九十九の空傘 (ガガガ文庫)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094512847

作品紹介・あらすじ

気が付くと、空色の傘を手に朽ち果てた家の中で立ち尽くしていた少女。自分は誰なのか、なぜここにいるのか-少女の記憶は曖昧だ。誰もいない街を彷徨い、ようやく出会った青年・シグ。少女は自分が人間ではなく、モノに宿る「九十九神」だと教えられる。「きっと、お前は傘の九十九神なんだろう」とシグ。そして少女はカサと名付けられる。人間がいなくなった町を舞台に、置き去りにされたカミ=「九十九神」たちが人間の真似事をして暮らす、ノスタルジック・ファンタジー。大人気シリーズ「RIGHT×LIGHT」の著者が送る完全新作。

感想・レビュー・書評

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  • 自身を悪人と呼称するカサの考え方は結構好き。傘をモチーフに、彼女の想いが少しずつ抽象化していき、自分のためにそうしたい、というのは実際強いと思う。話の収まりは悪くないが、二人一緒に仕事をしたり、引き金を引いたりするような続きの話があればなお良かった

  • 登場人物は「神」なのだが,一部を除けば強大な能力を持っているというわけではなく,むしろ被食者として怯えていたり,自身の存在を維持することに耐えられず死を選んだりと,弱々しい存在として描かれているのが,どこかユーモラスではある.

    カサの生前に何があったのかというのは気になるところ.

  • 主人公が少し自分勝手であまり好きになれなかった。
    持ち主の想いが具現化しているという面白い設定なのだが、オチがありがちなパターンでもったいなかった。

  • 人の想いから生まれた九十九神たちの物語。

  • 雰囲気は好き。
    でもキャラがいまいちかも。
    展開も先が読めてしまう。

    シリーズの一冊目なら
    いいかもしれないけど
    これで完結だったら
    少し物足りなく感じる。

  • えいひさんのイラストに惹かれて購入しました。
    ファンタジーもので最初は意外と薄暗い鬱々とした感じで始まるのですが、カサちゃんの笑顔で一掃されます。
    本当にイラストが可愛いです。

    お話も切ない部分あり、温かい部分あり、ととても素敵な作品です。

  • 表紙の絵に惹かれ購入しました。
    最初は主人公のカサの性格というかテンションが私には全く合わず、読むのが辛かったです。
    進めていくとだんだんストーリー自体が面白くなってきて、スラスラ読めました。
    続きがでるなら購入すると思います。

  • 「空」買い〜

    地上から人間が滅び去り、代わりにモノに宿った想いが具現化した
    九十九神が、廃墟と化した世界に生きる。
    そんな設定。

    主人公の女の子は、空色の傘に宿った九十九神。
    九十九神として目覚めたばかりで事情が飲み込めていないままに廃墟を彷徨い
    ようやく一人の青年と出会うが
    全身黒ずくめで目つきも悪いその青年は、自分に銃を突きつけて——。


    廃墟も好きだし、九十九神なんかの和系神様も好きなので
    良さげかな〜と思い手に取る。
    実際世界観や設定は好きで、物語の方向性も好きなんだけど
    いかんせん
    主人公の女の子があまり好きになれないw

    中2の女子で、自分は周りとは違うと思っている。
    いい人ぶってる人は怖気がする、みたいな態度。
    それなりに話は合わせてるけど、内心では「くだんない…」と思っていたり。
    いや…もちろん作中人物に漏れなく善人であれ、とは思わないけど
    最近こういう中二病タイプの人間にカチンとくるようになってしまった。

    あと、イラストかわいくて好きなんだけど
    猫のデッサンがひどいw

    自分としては、もう少し廃墟のノスタルジィを漂わせてくれることを期待!
    九十九道具(?)がもちょっと個性を帯びるといいかな…なんて。

    シリーズ化するようなので、動向を見守りつつ

  • “「わたし、一つだけ特技を持ってるの」
    躊躇いながらも、話し始める。これを自分から他人に話したことはない。わたしの言動から気づかれることはあっても、あえて説明したりはしなかった。
    今日は初めてばかりの日だな、と心の隅で思う。
    「......特技?」
    「うん、わたし......忘れることがすごく得意なんだ。消したい記憶をくしゃくしゃって丸めて、頭の中にあるゴミ箱にぽいっと捨てたら......きれいさっぱりなくなるの」
    「そんなことが......」
    シグは疑わしげな眼差しでわたしを見る。
    「ホントだよ?わたし以外の人に証明できることじゃないけど......でも、ホントなの」
    すんなり信じてくれるとは思っていなかったが、少し後悔する。やはり言わないほうがよかったかもしれない。変な目で見られるのは嫌だった。
    シグはしばらく思案していたが、やがて首を振る。
    「......そうだな、お前が嘘を吐く理由はないか」
    「え?信じてくれたの?」
    「ああ。大体、俺は九十九神だ。お前の話よりも、ずっと非常識な存在だ」
    「あはは、そうだね」
    わたしは笑う。何だかとても久しぶりに笑った気がした。”

    雰囲気好きだなー。
    展開は何となく読めちゃったりするけれど。
    カサの性格とか考え方好き。
    カサが人間の時のこと知りたいから続編欲しいな。

    “「シラタマ——みんな、良い人ばっかりだね」
    わたしを見つめる青い瞳の子猫に皮肉気な口調で話しかける。
    良い人は意識的に、無意識的に、悪を生む。悪い人がいるからこそ、良い人は良い人でいられる。
    この町においての悪は——シグ。シグがいるからカタナは良い人のままでいられる。ほかの人たちもシグを悪者にし、糾弾することで正義の味方の気持ちになれる。それはシグ自身が望んだことなのかもしれない。でも——。
    「こんな構図、もううんざり」
    理由なんかとっくの昔に忘れたけど、わたしも悪い人の側だったから。わたし以外は全員、良い人だったから......そんな世界の続きを見せられているようで気分が悪い。
    「なーぉ」
    シラタマがスカートを引っかきながら鳴く。
    「はは......シラタマは、どっちでもないか」
    顎の下を撫でてやるとシラタマは気持ち良さそうに目を細める。
    そう、シラタマは良くも悪くもない。歓迎会で早々に退席したアヤノという少女には近いものを感じたが、彼女もたぶん中間。わたしが知る、わたし以外の悪い人は一人だけ。
    「シグ、何してるかなぁ......」
    薄暗い部屋を眺めて、一人呟く。
    いつものようにソファに座って漫画を読んでいるのだろうか。それとも何か、わたしの知らないことをしているのだろうか。”

  • 個人的にはイマイチで、途中で読むのを止めてしまった。印象が薄くて個性に欠ける。

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著者プロフィール

代表作に小説『銃皇無尽のファフニール』、『RIGHT×LIGHT』、『ノノノ・ワールドエンド』など。

「2019年 『たった一人の君と七十億の死神(3)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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