列島創世記 旧石器・縄文・弥生・古墳時代 (全集 日本の歴史 第1巻)

  • 小学館 (2007年11月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (370ページ) / ISBN・EAN: 9784096221013

作品紹介・あらすじ

新たな視点から我が国のたどってきた道を見とおす。
歴史の楽しさを続々発見できる全16巻。

【本全集の特徴】
●最新の研究成果を盛り込み、新視点から歴史を描く、日本通史の決定版。
●世代を超えて楽しめる記述。理解を深める写真やイラスト、図解も豊富。
●庶民の生活や文化にも注目し、現代社会につながる生きた歴史に迫ります。
●新しい日本の歴史の幕が開く。執筆陣は次代を担う歴史学者たち。

感想・レビュー・書評

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  • 旧石器時代・縄文時代・弥生時代・古墳時代それぞれにおける、人々の思想的な営みがよく理解できた。本書で扱う原始時代という時代は、文献資料がない時代ということで、古代以降の歴史と比べて当時の人々の理性的・人間的な部分を軽視してしまいがちな時代であると思う。しかし、そこには人間の理性の萌芽ともいえる「文明」が存在していたということを本書を通じて実感した。

    原始時代人の理性のどのような部分が、今を生きる現代人と共通しているのかに注目していきたい。

  • ・700万年前に猿人が出て、15万年前に新人が出る
    ・旧石器時代にも農業をする動きはあったが、定着しなかった
    ・2万年前は寒冷化のどん底。瀬戸内海は陸地となり、日本海は対馬と津軽で外海とつながる内海となった。狩猟・解体・加工に特化したナイフ形石器の登場。
    ・1万5000年頃に温暖化していくと、ナウマンゾウやオオツノジカといった大型の動物は消滅。ナイフ形石器から実用性にこだわったフットワーク重視の社会orデザインに拘ったネットワーク重視の社会の登場。
    ・結局、縄文時代はネットワーク重視の時代となった。
    ・各地域、とりわけ東日本では獲得・加工・貯蔵の技術が個別化。共有された知が目に見える形となって現れる文化となる。物資流通ネットワークが形成される中で、デザインに凝った土器の登場。無文字社会において、デザインこそがアイデンティティーの表明となる。
    ・「凝り」は個々人感の差異を助長する方向に働く一方、環状のモニュメントは平等志向。
    ・BC3000〜2000年頃、再び寒冷化。これが内からの弥生化と外からの弥生化をもたらす。前者では、集団よりも個々人のイニシアティブが重視されるように。後者は、四大河地域に端を発する、自然と人を支配する文明型文化である。北九州や北海道・東北北部では外からの弥生化が早くから進んだのに対し、中部・関東での進みは遅かった。
    ・農耕は人口の増加をもたらす。北九州では資源を巡る争いが増え、人々が互いに寄り合うことでムラ→クニの動き(強い集団が弱い集団を征服していく説に否定的)
    ・BC300〜100年頃の弥生中期には、温暖化。北九州で大酋長、北海道で副葬のピーク、近畿・東海で環壕集落が大型化。
    ・紀元前後から弥生後期、古墳時代にかけて寒冷化。鉄器を取り入れることで、農業生産の衰退に対応。世界的に見るとゲルマンの大移動の時代。
    ・鉄を軸とした流通経済のシステムへ。大酋長は遠距離交渉の窓口となる。同列的なムラから、鉄の流通拠点となる大きなムラを頂点に、階層的なクニへ。
    ・まとめると、弥生後期にかけての寒冷化でムラからクニへ、石から鉄へ、墳丘墓の出現、青銅器の大型化と消滅。
    ・3c半ば、箸墓古墳の登場。鉄を軸とする外部物資の交易圏をめぐり、大酋長同士の利益を調整する人物(=倭王)が共同で擁立される。
    ・5c半ば頃には列島の鉄需要が満たされる。倭王や大酋長の権威が低下。古墳の衰退。この支配体制の再編成を経て、律令社会へ。

  • MT4a

  • 図書館から借りました。
    石器時代~古墳時代までの文字記録のない時代の日本の社会の様子を、花粉による気候の変化や出土物から考察する、というヒューマンサイエンスの見地から解説した歴史書。要は、歴史が転換する時は、とても温暖になったりとても寒冷になったり、と気候の変化に因るとことと、縄文土器のように道具にも「凝り」が見られるのは、その社会に取っての何かの共通言語のような役割を果たしていたのではないか……など、なかなか興味深い内容であった。

  • 古代の日本列島の社会はすごく多様性がある。この本はそのことをわかりやすく説明してくれる。

  • この書籍は、日本列島の歴史と言いますが、日本史の創造期の旧石器時代から古墳時代までの長い期間を2007年まで解っている範囲までを解説されています。
    未だに謎多き「旧石器時代」。ちょっと解り易くなった「縄文時代」を前後。「弥生時代」も前後。「古墳時代」は全期にして、縄文と弥生は近年の研究で繋がりがあるのでつながるようになっています。

  • ☆縄文遺跡での小グループは出自別ではないかとのこと。古墳の埋葬品から、被埋葬者は神格化されていたとする。

  • 日本列島の旧石器時代から縄文、弥生時代までを認知考古学という新しい手法で述べた試みである。認知考古学では、当時の人々の考え方から考古資料を読み解く。例えば、縄文時代は平等ではなく競争社会だったが、それを合理化するための儀式として土偶や祭具が使用されたという。

  • 考古学者である著者が、ヒトの確かな足跡が発見される旧石器時代から、巨大古墳が築かれる5世紀までの4万年の日本列島の歴史を文字の記録に頼らず、物質資料のみで描いた大作。

    何より新鮮だったのが、歴史科学の再生において「認知科学(ヒューマンサイエンス)」をベースにし、人の心の普遍的特質から人の行動を考古学的に説明しようとした点。文字のない「物質」と「人の心」から読み解く考古学の世界は、自分が想像していた以上に惹かれるものであった。

    無文字社会の人、もの、心のあり方とは?そもそも宗教というものはあったのか?日本という国はどうやって形成されていったのか?

    こういった素朴な疑問に対し、なんらかの新しい発見がきっと見つかるはずである。

    架空の存在への信仰、美、芸術に満ちた世界。

    5万年前も今も変わらない、人間の本質というものに気づかされる。

    <以下引用>
    考古学研究者が「画期」「革新」などと呼ぶような変革の多くは、実際には何十年も、何世代もかけて徐々に進んだ小さな変化の積み重ねであることが少なくない。このような小さな変化の積み重ねこそ、歴史が動くメカニズムであり、そこに人類史の本質がある。

  • 文字による記録がほとんどない5世紀までの日本古代史について書かれた本。

    文字資料がない、つまり物質資料しかない時代における社会のあり方や人々の心を読み解こうというのが、本書の趣旨となる。認知考古学という学問があるというのを初めて知った。読み物として非常に面白い。まさにこんな本を読みたかった。

    たとえば。地球が寒冷化した時期には無個性なツルンとした土器が増える。なぜか?寒くなると食料が得にくくなるため、同じ場所に定住するのが難しくなる。結果、人の移動が増え、文化の交流が生まれる。これが土器の無個性化に繋がった。。。

    面白いけど、推理ゲームの感はある。その説の裏づけとなる証拠を見つけるのは難しそうだ。同じ物的資料からでも、研究者ごとにバラバラな結論が出そうな気がする。

  • 2014.2.10
    新しい日本史
    非文字社会を解いていく方法が示されている
    何度もまとめてくれるので、読みやすい。まだ理解はできていないので、折った部分を読んで整理する必要がある。あとがきを読んでから、再読。
    このシリーズは面白そう。

  • 縄文中期の信州・諏訪のあたりがとても気になっている。
    当時の日本全体の人口が仮に(通説で)26万人ほどだったとして、諏訪、茅野周辺から関東にかけて多くの縄文人が暮らしていた。縄文銀座のようだったのではないか。
    黒曜石の採取地、それと気候、このあたりの謎を解く鍵がある。

  • 松木先生の書く文書はほんとにおもしろいです。
    大学入学直前に読んで夢をふくらませた一冊。
    しかしいざ発掘・整理作業・卒論等をやっていくと、なんだかこの本のイメージからかけ離れてしまっているのが現状 笑
    もう一度読みたい。

  • 旧石器から古墳時代にかけての数万年を一人の著者が述べるという野心的な歴史書。まだ文字をあまり使わない時代であるため歴史の詳しい部分を語ることができないのはもどかしいが、異物や遺跡を通して断片的ながらと応じの状況を垣間見えることができる

  • 歴史・地理

  • 07年11月配本開始となった、日本史シリーズの第1巻。発掘されたものの紹介や、歴史的事実と目されている情報の羅列にとどまらず、認知科学的な観点からヒトの頭脳や能力の発達過程が検討されている点が非常に興味深く、刺激的である。
    書き手の情熱が相当にこめられた生き生きとした文体も好ましく、日本史や考古学の書物にあまり馴染みのない私も、早くも第2回配本が楽しみになった。

  • [ 内容 ]
    四万年の歩みを一気に描く新しい列島史。

    [ 目次 ]
    第1章 森と草原の狩人―旧石器時代
    第2章 海と森の一万年―縄文時代前半
    第3章 西へ東へ―縄文時代後半
    第4章 崇める人、戦う人―弥生時代前半
    第5章 海を越えた交流―弥生時代後半
    第6章 石と土の造形―古墳時代

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 著者は<はじめに>で先ずこう語っている。
    「この巻で描きだすのは、ヒトの最古のたしかな足跡が確認される旧石器時代から、巨大古墳が築かれる五世紀までを中心とした,およそ四万年間の日本列島の人びとと社会の歩みだ」
     縄文時代には,物質資料のみで文字資料はなく、弥生時代以降は両者があるが、「四万年を一貫した方法論で描くには,文字記録によらず、物質資料のみを対象とする必要がある」

    この著述にあたって著者は三つの指針を掲げる。
    第一は、歴史科学の再生。
    かつては史的唯物論が歴史の解釈と展望について最大の試みだったが,二十世紀後半以降、人間自体の科学的探求である、認知科学−ヒユーマン・サイエンス−が長足の進歩を遂げた。
    この著作は,認知考古学の成果をもとに、その方法論を軸として新しい人類史と列島史の叙述をめざす、とされる。
    (この方法論については、史的唯物論を止揚するかの記述だか,よく判らないものがある・・)

    第二は,地球環境の変動が歴史を動かした力を,もっと積極評価することだ。
    「生産力の発展」という大出力エンジンで歴史街道を驀進して来たということではなく,環境との対立と妥協を繰返しながらこつこつと歩んで来た旅人としての、人間の軌跡を辿ること,とされる。
    (「大出力エンジン」と称される史的唯物論的手法に代わる環境論かも知れないが,本来対立するものではないように感じられる。史的唯物論をきわめて単純化することで、認知科学の効果を説こうとする著者の方法はやや疑問)

    第三,「日本という枠組み」を空間的にも、歴史的にも固定したものとして捉えないこと。そういう枠組み自体が歴史的な産物であり、せせこましい愛国主義ではなく、国際的にも客観的な知性が感じられるものにしたい、とする。
    (これはよく判る)

     さて本書第一章は<アフリカからの旅路>として、約十五万年前の新人の出現から、五万年前あたりからの「ほかの動物にはみられないヒト固有の複雑な認知と身体でもって社会を織りなしはじめ」た、という時代から始まる。
    以下内容目次は次のとおり。
    ○ 第一章 森と草原の狩人  旧石器時代
    ○ 第二章 海と森の一万年  縄文時代前半
    ○ 第三章 西へ東へ     縄文時代後半
    ○ 第四章 崇める人,戦う人  弥生時代前半
    ○ 第五章 海を越えた交流  弥生時代後半
    ○ 第六章 石と土の造形   古墳時代

    各時代の状況については、最新の考古学的発見分析により、現在日本列島とよばれる地域の具体的事例による叙述が詳細にされている。
    縄文と弥生の地域的移り変わり,青銅器と鉄器の出現の模様,北九州から北海道にかけての旧遺跡分布など、昔々に中学で習った単純なそれとはかなりに違う面白さ。このあたりは、既出の日本史通史の記述を新しくしたものだろう。

    旧石器時代を日本<歴史>に含むかどうかは別として,戦前の神話授業に占められていたこの時期を,科学的に解明する作業は非常に大切なことだ。この作業の意味は,昨今の「靖国史観」派の妄動を見てもゆるがせに出来ない。

    年表4ページを含む,約360ベージで、四万年をまとめあげた、この著作は読者に新しい発見を示し議論を促している。

  • 認知考古学、気候との関係など、これまで無かった視点での日本史が楽しめる。

  • 2008.01.11

    結構なボリュームで、ところどころ難解だった……。何年か考古学をやってた私ですらそう思うのだから、基礎知識がない人がいきなり読むときついかもしれない。

    でも、この本は、これまでにない新しい切り口で書いていて面白い。考古学はどうしてもミクロな視点で物事を考えがちだけど(なにせ、土器の縄文文様の縄目の組み方がどうなってるかが時には重要だったりする)、著者の松木氏は意図的にマクロな視点で見ようとしている。東アジアの中の「列島」という位置づけであって、これまでにありがちな「日本」というくくりでないところに好感を持った。図や写真も豊富で説得力がある。

    私が大学で教わった先生や、発掘でお世話になった先生や、卒論で真っ向から反対意見を書かせてもらった他大の先生(笑)等、懐かしい名前がたくさん出てきて、もう随分時間が経ったんだなあと思った(^^;

    それと自分でも意外だったのは、遺跡の名前とその特徴をまだ自分がしっかり覚えてたこと!
    遺跡名が出てくると、ああここは有名な絵画土器が出たところだ、高地性集落の代表例だ、でっかい掘立柱建物が出てる遺跡だ、甕棺が有名だ、水田跡が見つかったところだ、等々……。

    もうすっかり考古学からは離れたつもりでいたけれど、根っこのどこかに残ってるんだなあと、少しばかりくすぐったいような気持ちにもなったのでした。

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著者プロフィール

松木 武彦(まつき・たけひこ)
1961年愛媛県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。岡山大学文学部教授を経て、現在、国立歴史民俗博物館教授。専攻は日本考古学。モノの分析をとおしてヒトの心の現象と進化を解明、科学としての歴史の再構築を目指している。2008年、『全集日本の歴史1 列島創世記』(小学館)でサントリー学芸賞受賞。他の著書に『進化考古学の大冒険』『美の考古学』(新潮選書)、『古墳とはなにか』(角川選書)、『未盗掘古墳と天皇陵古墳』(小学館)『縄文とケルト』(ちくま新書)などがある。

「2021年 『はじめての考古学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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