- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094513936
作品紹介・あらすじ
わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は"妖精さん"のものだったりします。そんな妖精さんと人間との間を取り持つのが、国際公務員の"調停官"であるわたしのお仕事。壊滅状態となったクスノキの里の人口は激減しました。そんななか、わたしの祖父は、好事家の貴族に誘われて旅行に出かけてしまいます。行き先は-月。念のため、丸まり状態の妖精さんをひとりお供につけたものの、心配で不眠症になってしまったわたし。不思議な夢を見ることに…。
感想・レビュー・書評
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前作で失った、ほのぼの感が戻ってきた。
最後の最後で不吉なフラグ立っちゃったけど。
しかし、妖精さんがあまり目立ってなかったっぽいのが残念。
次こそは、次こそはきっと妖精が活躍してくれるはず…… -
妖精さんに仕事をさせてもさせなくてもトラブルが起きることは避けられないという千日手の日々。拡張現実がテーマなので「電脳コイル」とか「この空のまもり」みたいになるかと思ったら、レオ・レオーニの「平行植物」に行ってしまう予想の斜め上を行く展開。あなどりがたし(二重線)。
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『人類は衰退しました』第8巻。
『妖精さんたちの、ゆめであえたら』
モニュメントの暴走で壊滅状態となったクスノキの里。近隣の里や国連からの支援により住民らは支障なく生活を送ることが出来ていたが、手厚い支援に依存してしまい一向に里の復興が進まない。そんな里の状況に、支援者からは苦言を呈され、住民は次々と里を去ってしまう。逆子の妊婦からは医者の手配を求められ、更には、祖父が参加している往還シャトルの試験運用中に、シャトルと連絡が取れなくなったとの手紙が届き・・・。重なるプレッシャーで不眠症となった"わたし"は、妖精さんから睡眠剤「ラクッコピコリン」を貰うが、これが里復興計画の一環で進めていた「拡張現実(AR)」事業と混ざり合ってしまい―――。
辛い現実から逃げようとする人々を目覚めさせ、そんな世界に生まれてくることを躊躇する新しい命を「大丈夫だよ」と優しく迎え入れる物語。手厚い支援に依存して里の復興を進めようとしない住民の姿が、高度な科学技術で便利になり過ぎ無気力となる人類の姿に重なってしまった。これが「人類が衰退した」原因なのだろうか。
妖精さんの助けを借りるも、最後は"人類"の力で乗り切る。しかし、厳しい現実が終わることはない。不穏なラスト。次巻が本編の最終巻。果たして人類が衰退した原因とは、妖精さんとは―――。 -
里の復興と夢逃避。
音信不通となる祖父と押し寄せる仕事。
そりゃ現実は楽しいことばかりではないので夢世界へ逃避したくもなります。
ただ主人公は夢に浸かるわけではなくしっかり向き合っているのがすごいなと。
そういえば拡張現実って時々話題にはなるけど使われないですね。
不穏な終わり方で次がラスト。 -
今回は、人口流出に悩むクスノキの里に拡張現実の技術がもたらされ、妖精たちのつくり出した万能睡眠薬とあいまって、人びとを不思議な体験に巻き込んでいくことになります。
主人公の少女たちの努力の甲斐があって、けっきょくクスノキの里の人びとは現実世界への帰還を果たすことになるのですが、説教臭さを感じさせずネタに徹しているところが、個人的には気に入っています。
そしておじいさんの運命はどうなるのか、次の最終巻の展開が気になります。 -
妖精さんの弱点は深刻すぎる状況か…。
ハッピー値が下がりすぎるから無理なんだろうな。
その前に何とかするか、ひどい状況でも無理矢理ハッピーにしちゃうか何かしないと、そのままリアルに終わっちゃうんだな。
コントロール難しいね。 -
[評価]
★★★★★ 星5つ
この巻を読むとあまり仕事をしていないように見えるおじいさんの存在がわたしちゃんを支える大きな柱となっていたんだなと強く感じた。
ぬるま湯に使った状態がどれだけ危険なのかということをありありと示しているように読めた。また、人が深層意識で繋がっているという考え方と仮想現実が繋がったのも面白かった。