とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫)

著者 :
制作 : 森沢 晴行 
  • 小学館
4.04
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本棚登録 : 1790
レビュー : 236
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094510522

作品紹介・あらすじ

「美姫を守って単機敵中翔破、1万2千キロ。やれるかね?」レヴァーム皇国の傭兵飛空士シャルルは、そのあまりに荒唐無稽な指令に我が耳を疑う。次期皇妃ファナは「光芒五里に及ぶ」美しさの少女。そのファナと自分のごとき流れ者が、ふたりきりで海上翔破の旅に出る!?-圧倒的攻撃力の敵国戦闘機群がシャルルとファナのちいさな複座式水上偵察機サンタ・クルスに襲いかかる!蒼天に積乱雲がたちのぼる夏の洋上にきらめいた、恋と空戦の物語。

感想・レビュー・書評

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  • あえて内容に触れないレビュー。
    きっと二度と読み返すことはないと思う。
    でも大切にとっておく。
    何度も読み返しちゃう本も素敵だけど、一度読んで
    あとはそれをずっと胸にやきつけておこうと思える本も素敵。
    この本は自分の中では後者の素敵な本。

  • ラストシーンの余韻が胸の奥に灯る光となってずっと続いている。
    一瞬の煌めきが永遠の光になる。切なくも心強く、純度の高いボーイ・ミーツ・ガールだった。

    この『とある飛空士への追憶』という物語はシャルルとファナ、二人の旅の記録であるから自ずと焦点が二人に絞られるわけで。空の旅と戦い、その中で芽生える恋と育まれる気持ちという物語の軸が最初から最後までぶれることなく、二人に感情移入して読むことができた。

    幾つも愛の言葉を並べたり体を重ねたりするのではなく、あの自由な空の舞いこそが、黄金に彩られた空のあの煌めきこそが、胸いっぱいのありがとうとさよならが、二人…いや三人の生涯忘れ得ぬ空旅と初恋の確かな証。美しかった。

  • 最後の一行まで読ませる白熱の筆力。正直、あまり期待してなかったのですが読んでみると想像以上に王道ロマンス&ファンタジー。まるで目の前にあるように思わせる繊細な表現がすごかったです!表紙のシーンが分かった瞬間、ホロリときてしまいました…イラストで苦手意識がある方にも、ぜひ騙されたと思って読んで欲しい作品。ライトノベルだけには収まらない躍動感、情熱です。

  • 最底辺の身分に生きる凄腕の飛空士と、次期皇女となる貴族の少女との限られた時間の物語。
    空で繰り広げられる戦闘シーンと、国同士の争いを巡る手の込んだ世界観設定は、ファンタジー好きにはたまりませんでした。
    物語は王道ですが、様々な柵にとらわれて自由に生きられない少年少女が、生死の境で限られた時間を過ごす姿が丁寧に描かれています。
    人形のようであったファナが、シャルルと出会って人間としてどう生きていくかを見出していく過程は、青春ものとしても、貴種流離譚ものとしてもとても良いシーンばかりでした。

    シリーズものとしてほかにも作品があるようなので、読み進めようと思います!

  • まずDVDを視聴した、面白かった。今「恋歌」がアニメ化されてオンエア中である。これも中々よい、やはり原作を読まなくては!と思い読了した。

    世に「ライトノベル」なるジャンルの読み物が存在する、調べてみるとwikiではこうなってる…
    「ライトノベルの定義に関しては様々な考え方があり(後述)、現在においても出版業界で完全に明確な基準が確立されているというものではない。ただし、日経BP社『ライトノベル完全読本』においては「表紙や挿絵にアニメ調のイラスト(≒萌え絵)を多用している若年層向けの小説」とするものもある」

    定義が確立されていないのか?アニメ調のイラストがあればそれでラノベなのか?今作はライトノベルの範疇に入るようなのだが、はっきり言うなら作者の情景描写力はその範疇を軽く飛び越えて、どんな読者をも物語世界へトリップさせ魂を揺さぶるに疑うことない素晴らしさであった。

    物語自体はベタな展開の身分違いの「一瞬の恋」を描いている。しかしながらその舞台として、青き空と海の空戦の中に据えたことによって、その出会いと別れに、より叙情的色彩を持たせることに成功している。

    「ローマの休日」を意識した、とは作者自身の言葉である、その通り恋愛に昇華できない出会いと別れは、切ないながらも爽やかさにも満ちており、追憶のタイトルにふさわしいラストだった。

    そしてなにより、空戦シーンにおいても、ラストの別れ際においても、人物の心象、情景の描写、すべてが流麗なる言葉で綴られている。ラノベと呼ばれる読み物でこれほど豊潤なる美しい日本語の配列に出会うとは完全に予想外だった。

    この物語を継ぐのが「とある飛行士の夜想曲」であり、合わせて読んだのだが、今作「追憶」は「夜想曲」と合わせての完全体であり、真のすごさ、面白さはさらに深いところにあった。「夜想曲」にて語りたいと思う。

  • 3人称で視点が複数ってところに、新鮮さを感じました。
    何でだろう…最近読んでなかったのかな?
    飛行機もの…というか空戦もの(?)は、森博嗣の「スカイ・クロラ」シリーズくらいしか読んでないですが、(有川浩の「空の中」はなんか違う気がするし…)スカイ・クロラより、飛行機の動きは想像しやすい気がしました。
    空中戦のところは一気に読みたくなる感じです。
    スカイ・クロラの文体(表現)も、あれはあれで好きではあるのですが。
    空にいる時が一番好き、地上のゴタゴタを忘れられる…というのは、スカイ・クロラと似てますね。
    飛行機乗りは、皆さんそんなことをお考えなのでしょうか。
    読了すると表紙の切なさがたまらないです。
    続編シリーズも読んでみたいです。

  • 発売当初、ラノベのレビューサイトで絶賛されてたので買った記憶ががが。
    お姫様と飛行士の恋がなんとあまずっぺえことか。

  • 流民あがりの飛空士、シャルル。彼の任務は次期レヴァーム皇子妃を敵国、帝政天ッ上から本国まで送り届けることだった。一万二千キロにわたる単騎敵中翔破。ヒエラルキーの頂点と底辺に位置する二人が命を懸けたとき、想いは互いに惹かれ、だが二人の前に立ちはだかる運命はあまりにも切なかった。壮大な空を舞台にした恋物語。

    身分違いの恋。わかってる、ベタだって。でも大好物なんだ。『エマ』はわたしにとってバイブルのひとつだが、本書はそれに比類する。作者の描く二人の絶妙な距離感を礼賛したい。このもどかしい感じにたまらなく興奮するのだ。

  • 未来の皇妃を送り届ける流民上がりの傭兵。
    たった二人きりの制限された旅。命の危機が満載の旅。
    お嬢様が今までしてきた処世術。今だけはそうする必要が無い。
    お話をした。たくさん話した。
    命の危機を乗り越え飛んだ。共に飛んだ。
    共同生活。一緒に過ごした。共に生きた。
    意外な縁があった。意外な繋がりがあった。

    「生まれ変わろう」 「生まれ変わるんだ」

    たった数日間のこと。それだけで充分だった。恋をした。好きになった。
    かたや未来の皇妃。かたや流民上がりの傭兵。
    階級制度が根強い国、別離は必然。
    分かれの時、今この時を永遠に。
    この想いを永遠に。


    「西海の聖母」ファナ・レヴァーム



    こういう話には弱いんです。ほんとダメです。感涙です。

  • いい意味で二度と読みたくありません。

    最後が切ないし、鬱になりかけました。

    歴史にその名を刻んだ偉大な皇妃と歴史の闇に消えた名もない飛行士。

    ふたりが織りなす、蒼天に積乱雲が立ち上る夏の洋上にきらめいた、ひと夏の恋と空戦の物語。

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著者プロフィール

1971年生まれ。小説家。代表作に、「とある飛空士」シリーズ、『レヴィアタンの恋人』(ともにガガガ文庫)などがある。

「2014年 『サクラコ・アトミカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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