日本の原像 (全集 日本の歴史 2)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096221020

作品紹介・あらすじ

遺跡や文字から読み解く古代社会の実像。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りました。
    日本に文字文化が入ってきた7世紀~10世紀、書誌情報ではなく、近年調査が進む大量の木簡や墨書き土器、荷札・立て札などの発掘物に書かれた内容から、当時の日本で何が起こっていたか、を考証した内容で、なかなかに興味深かったです。
    個人的に面白かったのは、米の品種が江戸時代とそんなに違わないらしい、ということと、当時の地名が今も残っているということ、米とその他の植物・特産品は別物であった、ということでしょうか。それにしても、奈良時代の政府の立て札のタカビーさにも、人々は黙って従っていたのが今の世から考えると不思議。きっと当時から、長いものに巻かれろ体質だったんだろうなあ。

  • この巻では、日本古代史の文化・自然と日本人の関係の解説です。

  • 2008年刊行。著者は国立歴史民俗博物館館長兼山梨県立博物館館長。◆考古学(とはいえ、木簡・墨書土器などの文字史料も含まれる)を基軸に据えた古代史(といっても対象時代は、広範で平安時代まで)を素描していく。◇時代史というよりテーマ史に近い構成。◆具体的には、①「日本」「天皇」号の成立時期。②米作の流入と浸透、改良。③水路、特に河川利用の道。④漢字。特に日中朝の異同。⑤租庸調雑徭と地域特産物。⑥国司・郡司制と地域支配の実情。地域都市の実態も。⑦中世への転換指標。◇中でも、⑥⑦が個人的にかなり新奇なネタ。
    ◆備忘録として。古墳時代には平地式建物が広く普及。古代日本のポンペイ(火山噴火で埋められた結果できた遺跡)たる群馬県黒井峯遺跡、西組遺跡、中筋遺跡。◇則天武后が制定した漢字は中国では残らず、日本では残存。徳川光圀の「圀」。◇中世への転換指標たる、道、貨幣、戸籍制度(籍帳制)の消滅、国府と郡庁の盛衰。◆変革の十世紀というまとめに大きく首肯させられる。

  • 日本の出発点である古代律令国家から王朝国家への転換までを描く。
    文字文化や稲作技術など目覚ましく普及、発展するもの。国家の形が変貌する過程で道路規模のように縮小するもの、戸籍制度のように消滅するもの。今は当たり前で当時は存在しなかったという「家」という概念。それぞれには意味があり、歴史に学ぶことは意義深い。

  • 日本の古代史部分を新視点ということで新たな切り口で眺めてみようという試み。
    イネの伝播については、古代では品種にこだわり最大収量が確保できる工夫があった。

  • 「日本の原像-全集 日本の歴史2-」の読書会 
    日付:2014/1/9 作成者:とことこ(大塚 拓)         
    〇感想
    ・ (P46)天皇の語源(宇宙を統治する天帝)と中国世界からの自立の意味。
    ・ (P59)日出ずる国、日神(大日如来)の国。説は色々あるが、これも中国世界からの自立。
          →天皇、日本は名詞、シンボル程度にしか考えていなかったが、大切な意味だと思った。
    ・ (P70)稲の品種90以上(P93)多品種の理由(災害や時期ズラシ)。
    →古代にて稲作技術が完成は意外。現代の新しい農法はないのか?
    ・ (P110)乱伐などの環境破壊による集落崩壊。古代からの問題点
    ・ (P122)自然に神(八百万の神)を宿し、共存する。自然を大事にしないと生活ができない。
          →日本の天災と共存してきた経験を現代の環境破壊にも見直したい。
    ・ (P139)大阪の名産「塩昆布」。
          →知らなかった。今後、えびすめを買ってみたい。
    ・ (P199)則天文字「圀」など。
          →当て字っぽくて面白い。使ってみたい。
    ・ (P211)日本文字が古代朝鮮の影響もあり。
    →訓読みや音読みの多様性など。中国漢字そのままではない意味が少しわかった。
    ・ (P223)御神体オタマシイの写真。
    →真面目なところが面白い。白浜の歓喜神社も道祖神?
    ・ (P242)海水面が100メートル上昇。氷上回廊。
    →その前に日本はほとんど埋まっている。
    ・ (P257)白亜紀のティラノサウルスの化石。
    →日本にも恐竜の化石があったのは知らなかったし、見てみたい。
    ・ (P265)多賀城遺跡。古代の都市の遺跡。太宰府。
    →今も遺跡があるみたいなので行ってみたい。
    ・ (P307)10世紀には中央集権は弱体化。(P340)9世紀末に富裕層の台頭。
          →日本の10世紀頃は民主主義政権

    〇質問点・疑問点
    ・ (P43)天皇号の使用開始は結局いつ?推古天皇時代(622)?
    ・ (P98)人口急増の波は主食が米。この論は私も違和感。多様な生産以外にも生活習慣(狩猟から稲作)
    ・ (P183)暴走族が~マジカルな権威。そんなに大層な意義があるのか?
    ・ (P211)文字文化が大きな曲がり角。どういう意味?ギャル語など?
    ・ (P313)戸籍の偽り。中央のチェックはないのか?
    ・ (P339)印も漆も現代の技術でも再現できない。東大阪の町工場でもダメか?

  • 前回が古墳時代辺りまでについてかかれてたんで大和朝廷辺りのことが書かれ手いると期待していたら、まったく別で、古代の文化や生活等について書かれていた。個々の話は面白く、稲の品種分けが1200年前にはされていたことには驚いた

  • [ 内容 ]
    遺跡や文字から読み解く古代社会の実像。

    [ 目次 ]
    第1章 「王」「大王」から「天皇」、「倭」から「日本」
    第2章 米作国家の始まり
    第3章 古代人は自然とどのように向き合っていたか
    第4章 資源を活用して特産物を生み出す
    第5章 海の道・川の道を見つめ直す
    第6章 東アジア交流の原点“文字”
    第7章 今に生きる地域社会
    第8章 辺境世界は古代国家の理想像か
    第9章 古代から中世へのターニング・ポイント

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 現在もなお発掘され新発見が続いている日本最古の文字の遺産。
    それを解読するとこによって見えてくる当時の日本。

    「日本」「天皇」の称号を決める際に中国を大いに意識していたこと。
    各地で発掘された行政書類から、その書き方や文字の習得の程度を分析し、律令制度が地方にどの程度浸透していたか。
    等々、今回も興味深い内容だった。

    飢饉や悪天候等に備え、24種類もの稲を時期をずらしながら作っていたり。
    今より優れた農業政策やんか。

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著者プロフィール

1943年、山梨県生まれ。1965年、山梨大学学芸学部卒業、1990年文学博士(東京大学)。国立歴史民俗博物館館長・山梨県立博物館館長を経て、現在、人間文化研究機構機構長、国立歴史民俗博物館名誉教授。 ※2020年2月現在
【主要編著書】『漆紙文書の研究』(吉川弘文館、1989年)、『墨書土器の研究』(吉川弘文館、2000年)、『古代地方木簡の研究』(吉川弘文館、2003年)、『全集日本の歴史2 日本の原像』(小学館、2008年)

「2020年 『交通・情報となりわい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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