わたしはあなたの涙になりたい (ガガガ文庫 ガし 7-1)

著者 :
  • 小学館
4.33
  • (13)
  • (3)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 177
感想 : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094530810

作品紹介・あらすじ

これは、涙で始まり、涙で終わる物語。 全身が塩に変わって崩れていく奇病「塩化病」。その病で母親を亡くした少年・三枝八雲は、小学校の音楽室でひとりの少女と出会った。美しく天才的なピアノ奏者であるその少女の名は、五十嵐揺月。鍵盤に触れる繊細なその指でいじめっ子の鼻を掴みひねり上げ、母親の過剰な期待に応えるべく人知れず努力する。さまざまな揺月の姿を誰よりも近いところから見ていた八雲は、我知らず彼女に心惹かれていく。小学校を卒業し、ますます美しく魅力的に成長した揺月は、人々の崇拝と恋慕の対象となっていった。高校に進学する頃、すでにプロのピアニストとして活躍していた揺月はイタリアへと留学してしまう。世界を舞台にする揺月と、何者でもない自分との間にある圧倒的な差を痛感した八雲は、やがて小説を書き始める。揺月との再会はある日唐突に訪れた――その再会が、自分の運命を大きく変えるものになることをその時の彼は知る由もなかった。これは、涙で始まり、涙で終わる物語。第16回小学館ライトノベル大賞にて、最高賞である大賞を受賞。ゲスト審査員を務めたアニメ監督・磯光雄氏は、「審査なんかとんでもない。美しい物語をありがとう」と、本作へ最大級の賛辞を送った。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今年の小学館ライトノベル大賞(5年ぶり)
    舞台は福島県郡山市
    幼なじみの少年と少女の人生を語る物語
    一本の映画をみたような深い読了感と脱力感。ページの中にこれ以上ない生命力を感じる作品はいまだかつて読んだことはない、傑作。
    タイトル回収の時、本当にがち泣きした。
    審査員はこう言った。
    『一つだけ不満があった。タイトルがダサい。なんかどこかで聞いたようなタイトルで、ストイックな作風の作者が、この作品の主人公のようになにか読者に媚びた妥協をしたのだろうと思っていた。思っていたのに、ラストまで読んでその意味がわかって泣いた。最後まで読むとこのタイトルしか無かった。』
    しばらく読みなおす事はないだろう。決して分厚い本ではないのだがそのくらい疲れた。また数年後に会おう。映画館で
    これは涙で始まり、涙で終わる物語。

  • ぱっと見の「よくある難病もの」というコーティングを剥がしてみれば、根底にあるのは感動を消費することへの批判と、世の中に溢れる「泣ける作品」への肯定。
    特に災害や病気を当事者の意志関係なく勝手にお涙頂戴として軽く消費することについての否定は、揺月だけじゃなくて著者自身の気持ちでもあるんじゃないかなって思った。
    (著者さん、地元郡山でなんかそういう嫌な目に遭ったのかな……)

    もちろん素直に難病ものとして読むのも正しい楽しみ方だと思う。
    この小説自体が「泣ける作品」のガワを纏っている以上、読み手が感動したならそれもまた「アリ」な読み方なんじゃないかなって。

  • わたしはあなたの涙になりたい
    著作者:四季大雅
    発行者:小学館
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    facecollabo home Booklog
    https://facecollabo.jimdofree.com/
    小説家。福島県出身2022年「わたしはあなたの涙になりたい」で第16回「小学館ライトノーベル賞」の大賞を受賞しデビューを果たす。

  • 全身が塩に変わっていく「塩化病」で母を亡くした少年・八雲は、同じ小学校に通う天才ピアニスト・揺月と出会い心を通わせていく。
     はい、難病モノです――なんですが、色んなところで指摘されている通り、そういう自分たちの境遇を「感動ストーリー」として消費されることの忌避感が繰り返し語られるところに特異性があります。
     ただし、それと並行して様々な場面でドラマツルギーそのもののような展開が描かれていき、最後に「多くの人に伝えるための物語化」を肯定的に捉えるところに落ち着くあたり、作者さんの中にも複雑な思いがあるのかなぁとは感じました。
     個人的には、ショパンコンクールまでの筆致は素晴らしいなーと思っていたんですが、ファンタジー難病モノ展開に入ってからは、随所にこの手の話によくある典型的な展開が目白押しになり(上のようなテーマ性をもって書かれた話なのでしょうがないとは思いつつ)、正直鼻白んでしまうものがありました。この作者さんならファンタジー要素を入れなくても同じもの(あるいはそれ以上のもの)が書けたと思うので、そこは強く残念でした。
     あと、エピローグであのエピソードがやりたかったのはわかるんですが、最後までヒロインにあの出来事の謝罪をしなかった主人公は、個人的にどうかと思いました。ヒロインの父親への彼のセリフも…。
     それも含めて、類型的な展開が増える後半が、前半に比べて雑に感じてしまったというのはありました。

  • 舞台は福島県郡山市。
    福島、、、、となると、タイトルとあいまって震災が題材かなと思った。ピアノを弾く少女が表紙なので、あの「奇跡のピアノ」かな、と思った。
    ダイビングシーンがプロローグにあるので、
    震災で沈んだものを連想して、なおさらそう思った。(震災の物語、ではなかった)
    2022年、今年の夏の高校野球。ベスト4まで勝ち進んだ聖光学院の野球部が実名で出てくる。
    主人公八雲の母が、塩化病という難病にかかってしまうところから物語は始まっていく。
    震災や聖光学院、太宰治の『トカトントン』や、
    ショパンコンクール、ワルシャワ侵攻、という本物が出てくるので、塩化病がなんかポーンと突き抜けた不思議な感覚だった。
    天才ピアニストの揺月との出会いと成長。
    母を失い、心のよりどころを揺月に見出していく八雲。揺月もまた、八雲は心の支えだったようで。。。その後イタリアに留学した揺月は、塩化病になってしまう。。

    私としては、清水のエピソードと、ポーランドワルシャワ(ショパンの物語)がいいなと思った。
    軽さと軽やかさの違い、という文章があって、
    揺月の魂は軽やかだけど軽くはない、と書かれていた。なるほどなと思った。

    たまたま重なってしまったのだろうが、
    戦禍のワルシャワは現在のウクライナを思わせ、
    さらに聖光学院が出てくるので、それら「現在」と
    震災という「少し前の過去」が、実生活の時間の経過という妙なリアリティを持って、
    病でも戦でも災でも、愛するもの(人も街も、腕や足も)が失われるということ、を私に突きつける気がした。それらを何か別のことに利用する是非も。

    ただ、あちこちに小さな違和感があって、ん?と、ひっかかると、スッと引き戻される気がした。
    たとえば、母を失ってひとりになった小3の八雲が
    ひとり暮らしをしてる違和感。これは父のところに行くか施設に入るとこだよなと思ってしまう。
    (児童相談所に保護される案件だわ)
    揺月を失って家に引きこもるにも、大量の食料を買い込んでいるところも違和感。
    憔悴してたら食べることなんて考えないと思うが、、、と思ってしまった。
    連絡がつかなかったら心配して家に来そうなものなのに、2年もの間、清水も父さえも来ないのかという違和感。とか。。

    ともあれ、読んでいてピアノの調べが聴こえる気がしたし、
    あの義手や義足は本当に出来ればいいなと思うし、
    揺月のビデオはすてきだった。ラストで初めてタイトルの意味がわかった。
    リアルとファンタジーを合わせた「濃い」物語だった。

  • 紛うことなき名作。
    「ラノベ」の枠組みで、ここまで大いなる感動を味わえる作品は他に無いと思う。誰もが絶賛することが納得の、素晴らしい作品でした。
    時間が飛び飛びに展開する作品で、各時間軸におけるエピソードが終盤に向かって収斂してゆく様は見事。
    奇抜な展開は無く、正直ほぼ予想通りの展開であったのだが、それにも関わらず感動を得られたのは、ひとえに、登場人物への共感しやすく描かれているからであろうか。
    塩化病から、塩の街(有川浩)を連想し、なーんとなく避けていたのだが、正直、勿体なかった。

  • 物語的には面白かった。
    少し残念なところは、地元に寄り添って地区名や場所の名前を出しすぎて、福島県の地理がまったくわからない人にはあまり優しくないような気がした。
    また、冒頭で世界に数例と言っていた塩化病を主人公が2回も体験するのも作り物感が増して泣けなかった原因かもしれない。

  • 913-S
    ラノベ別置

  • 泣いた。涙で始まって涙で終わるって書いてあったから2回も泣くのか…と思ってたけど最後だけ泣いた。揺月ちゃんの優しい、でも自分の芯がちゃんとあるっていうところがかっこよかった。八雲くんはとてもダメダメだけど素直な所もあって優しいんだなぁ~。と思う所が多かった。柚月ちゃんが死んでしまうときの八雲くんの優しさが包み込まれるようで優しい涙になった。どんな人でもこの本を読んでいるときは優しくなれるような気がした

  • 私にとっては美しく無邪気(真っ直ぐ)な恋愛小説?でした。

    あちこちで、泣けるというレビューがあるように泣ける要素は盛りだくさんですが、この手の話をいろいろ読んで耐性がついているからか、泣けず。

    ただ、大切な人がいつも当たり前みたいに側にいてくれることの幸せを実感できる作品だと思いました。

    そして、大切な人をなくしても、幸せに生き続けること。

    きっといなくなった大切な人たちの願いはこの作品のようなものなんだろうなと思いました。

    ↓以下、本作品のpopに私の感想が引用された部分です。ガガガ文庫様、素敵なpopにご引用いただきましてありがとうございました。

    『いつも当たり前のようにいる大切な人はいつか必ずいなくなる。大切な人との時間は大切なんだと改めて思える作品です。』(ジジ)

全12件中 1 - 10件を表示

四季大雅の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×