夏に溺れる (ガガガ文庫)

  • 小学館 (2024年8月20日発売)
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感想 : 7
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  • 本 ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094532043

作品紹介・あらすじ

十八、終わる夏。私は誰かを殺すことにした

「母さんを殺してきた」――夜凪凛が、元クラスメイトの夏乃光から衝撃的な告白を受けたのは、夏休み明けの8月24日のことだった。

凛が光と出会ったのは遡ること1年と1か月前の夏のこと。
当時、不登校だった凛は退学届を提出するためだけに高校を訪れた日、四階の窓から飛び降りようとしている男子生徒と出くわした。成績優秀で眉目秀麗、学校内ヒエラルキーの頂点にいる男子、夏乃光だった。
小説や映画などの好みが似ていた二人はLINEのやり取りで親交を深めていく。やがて凛は、光が親との関係に悩んでいることを知る。友人関係に悩んで退学を決めた凛だったが、半年間休学して四月から再び二年生として学校に通うことした。

――そして、夏休み明けの始業式の朝、遅刻して登校してきた凛のことを駐輪場で光が待っていた。母親を殺してきたと告げた光は、凛を連れて逃避行を始める。
これからどうするのかと問う凛に、光はあるゲームを提案する。それは、八月が終わるまでの七日間、一日一人ずつ交互に殺したい人間を殺していくというものだった……。

行き場を失くした二人は凶器と化す。瑞々しい感性で描かれた青春の危うい側面。第18回小学館ライトノベル大賞 大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  •  「母親を殺してきた」

     イケメンで成績優秀な高校3年生の夏乃光が元同じクラスである理由から1年留年したヒロイン夜凪凛にそのことを伝えたのは、8月も終わる1週間前。

     2人が出会ったのは1年1ヶ月前の教室で、知らない仲ではなかった二人が、18歳最後の夏の1週間をあるゲームに捧げる。

     果たして、そのゲームの目的とは?

     かなり尖ったボーイミーツガール、いや、ガールミーツボーイです。

     夏に溺れるというタイトル通り、いろいろ溺れてるなぁと感じることができる作品だと思います。

     偶然にも読了できたのが、8月31日。

     本作品にとって8月31日は大事な夏の終わりの日ということに運命を感じつつ、思ったことを書きますと…

     正直、私はこの2人の心情はさっぱりわからんという感じ。

     ボーイミーツガールって、私の中では爽やかなイメージありますが、そんなことはない。

     そういう感じのものを期待していると

     「なんじゃこりゃ〜!」

     となると思います。

     これはなかなか手強いのをガガガ文庫さん、大賞に選んだなと。

     ただし、こういう切り口で18歳最後の夏っぽい青春を描くのかぁというくらいに読後感の驚きは凄い。

     私が深海におぼれているかのような息苦しさを感じました。

     自分らしさとは何なのか?他者との関わりの中での自分などなど、対人関係で悩んだり、うまくいかずに落ち込むことってあると思います。

     そういう悩みがあるたびに、

     自分は他人とうまく付き合えない人間じゃないのか?普通の人とは違う人間らしさがないのでは?

     と悩むことってあると思います。

     そこで、思うわけです。

     普通の人ってなんだろうか?

     他人とうまく付き合えることが人間らしさなのだろうかと。

     誰も悩むことであり、そして、他人とうまくやれて羨ましいなと思うことだってありますが、そんな羨ましいあのひとも普通の人なのだろうか?

     そんなことを思いながらも、終ってほしくない夏に溺れていく作品なのだなと思いました。

  • 感想
    一度しか来ない今年の夏。わかっているけど暑くて何もできない。でも事件は向こうから頼んでもいないのにやってくる。いつの日か思い出になる。

  • ただの恋愛小説にならないように作者さんが設定を工夫してズラしてくれているのはすごく伝わったのだけど
    …やっぱり共感できない点が多かった。

    まず、本作の重要なシーンである主人公が男子生徒に「殺人」を誘われる場面。
    まず男子生徒が「母親殺してきちゃった☆」と言ってきた時点で僕ならドン引きなわけだけど、主人公は割と冷静に受け止め、さらに「一緒に逃げよう!なおかつ、おまえも人殺ししちゃいなよ☆」と提案されて、あっさり「うん^_^!」となる展開にはついていけなかった。

    おそらく作者さん的には主人公も、男子生徒も、お互いが認識していないだけで強く惹かれあっていた。しかもそれは恋愛感情とは違った異常な感覚なんです!などと言いたいような気がするのだけど、読んでいる限りでは二人の行動に説得力はなかった。

    あともう一つ文句を言っておくと、男子生徒は主人公の「深海のような仄暗い瞳」に惹かれた、という設定になっているけれど、言うほど主人公は特殊な人間か?と疑問に思った。
    ちなみに主人公の瞳の魅力に気づいたのは男子生徒だけではなく、モブキャラの男子も「なんかあいつの目かわいくね?」と気づいている。この描写のせいで、主人公の瞳の特殊さについてずいぶん価値を下げてしまったように感じた。

    作者さんのやりたい感じはすごく伝わってくるのだけど、個人的にはディティール、特に登場人物たちの性格、行動などがまったく納得できなかった。

    というわけで☆2つ。

  • 店頭選書本
    913-A
    文庫(別置)

  • 913/ア

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