』 ★★☆☆☆
ヒッピーの祖父と、それを信奉する高校生の孫娘。
祖父の主張が不快、少女の思考が年齢の割にあまりに幼稚…というか馬鹿。
それでもそれなりに読んでしまったのは、文章が面白いからだろうか。
以下未読
和田竜 『小太郎の左腕』
飯嶋和一 『狗賓童子の島』詳細をみるコメント0件をすべて表示