「鎖国」という外交 (全集 日本の歴史 9)

  • 小学館
3.68
  • (6)
  • (11)
  • (12)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 131
感想 : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096221099

作品紹介・あらすじ

江戸幕府の外交はなぜ「鎖国」と呼ばれてきたのか。歴史が未来を切り拓く。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「鎖国」というカッコ付きの表現が使われるようになって久しい。江戸時代の日本は実際には国を鎖ざしてはいなかった。ではなぜ鎖国という概念で江戸時代が語られるようになったのか? 実態はどのようなものだったのか? 朝鮮通信使を利用する幕府、海外の情報収集に熱心な幕府、吉宗の輸入品国産化プロジェクト、異国人に対する認識、通信使の受容のされ方、異国からも見える富士山というフィクションが庶民にまで広まった事情などなど、どの章も実に面白い。江戸期の対外交渉を知る入り口となる一冊。

  • TRa

  • この巻では、著者の「ロナルド・トビ」氏の観点で日本近世の重大な事柄の一つ「鎖国」について解説されています。

  • 本書によると鎖国と言う言葉は幕末に作られたという。江戸幕府は鎖国していたわけではなく、きちんと海外と交流していたようだ。ただ、家康は秀吉の外征の影響で朝鮮との国交回復には苦慮したようだが。従来の日本近代史観を変えることのできる本と思う。

  • 【「鎖国」という外交】
    BOOK LOVERS vol.95
    http://pod.j-wave.co.jp/blog/booklovers/2009/02/book_lovers_vol95.html

    鎖国のイメージは明治時代に創られたものだった、輸入行為を通じた貴金属流出が幕府の深刻な課題だった、など従来の教科書日本史を覆す話がいろいろ。山川の日本史解説本と読み比べたい一冊。

  • 2013年17冊目

  • 「新視点近世史」ということで、江戸時代全般を“「鎖国」という外交”のテーマで概括する。前半部では、幕府にとっての朝鮮通信使の意味、「4つの口」による東アジア世界との貿易と外交などがわかりやすく書かれているが、後半部になると、絵画史料をもとに大衆にとって異国人のイメージはどのようなものだったのか、どのような土壌から「征韓論」が生まれてきたかに多くを割く。オランダや琉球、エゾとの「外交」には余り触れず、朝鮮がメイン。

  • 『全集 日本の歴史』シリーズはかなり質が高くて、歴史的な教養を深める上で非常に役に立つ。

    江戸時代は「鎖国」と言われているけれども、実際はちゃんとした外交的な理由もチャンネルもあったし、「鎖国」によって国内産業が進展していって、それが近代日本の礎になった。また、当時の日本人が考える「世界観」について語る。当時の東アジアの状況から、かなり積極的に「鎖国」を評価している点が興味深かった。

  • 日本史のお勉強をしようと思い図書館で通史を眺めていたら、気になったこれを借りて見た。
    「1980年代以降活発になってきた「鎖国」をめぐる研究を通じて、今日では研究者レベルでは「鎖国」=「国を完全に閉ざしていた」という認識はほとんど否定されているといっていいだろう」というのは、歴史にまったく詳しくないわたしからしてみれば意外であると同時に、大変興味深い。
    朝鮮通信使を通じて江戸幕府の外交政策、つまり「鎖国」状態ではなかったことや、どのように当時の人間が日本や異人を認識していたのか、また貿易を通じてどのような経済状況であったのかということを論じた本。通史と言っても歴史を時系列に事実を列挙する形で進んでいくのではなく、あるテーマについて論じているものなので読みやすい。
    江戸時代はまったく他国との外交がなかったわけではなく、さまざまな制限はあれど、他国との関係が継続していた。そしてその制限はさまざまな外交政策の一環であったと理解することができる。
    たくさん興味深いことがあったのだけど、そのひとつが吉宗の輸入品の国内生産化。幕府は砂糖を輸入する一方で鉱物の輸出量が増大に危機感を覚え、さまざまな対策を打つ。その一つが輸入品の国内生産化。それ以前から国内生産化を唱える声があり、またそれを試みているが失敗している。吉宗がそれに成功したのは、それが国家プロジェクトとして行ったこと、そしてきちんと段階を経てそれを実行に移したことがポイントだった。
    まず①漢訳洋書輸入の禁の緩和によって中国や、東南アジアから農作物に関する地誌の輸入を行い、農作物に関する知識を得、②それらと日本の農作物の類似性を確認するなど、日本の農作物の調査を行い、③日本の土地・風土にてきした農作物を見極めるため実験用に種・苗木・根茎を輸入し、④それらの輸入した種などを中国の植物的知識に照らし合わせ栽培可能な作物にした。その試行錯誤の結果、サトウキビの栽培に成功。そしてこれが貿易依存状態にあった日本の国内産業の発達を促し、品質・価格の面で国際競争力の上昇を生みだし、結果消費財の貿易依存体質からの脱却の成功をもたらした。
    教科書で習った政策が、いかなる時代状況の中で、どのような考えを持って実行されたのかということがわかり、おもしろかった。
    それと、以前から江戸時代を「鎖国」だと考えると、後の歴史が理解しにくいところがあった。けれど、そうではなく他国との外交を行っていた歴史の延長線上にあると考えると、わたしの中ではとても理解しやすくなった。
    ということで、次は何を読もう。続けて江戸時代かな?

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

Ronald Toby 1942年アメリカ・ニューヨーク州生まれ。コロンビア大学文学部博士課程修了。文学博士。コロンビア大学、東京大学教授などを経て、現在、イリノイ大学名誉教授。著書に『近世日本の国家形成と外交』(速見融ほか訳)、『日韓中の交流』(共著)、『環流する文化と美』(共編著)、『日本の歴史9 「鎖国」という外交』など。

「2019年 『興亡の世界史 人類はどこへ行くのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ロナルド・トビの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×