血潮の色に咲く花は (ガガガ文庫 き 2-1)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094514872

作品紹介・あらすじ

『宿主』救済,それは青年の贖罪だった。

いつの頃からか、この世に現れた人間に寄生する妖花。その花に寄生された人間――『宿主』は頭から花を咲かせるようになる。しかしこれは花の本体ではなく、仮花と呼ばれるもの。おそろしいことに『宿主』は、本体の花を咲かせることこそ己の第一の使命と思うようになり、花の咲くときが来れば、自らそれに適した場所へ向かう。つまり花に操られて行動しているのだ。
花の命を繋ぐこと。それが花と、花に操られた『宿主』にとっての至上命令。
だから『宿主』を殺すことを生業にしているルッカが、憎まれるのは必定。しかし、それはルッカにとって酷く悲しいことだった。救えども、救えども、ルッカは恨みだけを背負っていく。どれだけ拒絶されようとも、ルッカはかつて人間だった頃の彼女たちのためを思い『宿主』を狩り続けていた。
そんなある日、ルッカは街で花を咲かすことと、もう1つの目的をもった『宿主』の少女・リディと出会う――。


人に寄生し成長する妖花の存在する世界。そこで織りなされる『宿主』の少女と妖花を狩る青年の物語。
アニメ『まどか☆マギカ』などで知られる新房昭之監督が選んだ第8回小学館ライトノベル大賞審査員特別賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 一貫して花というモチーフを存分に使っているのは見事。飲むと葉脈が浮き出る身体強化の蜜虫、花に寄生された宿主などはイメージしやすく、世界観の設定は非常に面白い。文章も上手く、かなり丁寧に描かれた印象がある。ただ、主人公の動機が始まりから終わりまで通して他者依存が酷く、いまいち行動理念に説得力を感じなかった。寄生する花という設定は、リチャード・マチスンの往年の吸血鬼もの『地球最後の男』を彷彿とさせるが、人間と宿主の違いがあまり浮き彫りにならず、半端に優遇措置を取られているせいか、かなり弱い。単純な二項対立に収まらない広がりがあるのは評価できるが、そのせいでカタルシスが若干損なわれた部分もある。恐らくは宿主が人類にとって危険であるという認識が伝わり難かったのが原因だろう。そのせいで宿主を狩る側の主人公の葛藤に共感できず、単なる人殺しのようにしか思えなかった。罪を背負い、さらにその先も背負っていくというのはやはり重過ぎるように感じる。

  • 妖花に乗っ取られた元人間を狩り続ける主人公の壊れっぷりや、結構血なまぐさい雰囲気が良かった。ただ、結局のところ人間としての夢は潰しているわけだし、その辺り放っておいて自己を主張するリディとか、罪悪感で押しつぶされるだけのルッカとか、最後の展開にはあまり納得感がない。

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