- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094518788
作品紹介・あらすじ
付き合って初めて、わかること。
冬。彼女である菊池さんとすれ違ってしまった俺は、言葉を重ねてもう一度心の距離を近づけようとする。
そのなかで、俺は自分の業とも呼ぶべきものに向き合うことになる。
それは、今まで気付かなかった菊池さんの一面をも明らかにして――。
弱キャラのままでは絶対に気付かなかったこと。気付けなかったこと。
そして、俺にとっても菊池さんにとっても特別な、日南葵という存在。
俺は初めての彼女と、この難問をクリアすることができるのだろうか。
人生のバイブル的青春小説、待望の第9巻!
感想・レビュー・書評
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紆余曲折あったけど、友崎と菊池さんは無事お互いを選ぶことができたと同時に、日南の秘密がだんだんわかってきた巻だった。
友崎との会話を通して日南の本質を見抜いた菊池さんもすごいけど、全ての行動に理由があって、合理的に行動している日南の凄さにも驚いた。日南が今後どういう結末になるのか楽しみだな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まだ再読中ですが、今日中には読み終わるので。
……なんですが、どうしてこれをもっと何度も読み込んで来なかったんだろう。刊行された時に一度読んでから、1年も置いといて、新刊に合わせて読み返しただけでは、咀嚼しきれない。
これまで物語の土台にあったものを一度壊すために、友崎文也と日南葵の主役コンビに徹底的に揺さぶりをかけるのみならず、そこに菊池風香の“小説家としての業”(まあ、これも示唆されていたといえばされてはいたけれども)までも叩き込まれて、これを中途半端な読み込みのまま新刊に向かって大丈夫か、不安になる。
主役コンビが「友崎文也の人生攻略」に乗り出したとき、一人は根拠もなく自分の感性を信じていて、一人はガチガチに自分の中に根拠を求めていた。──一言で表すとそういうことなんですけど、これ嚥下するには、私の能力では本来は2周じゃ足りない。
まあ、菊池風香さん、ちょっとばかし推理力がチートすぎやしませんか?という気は正直するけど。
この段階で話を進めるために置かれたキャラクターなのだとしたら、周到すぎる。 -
【自ら抱える業に気付いた時、その関係は意味を変える】
アタファミのオフ会に参加し、初めての彼女である風香を嫉妬させてしまった友崎は、改めて取捨選択を行う物語。
風香との関係性にどう接したら良いか悩む友崎。
在るべき理想と己の裡に湧き出る矛盾。
それは今まで深く人と関わろうとしてこなかった友崎の業。
風香を大切にしたいし、本当にやりたい事もしたい。
しかし、友崎の時間も限られた物だから全ては選べない。だが、理由がなくとも変化出来る友崎は強い人間で。
弱キャラと揶揄していた己から脱する時、風香と正真正銘の関係を築けるのだ。 -
8巻ラストにて一波乱呼びそうな終わり方をしたものだから、この巻では恋人なら有りがちな問題に対して友崎と風香がどのように向かい合っていくのかという点を描いていくのかと思っていたのだけど、9巻で描かれたのは深く内面をえぐり出し二人の関係に罅すら入れかねないものだったね
友崎と風香ってとても理屈っぽい所があって、その上で自分の世界や価値観を明確に持っている。
そもそも二人の馴れ初めは一歩引こうとした風香に友崎が魔法を掛けるかのように風香の認識を変えて自分達が付き合う事への納得を齎したためだった。一方でそれは言葉巧みに風香の認識を変える事で向き合わなければならない問題から目を逸らすものだったのかも知れない
付き合った状態になっても理由だとか形式ばかりを追い求めてしまう傾向が見えた友崎と風香
それは付き合い始めたばかりで擦れ違いもある初々しい二人にとって自然な在り方だったのだけど、でも付き合い始めたそもそもの理由に歪さがもし有ったのなら…。その歪さのせいで苦しみが生まれてしまうなら…
それはきっと理屈っぽい二人にとって耐え難い状態になってしまったのだろうとそう感じられた
友崎は自分の世界を広げる為に人付き合いを増やしていた。風香は小説を書き進める為に人間観察を深めていた。ポポルと炎人のように本来は異なる世界に住む二人
友崎が風香の隣に寄り添った事で二人の関係は始まったけど、友崎は風香の隣にだけ居たい訳ではないからどうしても風香を置いてけぼりにしてしまう場面が生じてしまう。それは風香に寂しさを覚えさせてしまうし、その時に友崎の隣にいるのが日南であるならば、付き合い始める前に懸念した風香が考える『世界の理想』に近い光景が展開されてしまう
ここで厄介なのは友崎にとって捨てようがない大事なものが幾つもあった点
風香の事はとても大切だけど、アタファミはもっと大切だし、日南との人生攻略も捨て難い。そんなに大切なものが幾つも有るなんて欲張りであるように思えてしまうけど、風香は世界を広げていこうとするそんな友崎を好きになった
だから風香の前で友崎は自分の思うようにこそ行動するのが正しいのかも知れない。それは一方で友崎が日南とより深く向き合っていくという事であり、風香に苦しい想いをさせてしまうという事であり…
ゲーマーとしての業、人生攻略の中で日南から与えられた沢山の価値。それらは風香ではなく、日南へ向かってしまう友崎の本心であるという点が友崎と風香の関係性を一層痛々しいものに見せてしまう
だからそれらの問題を解決して風香と円満になる為には何かを本質から変える必要があって
それがまさか人生攻略の中断、ひいては友人関係の消滅へ向かうとは思わなかった!友崎はここまで風香の事を大切に想っているんだね……
取捨選択と言う意味では正しい選択。けれど、それは前述した『風香が好きな友崎』から外れてしまう行為。この選択すら否定されると友崎に取れる方法なんて無いように思えていただけに、ここで風香が一歩踏み出してくるとは思わなかった!
理屈や理想を抜きにして恋人でありたいなら、友崎だけが決断する関係なんて間違っている。二人の関係は風香が選んだって良い
そして『世界の理想』ではなく意志によって二人の関係を決めようとするなら、そこに理屈や理想なんて要らない。ただ「自分はどうしたいか?」という一点だけで考えればいい
それに納得できたから二人は無事に恋仲に収まり、恋人としてのステージを一段上げる事が出来たんだろうね
友崎と風香の問題が解決された後に提示された一つの真実。日南が友崎を指南し続ける理由
その点については個人的にアタファミと『人生』を同列のゲームとして扱う事である程度説明は出来ると解釈してきたのだけど、まさかあのような思惑が隠されていたとは……
何処までも正しさを追い求め魔王の如き存在になった日南葵。けれど、この巻にて日南葵は強キャラではなく弱キャラではないかとの疑義が呈された。そして友崎こそが強キャラではないかと
立場が逆転し始めた二人の在り方。逃げた日南に対して友崎はどう向き合って、彼女に「本当にやりたいこと」を教えられるのだろうか? -
ずっとこの弱キャラ友達くんシリーズを読んできて、友崎くん(主人公くん)が一番考えられてる話だと思った。次巻も期待だね!