新編日本古典文学全集 (66) 井原西鶴集 (1)

  • 小学館
2.50
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 19
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (606ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096580660

作品紹介・あらすじ

好色一代男・好色五人女・好色一代女。初期代表作を三段組・全挿絵入で

"好色"の語が災いしたか、近代小説の祖とまで内外ともに評価の高い「好色一代男」をのせた教科書にはお目にかかったことがありません。「なんだ、ポルノか」くらいの軽い印象で素通りする読者が大多数だとしたら、ゆゆしきことと言わねばなりません。 好色(色好み)こそ、民族の元気、ひいては文化を支える営みである、とは、巻頭の古典への招待で暉峻康隆先生が力説されるところですが、この際、やや疲れ気味のあなたに是非おすすめしたい提言です。 桜もちるに嘆き、月はかぎりありて入佐山…… 冒頭からいきなり好物の桜餅が出たと勘違いした女子大生がいたそうですが、中沢新一氏が"横っとび"といわれるほど連想が自在で省略の多い独特の文体に素手で立ち向かうのは、土台、無理。 桜もすぐ散ってしまって嘆きの種だし、月も限りがあって山の端にはいってしまう。 下段の現代語訳へと眼を上下させるだけで、魅力溢れる歯切れのよい文体とともに確実に西鶴のメッセージはあなたに届くわけです。本全集ならではの強味と申せましょう。 自然美よりも人間的な愛欲こそという、反中世的な人間主義宣言。 この鑑賞注によって、「好色一代男」こそ元禄ルネッサンスの高らかなファンファーレであったことがよくご理解いただけると確信します。好色五人女、好色一代女とも。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【電子書籍】で本文を読む(こちらをクリック)▼
    https://japanknowledge-com.ezproxy.kyoritsu-wu.ac.jp:2443/lib/display/?lid=80110V00660001

  • 原文、注釈、翻訳の三段組み、入絵付き、それぞれの巻頭にはあらすじまで付いて仕事が丁寧です。二色刷なのも豪華ですね。とても見やすいです。さすがは小学館。

    「好色一代男」、好きになれないクズめ~^^しかし一貫した主人公像というものは見えず、色を売る仕事について様々、それ以外でも恋愛がどのようになるものだったか、風俗を描いている。こんな一生送りたいって男の浪漫ですね。
    巻六 心中箱 やばい悪趣味なものを好事家は持っていたものなんですね……やばい……

    対する「好色五人女」、「好色一代女」は暗い。恋愛について女性に厳しかった時代の男尊女卑があからさまに描かれている。特に一代女は、女が苦界に身を沈めるとはどういうことか、落ちるまで落ちていく女の様をこれでもかと、しかし淡々と書いていく。大黒って寺女の呼び方がえぐいと思いました。昼間は柱にしておくものかよ‥‥

  • 手にとった動機は単純で、『横道世之介』を読んで、そういや一代男をちゃんと読んでないなあ、と気がついたから。いくつか版があった中から、原文と注釈、現代語訳がならんで読めるこれにしました。
    しっかし、知識としては知っていたけど、江戸時代の性規範のダブルスタンダードにはめまいがします。タイトルは同じ「好色」でも、世之介が女3472人、男725人を相手にやりたい放題なのに対して、「五人女」の女たちはといえば、たった一人の男に恋しただけでひどい目にあうし、「一代女」にいたっては、主人公に対する作者の視点も意地悪で、うんざりしてきます。
    読み物としては、実際の事件に取材した「五人女」がもっともよくできているのかな。といっても、今でいうところの「女の犯罪実録モノ」、つまりは男目線の、どこまでがフィクションなのかわからない無責任な娯楽読物レベルで、中世の王朝文学とはランクが違いすぎる。わざわざ苦労して原文を読むほどのもんでもなかったな、というのが感想でした。
    あ、そういえばひとつ面白い発見が。有名な八百屋お七に死なれた吉三郎が、「いまだ若衆を立てし身…」と嘆く一節があるのです。なんとこの時代、前髪を落とす前の少年は、「兄分」という年上の男に性的に属する身分であり、女と契ることなど許されなかったんだって。「衆道の神も仏も我を見捨て給いし」って、衆道に神や仏があったんだ!(笑)

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

(1642~1693) 江戸前期の浮世草子・浄瑠璃作者・俳人。本名は平山藤五。「好色一代男」「好色五人女」「武家義理物語」「日本永代蔵」「世間胸算用」「本朝二十不孝」「西鶴置土産」など。

「2019年 『男色大鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

井原西鶴の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×